アメリカの民間宇宙船クルードラゴン 緊急脱出装置のエンジン再試験終了

おたくま経済新聞 / 2019年11月15日 12時53分

写真

クルードラゴンの緊急脱出用ロケットエンジン燃焼試験の様子(Image:SpaceX)

 スペースXは2019年11月14日(現地時間)、国際宇宙ステーションへの有人宇宙船「クルードラゴン」の緊急脱出装置用ロケットエンジンの再試験を終了したと同社のTwitter、およびNASAのブログで発表しました。

 アメリカは将来、国際宇宙ステーションに滞在する宇宙飛行士の往復を、民間の宇宙船で行うことにしています。 「コマーシャル・クルー」と呼ばれるこの計画で、宇宙飛行士が搭乗する宇宙船は、スペースXの「クルードラゴン」と、ボーイングの「CST-100スターライナー」が選定されています。

 開発は、ドラゴン補給船をベースにしたスペースXのクルードラゴンが先行しており、すでに2019年3月、無人による国際宇宙ステーションへのドッキングを含む往復飛行“デモ1”ミッションを成功させています。



 今回の脱出用エンジン再試験は、近い将来予定されている最初の有人飛行に備えたもの。2019年4月に打ち上げ時の緊急脱出装置試験を行った際、宇宙船をロケットから切り離し、安全なところへと避難させるロケットエンジンの燃焼がうまくいかず、爆発してしまったため、検証の上、再度試験を行うこととしたのです。

 緊急脱出装置は宇宙飛行士の命を守るため、必要な時確実に作動することが要求されます。無人の初飛行であるデモ1ミッションの前にも緊急脱出装置の試験が行われ、その時は成功していたのですが、有人ミッションに移行するにあたり、念には念を入れての試験が必要でした。

 脱出装置の要である離脱用ロケットエンジンがうまく作動しなかったのは残念でしたが、技術者の視点からすると、本番の前に作動しない状況を確認できたのは、むしろ良いこと。確実に作動するための改良点を洗い出すことができるため、より信頼性の高いものにすることができます。

 スペースXとNASAによる検証の結果、ヘリウムの圧力で推進剤を送り出す装置に不具合が見つかり、推進剤が点火装置近くで想定以上にたまってしまったために、点火の瞬間、多くの推進剤に引火して爆発したことが判明。数か月がかりで装置の改良を行いました。

 今回の試験では、改良の結果エンジンの燃焼は良好で、予定通りの秒数作動して停止。詳しいデータを分析する必要はありますが、ひとまず問題が解決したことをうかがわせました。

 スペースXでは、今後データ解析と実機の検証を行い、新たな緊急脱出装置作動試験(実際に宇宙船を脱出用ロケットで飛ばし、安全に着陸できるかの試験)のスケジュールを決定する予定。この試験がうまくいけば、いよいよ宇宙飛行士を乗せて民間の宇宙船が国際宇宙ステーションに向けて飛び立つことになります。

Full duration static fire test of Crew Dragon’s launch escape system complete – SpaceX and NASA teams are now reviewing test data and working toward an in-flight demonstration of Crew Dragon’s launch escape capabilities pic.twitter.com/CMHvMRBQcW

— SpaceX (@SpaceX) November 13, 2019

<出典・引用>
スペースX 公式Twitter(@SpaceX)
NASA「コマーシャルクルー・プログラム」ブログ
Image:NASA/SpaceX

(咲村珠樹)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング