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人生初の大腸内視鏡検査を受けてきた

おたくま経済新聞 / 2020年3月17日 15時30分

写真

就寝前に飲む下剤

 人間40年以上も生きていると、健康診断であれこれ細かくひっかかることがあり……。私ごとで恐縮ですが、この度「大腸内視鏡検査」というものを人生初めて受けることになりました。というか受けました。

 普段滅多に受けるものではないので、もしかしたらいつか誰かの不安払拭の役にたつかも……という思いもあり、記録かねてまとめてみたいと思います。

■ 検査当日までの流れ

 いざ検査が決まると、日程の調整に入ります。診察をうけた病院の担当看護師と話し合い、この日程をと決めるわけです。

 そして渡されたのが「手術・麻酔・処置・特殊検査・特殊治療などについての説明ならびに承諾書」という書類。必ず当日持参しなければならない、検査を受けるためには不可欠な書類だそうです。

 検査を受けるにあたっての必要な説明(リスクや、緊急時の対応など)を、受けたことの確認と、検査中に緊急で処置する場合もあること同意してね。という内容です。

 サインは患者自身の名前である「患者氏名」。そして、保護者または保証人のサインの欄も設けられています。単なる検査だけかとおもいきや、もしポリープがみつかってしまった場合には、検査中とることもあるとかで……。この辺の手続きは予想よりも、慎重に行われていました。

 他にもこんな物も渡されました。ポリープがあった場合には1泊入院が必要となるので、印鑑、お薬手帳などの持ち物リストが書かれた紙。そして、「大腸検査食(エニマクリン)」なる検査前日の朝から食べるご飯セット。加えて、前日寝る前に飲む下剤セットと、当日使用する排便回数などの管理シートも渡されたのでした。

 以前、胃カメラの検査もうけたことがあるのですが、前日夜9時から断食。前日の食事はなるだけ消化のいいものを。というレベルの指示だったので、対する大腸検査の事前準備の大事っぷりに、ことの重大さがじわじわわかりビビりはじめました。

 このため自宅に帰って、大腸検査がなんたるやを早速検索。しかし、真っ先に出てきたのが2018年にイグ・ノーベル賞を受賞した堀内朗医師のお写真。受賞理由の「座って大腸検査」という方法を自ら試しているシュールな写真が出てきて、おもわずふふっと和んだのは言うまでもありません。でも参考にはなったようなならなかったような……。

■ 大腸検査食をたべてみた(全4食)

 検査前日の朝からは、事前に渡された「大腸検査食(エニマクリン)」を食べていきます。今回、私が渡されたのは江崎グリコが販売している商品です。



 ただこの検査食は、渡されない場合も多いよう。大腸検査食を食べながら編集部の公式Twitter上で、きまぐれに食レポを行っていたのですが、よせられた大腸検査経験者たちの話によると、渡されない場合には、前日に食べて良い物悪いものなどのリストを渡され、それを参考にして食事をしていくそうです。

大腸検査食 1食目(朝)鯛がゆ

味薄っ💦 pic.twitter.com/YgQrRXG6sb

— おたくま経済新聞 (@otakumatch) March 14, 2020

▼大腸検査食:1食目(朝)鯛がゆ:午前8時半頃

 記念すべき1食目です。箱をあけると4食分の食事が1袋ずつ入っているのがわかりました。

 朝の食事は鯛がゆ。レトルトパックされており、温め方は中身をだしてレンジでチンか、そのまま湯煎。私は湯煎を選択して沸騰したお湯で温めること3分。

 ようやくあたたまった中身をお皿にいれて、いざ実食!初めての経験なので期待しかありません!!!一口ぱくり!


 思わず出た言葉が「味うっす!!」でした。ほぼ塩気が感じられない……。おかゆ自体はまずいものではないはずなのですが、一気にテンションが下がっていくのがわかります。鯛がゆなのに、鯛はわずかしか感じられないし……もっと鯛感プリーズと、ガッカリしながら3分で完食したのでした。

 食の満足度でいうと★5つのうち★★2。

▼大腸検査食:2食目(昼)和風ハンバーグ・白がゆ:午後2時頃

 朝から仕事でバタバタした関係、少し遅くなってしまったお昼ご飯。朝が鯛がゆだけだったので、もうおなかはペコペコ!!途中何度も、目に入るお菓子に手を伸ばそうとしたことか……(涙)

 そうしてありついた2食目は、今回の食事の中では唯一のおかずつき「和風ハンバーグ」と「白がゆ」のセットです!

 白がゆは朝と同じく味はほとんど感じられませんでした。おかゆの味そのままで……筆者が一番苦手とする味わい。

 しかし、期待以上だったのが和風ハンバーグ。とろっとした餡の中にジャガイモ、人参、そして鶏肉や豆腐でつくられたハンバーグがどーんと鎮座。お肉は市販されている加工ハンバーグと似たような感じ。こちらは普段なら「やさしい味わい」と感じたことでしょう、でもこの時は朝の体験があったが故か「しっかり味」が感じられ、箸がすすみます。「味付けってほんと大事なんだなぁ」としみじみしてしまいました。


 ボリュームは見た目少なそうに感じていましたが、大量の餡のおかげか満腹感はそれなりに得られました。でも何より嬉しかったのが、朝より味がしっかりついていたこと。朝と比較すると「食事の満足感」はかなり高く感じました。

 食の満足度でいうと★5つのうち★★★3つ

▼大腸検査食:3食目(間食)ゼリーミール・ビスコ:午後4時半頃

 ひゃっほーい!ビスコ!ここまでくると、食べ慣れたものが口にできる喜びしかありませんでした。しかも甘い物!!

 間食はリンゴ味のするゼリーミールに、国民食といっても過言ではない「ビスコ」のセットになっていました。

 子どもの頃こそよく食べましたが、大人になってほぼ口にすることがなくなった「ビスコ」。いつもはどうでもいい存在なのに……この時ほど、私史上ビスコを求めたことはありません。おかげで見た途端、テンション爆上がり。

 一口食べて……あぁ、うまいよビスコ。いつも忘れてごめん。本当に心からそう謝罪したくなりました。だがしかし、朝から食事量を調整しているせいか、味覚が鋭くなっているようで、いつものビスコがより甘く感じるような?不思議と、今まで食べたビスコの中で一番美味しかった気がします。ビスコありがとう!ビスコ!

 食の満足度でいうと★5つのうち★★★★4つ

▼大腸検査食:4食目(夕食)コーンポタージュ:午後8時頃

 前の間食が少し遅めの時間だったので、夕飯も同じく遅めとなる夜8時ころにとることにしました。

 ちなみにここまでの胃の感覚ですが、朝の鯛がゆこそ消化が早かったものの、2食目から味付きのものがでてきたので、食べる量こそ少ないものの、2食目以降は空腹を感じる時間があまりありませんでした。これはちょと不思議な体験。

 このためあまり空腹感ないままでの4食目だったわけですが、食べるのはいつもなら絶対ものたりない「コーンポタージュ」のみというメニュー。コーンをしっかり潰しているのか、かなりどろっとしたスープです。

 味付けは……。こちらもしっかり。朝からの影響からか、ここでも味覚が鋭くなった感覚。塩気よりも、コーン本来の甘みの方がしっかり感じられました。そして味付けがあるからこそか、量が少なくても満腹感もしっかり。人間の体ってほんと不思議。いつもなら絶対足りない量なのに……。と考えてしまいました。

 食の満足度でいうと★5つのうち★★★★★5つ
 
 今回私が食べた「大腸検査食」は、検査当日に腸を空にしやすくするための食事としてつくられています。このため消化が良く食物繊維が含まれていない食材を中心に使われていますが、ほぼ味がしない鯛がゆにはじまり、次に優しい味つきのメニュー、さらに甘み、そして素材本来の味を引き出したスープという流れをくむことで、最後はスープのみという圧倒的量の足りなさでも味覚の刺激で満足感が得られるようになっていました。最初、味付けに対してぶちくさ文句をつけてしまいましたが、良く考えられたメニュー構成なのだと感じます。

■ 前日から下剤を飲むよ!

 これも私がうけた検査のケースですが、前日の就寝前に飲む下剤、水薬と錠剤2錠の2種を処方されました。水薬はコップ1杯の水に入れて飲むもので甘い味がしました。

 検査当日の朝に、ある程度の排便を促すためのものだそうです。とはいえ、私の場合は飲んだ翌朝4時に腹痛でおきあがり、その後2~3度トイレを往復するはめに。でもこれも全て、腸の中を空にするため!朝までにはスッキリ快腸で検査に挑む準備ができたのでした。

■ 下剤2リットルに水1リットルとの格闘

 ここからがようやく病院篇です。本来であれば写真ものせつつ説明したいところですが、他の患者さんや病院側への迷惑となるため撮影自体行っていません。このため以降は文のみでの説明となることあらかじめ説明しておきます。

 さて、病院に到着すると、院内着に着替えさせられます。そして通されたのが、下剤を粛々と飲むための専用の部屋。部屋の近くにはトイレもあります。

 看護師さんの説明によると、モビプレップとよばれる液体の下剤を、まず1リットル1時間かけてゆっくり飲むよう言われました。同時に、水分も500ミリリットル飲むようにと。腸の中の物を排出するための下剤なのですが、出すことで同時に水分も出てしまうので脱水症状を起こさないために、水も平行して飲む必要があるわけです。

 早い人だと1リットルで腸の中が綺麗になるとのことですが、手強い人だと下剤2リットル+水1リットル飲むことに。とりあえずゆっくり飲んで、トイレに5~6回行けば腸が綺麗になりますという話なので、粛々と飲みます。なお、この下剤は病院によって腸の洗浄に使う薬液が違う場合や、錠剤と水2Lという場合もあるそうです。

 ちなみにこのモビプレップ。味わいはスポーツドリンクに似ていました。看護師さんの話では「梅味」とのことだったのですが、私にはあまり梅が感じられず……。でもどちらにせよ飲みにくいということはありませんでした。あとは、出てきた便の状態の写真(茶色い便、ゆるい便、黄色く少し混ざり物がある便、わずかに黄色い何もまざっていない便)のカードをわたされ、この一番右の色になったらナースコールで呼んでください。トイレでチェックしますから。というお話。そこそこの年だから私は恥ずかしくはないけれど……排泄物を人にみられるって、若い人なら辛いだろうなぁ。と密かに思ってしまったのでした。

 さて、話はそれましたが、粛々と下剤、水、下剤、水で飲み進めます。どちらも常温にしてあるので、飲みにくいということはなく、1時間たつころには下剤1リットル、水500ミリリットルの目標達成。このころにはトイレに行く頻度が増え、排便回数を記載するシートも徐々に埋まっていきます。

 そうこうしながら6回行った頃でしょうか、一度看護師さんに便チェックをしてもらいました。「まだ色が濃いですね~」ということで、さらに下剤500ミリリットル飲むことに……。

 ここからさらにトイレ2回……ようやくOKとなり、検査を受ける運びとなったのでした。

 と、次からは実際の検査がなんたるやを紹介していきたいのですが……。実は、今回麻酔で眠っている間の検査だったため、検査自体の記憶が全くありません。お尻も全く痛くありませんでした。とにかく、寝ている間に全部終わってしまったので。

 しかし、この検査は病院によっては麻酔無しで行うところも多々あるとききます。そこで今後検査をうける人の参考用には、編集部所属の看護師ライター・梓川みいな(正看護師)に解説してもらいます。

■ ここから梓川の解説:おおまかな検査の流れ

 検査前に特に大腸の病気などの既往がない場合、病院によっては検査前に眠らされることなく検査終了まで大腸の中味をカメラを通して映されるモニタ越しに見ることができます。

 腸の粘膜を鮮明な状態で見るために、腸の内部に空気を入れて膨らませます。途中で下腹が張る感じや痛みが出ることも多くありますが、途中で痛みが強くなる場合もあります。その時は「痛いので何とかして欲しい」旨を申し出ると、注射でスコンと眠らせてもらえます(梓川も大腸検査経験者ですが、幼児の頃の鼠径ヘルニアの傷跡が腸管と癒着しているらしくすさまじく痛かったので、遠慮なく眠らせてもらいました)。また、検査中が怖いという人は最初から眠らせてもらえるので、もし意識がある状態で検査を行う病院である場合は、問診時にその旨書いておくと検査中に何も感じることのないまま終わらせることができます。

 カメラ越しにみる大腸の粘膜は、特に問題がなければ上行結腸、横行結腸、下降結腸、直腸など数か所を撮影し、そのまま終了となります。意識がある場合、検査を行う内科医から「この辺りが~です」「ここに小さなポリープがありますね」など、説明を受けることも。

 検査の前に、「もしポリープや病変が見つかった場合、それらを取ります」という旨の同意書を渡されていることが多いと思いますが、ポリープの中でも、怪しげな部分があればその場でポリープを大腸カメラに内蔵されている病変部を切除する機材などを使って取り除く事があります。小さなものであれば、そのまま検査終了後、安静にした後で帰宅できます。病変部がなかった場合でも、大腸内に空気が残っていたり、検査前に飲んだ洗浄液が残っている事があります。また、お腹の強い張り感や痛みが残る事があるので、1~2時間ほどの安静の後に帰宅許可となる事がほとんどです。

 もし大きなポリープが見つかり、検査と治療をかねて切除した場合は1泊入院してもらう事があります。粘膜の傷の治りは外に露出している皮膚よりもずっと早いのですが、万が一、切除したところからの出血が多いなどという事態が起こり得る場合に速やかに止血処置ができるようにという事。自宅に帰った後に大量に下血したら大変なことになってしまいますからね。

■ 「ブッ」 自身の屁の音で覚醒

 「ブッ」 聞き覚えのある異音。その音と衝撃でめざめました。

 気がつくと知らない天井を見ている自分。そして「ブーーーー」という、止めどなく出る音。自身の身に何がおこったのか……。

 「検査の途中、空気をいれただけですから大丈夫ですよ~」。音の正体は検査のとき腸にいれた空気が盛大に排出されているものでした。点滴を触りつつ私にはなしかける誰か。恐らく看護師さんなんだろうなぁ。そんなぼんやり気分で目を覚ますことしばし。

 どうやら私は自身の屁の音で覚醒したようです。後から思うと人前で屁!と恥ずかしくなったのですが、この時はまだ目覚めたばかりで「へー……屁w……屁屁w」なんてどうでもいいことを考えつつ、言われるがまま、点滴が終わるまで横になっていました。

 そういえば、検査前の診察の時に麻酔使うかどうかの書類あったなぁ、なんてことも思い出し。時間にして意識がなくなってから覚醒まで15分~30分くらいしかかからなかったと思います。検査時間はそれぐらい短いものでした。

 同じ検査をうけた人の話によると、麻酔なしの場合には、自分の体内に入ったカメラの違和感などでかなりキモチワルイ思いをすることもあるようです。後からこの話をきいて、最初から眠る選択をした自分をグッジョブと誉め称えたのはここだけの話。

 さて、点滴が終わると、私の場合は担当医師からの説明が行われました。「腸は問題ないですね~」と説明をうけながら、実際の映像もみせてもらいました。「かなり綺麗な状態ですよ」と褒められましたが、比較対象がないのでいまいちピンとこず。とにかく何事もなくて良かったと安心していたところ……「あ、宮崎さん痔ですから」。と、衝撃の事実を告げられたのです。痔!

 大腸内視鏡検査を受ける人の何人かには、検査を通じて初めて自分が痔持ちであることを知る人がいるそうです。実は私もそうだったと……。初めて痔持ちであることを知り、驚いてしまいました。とはいえ、他には何事もなかったのでとりあえずはほっと一安心。痔さんとは、今後の付き合いかたを改めて検討するとして、私の初めての大腸内視鏡検査は無事終了したのでした。

 今回私は、健康診断の流れで検査をうけていますが、特に40歳以上になると気づかないうちにからだのあちこちに不調が起き、必然的に検査を受けなければならないことも出てきます。しかし、人から聞く体験談は怖い、痛い、辛い……という話ばかりで、どうしても躊躇う人が出てくるでしょう。そんな人たちの不安払拭に本稿が少しでもお役に立てれば幸いです。

 痔、エンド。

(宮崎美和子/途中解説・梓川みいな)

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