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高速ネット通信衛星網「スターリンク」第1陣60機の打ち上げ成功

おたくま経済新聞 / 2019年11月12日 18時0分

高速ネット通信衛星網「スターリンク」第1陣60機の打ち上げ成功

高速ネット通信衛星網「スターリンク」第1陣60機を打ち上げるファルコン9ロケット(Image:SpaceX)

 スペースXは2019年11月11日(現地時間)、フロリダ州ケープカナベラルから高速インターネット通信衛星網「スターリンク」の第1陣となる衛星60機を打ち上げ、成功させたと発表しました。スターリンクは、同社が手がける衛星ネット回線サービスの名称でもあります。

 スマホの普及やIoTの進展により、インターネットは生活に深く関わるインフラとなりました。今や飛行機の中や、エベレストの山頂でもネットが利用できる時代です。

 世界中どこにいてもインターネットにアクセスし、情報を入手したいという要望に応えようと、スペースXは高速ネット衛星網を利用したインターネット接続サービスを企画しました。それがスターリンク(Starlink)です。

 スターリンクは、高度550kmの軌道上に高速ネット中継衛星を多数配置し、通常の通信インフラがない場所においてもインターネット接続を可能にするサービス。260kgあるフラットパネル状の通信衛星は4つの平面(フェイズドアレイ)アンテナを持ち、1枚の太陽電池パネルで動作します。薄型なので、ロケットには重ねて搭載が可能。

 軌道の維持にはクリプトンを使用したイオンエンジンを使います。JAXAのはやぶさシリーズに用いられているものなど、これまでのイオンエンジンでは、推進剤にキセノンを使用していましたが、クリプトンを推進剤とするイオンエンジンが宇宙で稼働するのは、これが初めてとなります。

 静止軌道でなく、低めの550kmという軌道高度は、耐用年数が過ぎた衛星を速やかに大気圏に再突入させ、宇宙のゴミ(スペースデブリ)にしないため。また、既存のスペースデブリと衝突しそうな時には、アメリカ国防総省のスペースデブリ追跡システムに基づき、軌道が重ならないよう自動的に軌道を変化させ、衝突を避ける機構も備えています。

 今回打ち上げられた60機のインターネット中継衛星は、2019年5月23日に実施された試験打ち上げの60機に続く、実際のサービスに使用される衛星群。使用されたファルコン9ロケットの1段目は、過去にイリジウム7、SATCOM-1A、インドネシアの通信衛星ヌサンタラ・サトゥ打ち上げに使用されたもので、今回が4回目の打ち上げとなりました。打ち上げ時に衛星を保護するペイロード・フェアリングは、2019年4月11日に打ち上げられたアラブサット-6Aで使用されたものを再利用しています。

 スペースXでは、この人工衛星群を利用したインターネット接続サービスを行う会社「スターリンク(STARLINK)」を設立。まずはアメリカとカナダを対象に2020年のサービス開始を予定しています。今後も衛星の数を増やし、地球上のほぼ全域をカバーしてのサービスは2021年開始を見込んでいます。

<出典・引用>
スペースX プレスリリース
STARLINK公式サイト
Image:SpaceX

(咲村珠樹)

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