フィンランド次期戦闘機を選定する実地試験「HXチャレンジ」開催中
おたくま経済新聞 / 2020年1月27日 10時25分
![フィンランド次期戦闘機を選定する実地試験「HXチャレンジ」開催中](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/otakuma/otakuma_20200127_02_0-small.jpg)
フィンランド次期戦闘機選定の実地試験「HXチャレンジ」(Image:フィンランド空軍)
フィンランドの次期主力戦闘機を選定する「HX」計画で、実際にフィンランドの地で試験を行う「HXチャレンジ」が2020年1月9日から始まりました。最終候補の5機種が、真冬のフィンランドで運用した場合の比較試験に取り組みます。
フィンランド空軍では、老朽化しつつある現在の主力戦闘機、F/A-18C/Dホーネットを2025年~2030年にかけて退役させる予定。これに代わる主力戦闘機を選定するのが「HX」計画です。
2019年の最終提案に残った候補は、ユーロファイター・タイフーン(BAEシステムズ)、ラファール(ダッソー・アビアシオン)、グリペン(サーブ)、F/A-18E/Fスーパーホーネット(ボーイング)、F-35(ロッキード・マーティン)の5機種。この中からF/A-18C/Dホーネットの後継機が選定されることになります。
国土の一部が北極圏にかかるフィンランドでは、厳冬期には厳しい寒さに見舞われます。候補機が提出してきた性能も、凍てつくフィンランドの地で十分に発揮されるかは分かりません。それを実際に冬のフィンランドで飛ばし、実戦の性能を確かめようというのが「HXチャレンジ」です。
候補機はそれぞれ7日間(設営と撤収の予備日を含めると9日間)、フィンランド南西部サタクンタ県のピルッカラ基地(タンペレ=ピルッカラ空港)での試験(アピール)期間が与えられます。ここを拠点にフィンランド空軍がHXに要求する、防空、空対空戦闘、空対空偵察、監視、地上攻撃の5任務に関するパフォーマンスを訓練空域で実施。
この間、運用に必要な整備や、補給なども含めた総合的な使い勝手についても評価の対象となります。非常に寒いフィンランドでは、低温や氷結などにより、センサーやシステムの誤作動が発生する恐れも。そんな過酷な環境でも、額面通りの性能を発揮できなければ、フィンランドの防衛には使えないのです。
HXチャレンジのスケジュールは次の通り。空対空戦闘など、試験には複数機必要な項目があるので、各チームは予備機を含めて2~4機を持ち込むことになります。
■ユーロファイター・タイフーン:1月9日~1月17日
■ダッソー・ラファール:1月20日~1月28日
■サーブ・グリペン:1月29日~2月6日
■ロッキード・マーティン F-35:2月7日~2月17日
■ボーイング F/A-18スーパーホーネット:2月18日~2月26日
フィンランド空軍によると、このHXチャレンジの離着陸の様子は、飛行場施設を共用するタンペレ=ピルッカラ空港のターミナル1とターミナル2の間の民間区域に展望台を仮設し、そこから見学することが可能だといいます。原則としてフライトは平日、試験項目に夜間任務も含まれるので、日によって夜間の離着陸も予定されています。
HXチャレンジ終了後、フィンランド空軍は各社に最終オファーを求める予定。HXチャレンジの結果とファイナルオファーの内容、フィンランド空軍が見込む30年間の就役中にかかるライフサイクルコストなどを総合的に勘案して、次期戦闘機HXの機種決定は2021年に行われることになっています。
<出典・引用>
フィンランド空軍 ニュースリリース
Image:フィンランド空軍/USAF/U.S.Navy/RAF, Crown Copyright
(咲村珠樹)
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