ナースあるある「難しい血管を持つ人の採血に成功したら内心大フィーバー」
おたくま経済新聞 / 2020年1月14日 16時37分
難関の採血成功の図
人間、生きていると健康診断やその他病気などで必ず採血される場面が出てきます。しかし、血管には「学生用の採血練習セット」のような難易度の低いタイプから、「激しく難易度の高い」タイプの血管を持つ患者さんまでさまざま。その高難易度な採血に成功した時のナースの心境とは……実はナース側も激しく反応しています。
看護学生や新人看護師を応援するメディカ出版の書籍「ズルいくらいに1年目を乗り切る看護技術」「悲しいくらい人に聞けない看護技術」の公式ツイッターアカウント“ズルカン@新人ナース応援!”。このアカウントでは、編集部と現役ナースの中山さんが病院勤務ナースにありがちな「ナースあるある」話を筆頭に、幅広いジャンルの漫画を投稿しています。特に「ナースあるある」漫画は人気が高く、ナースたちの共感と憩いのアカウントとなっています。
難しい患者さんの、採血やルートキープが成功したとき。落ち着いていますが、私の心の中では祭です…(しかし、最後まで油断はできない…)
本日もお疲れ様でした🙇@中山 pic.twitter.com/dsK8ROPK5X
— ズルカン@新人ナース応援! (@zurukan2018) January 11, 2020
今回話題になったのは、採血。様々な年代が来る外来・入院。乳幼児からお年寄りまでその患者さんの血管は千差万別。よく分かる、柔らかい血管の人ばかりであればお互い苦労はないのですが、人間だもの、そんな採血初心者向けな人ばかりではありません。
美しき青き静脈がよく見える人から、ご老体・骨川筋衛門氏(仮)のゴリゴリに硬くなった血管、そして採血のポイントとしてよく見えるはずの肘の裏側から手首までの間、ひたすらほそ~い血管がうっすらとしか見えない、ナース泣かせであり患者さん自身も申し訳なさを何故か感じてしまう血管の持ち主まで様々な人の採血をこなすのがナースの仕事の一つ。中山さんが今回描いた漫画には、中高年女性に採血をしている場面。
で、どう見ても「この腕のどこに静脈が潜んでいるの~?お願い出てきて~!」といった感じの採血をしないといけない訳ですが、採血が得意な人は、表立って見えない血管でも、採血する腕の血流を止めるためにキュッと締めて指で触りながらどこにどんな方向に血管があるかを探ります。「ヤツは見えなくてもそこにいる……」血管の走行を確認し、スッと針を刺し、見事に採血できた時の達成感たるや!!採血された側の女性も、「おぉ、私難しいのに一発で……」と思わずつぶやくほど。
表向きは冷静に採血をし終わり、「血液止まるまでしっかり押さえておいてくださいね~」などと声をかけるものですが、こんな難しい採血がキマった時の心中はまさにお祭り状態!!「ヨッシャー!キタキタキター!サンバサンバ!!」無事にとれた血液を詰所に持って帰ってくる間の足取りはついスキップしそうになるし、「○○さんの採血、終わりましたー」と報告するときも、達成感が隠し切れなくなったりするもの。
詰所の同僚たちからも「どこの血管でとれたの?」の嵐状態に。ナース泣かせの血管の中には、非常に深い位置に潜っている静脈もあるのですが、触知できないほどに深いところに闇雲に針を刺しても、神経を傷つけたり、動脈に当ててしまうことが。動脈に針を刺してもいいのは医師のみ。看護師ができる行為ではないので、極力刺しても痛くない静脈を探すのですが、これがなかなか見つからない。そんなわけで「どこの血管でとれたの?」の大合唱となるのです。
同じ思いをしたナースの皆さんからは共感の声が殺到!一方で、何度も刺されてやっととれた経験のある患者さん側からも、とれなかったエピソードや、とれた時の感謝のエピソードがてんこ盛りにリプライに集結。
本当にどうしようもなく血管が細く、採血用の針の方が太いくらいの血管しか見えないと非常に内心ひるみます。しかし、鉱脈を掘り当てたかのように触知できる血管を発見した時は「私はできる、やればできる」と念じつつ、蝕知した血管めがけて一刺し。見事に採血できた時のテンションは心の内側で爆上がり。
なのですが、実際、腕のどこにもとれる場所がない時は、手の甲で採血をすることもままあります。これがなかなか痛いので、極力避けたい……。さらに手の甲でもダメな時は手のひらにかろうじて出ている針よりもほんの少し太い?かな??くらいのところからも採血をすることもあるのですが……こういうところの血液って、注射器で引いてもなかなか出ないこともあるんですよね……しかも途中で凝固してしまったり、とれた血液が検査に使えない状態となってしまった時の気まずさと言ったら……。やり直しとなって患者さんに謝り倒すことも(2回失敗したら交代という暗黙のルールがある病院の、外来勤務の時によく交代要員に駆り出された筆者ことナースは語る)。
老化でゴリゴリに硬くなった血管も、しっかりとホールドしないと針が血管の横を滑って刺さってくれないこともあるので、新人泣かせの血管。「これだけ浮いて見えているのに針が刺さらないんですぅ~」と半べそをかきながら交代をお願いされることもありました。
一方、とり立てて採血に問題なさそうな血管に見えても何故か針がスッと入らない、2回目もちゃんと見えて刺せていると思ったのに失敗……。そんな時のナースの合言葉は「相性が良くなかった」。他の人に代わって代わってもらうと案外簡単に採血終わるのに、私がやるととれないのは何故……「ま、相性ってものだから仕方ないよ(肩ポン)」と代わってもらった同僚の慰めをうけ、次の業務に入っていくのです……。
ふと気が付いたら採血にかなり語ってしまいましたが、筆者は採血だけは割と得意でした。細かい作業を要する手芸の類はからきしでしたが……。そして難しいと言われている血管を持っている人、採血で痛い思いをさせてしまうのは申し訳ないですが、その血管を持つあなたのせいではございません。そういう体質なので、どうか申し訳がらないで。本当に採血が必要で、どこをどう見ても取れない場合は、医師が何とかしてくれますので!
<記事化協力>
ズルカン@新人ナース応援!さん(@zurukan2018)
(梓川みいな/正看護師)
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