ホリエモンが感染症の専門家をYouTubeに召喚! 新型コロナウイルス大解説
おたくま経済新聞 / 2020年3月20日 16時0分
「新型コロナウイルスについて専門家に質問しました(前編)」
新型コロナウイルス(COVID-19)の落とした影は大きく、現在も混乱の状態が続いています。テレビもネットも、どの情報を信じたらいいのか分からない……そう思う人もたくさんいると思います。そんな中、ホリエモンこと堀江貴文氏が自身のYouTubeチャンネル内で医師との対談を公開しました。
今回ホリエモンが対談をしたのは、2018年より米国国立衛生研究所(NIH) 内アレルギー感染症研究所 (NIAID) において“博士研究員”として研究し続けている、峰宗太郎先生。峰先生は病理を専門としながら、免疫学・ウイルス学においても専門的な知識を持っており、ネット内外の医師らからも信頼の厚い先生です。現在もアメリカで数々の細胞を研究し続けています。
ホリエモンが今回峰先生とのオンライン会議システムを使ったネット対談を実現できたのは、予防医療普及協会での繋がりがあったからとのこと。また、概要欄の説明によると「新型コロナウイルスについての動画はYouTubeの対応により広告はつきませんが、それを承知で正しい情報を専門家の先生に聞いて発信します」という、強い思いがあっての発信だそうです。早速その動画の内容をご紹介したいと思います。
「新型コロナウイルスについて専門家に質問しました(前編)」というタイトルで公開された今回の動画は、20分ほどの中で、新型コロナウイルスに関する基礎知識から、他のコロナウイルスとどのような違いがあるのかを峰先生が説明しています。
■ 既存のコロナウイルスついて知られている事と新型コロナウイルスの遺伝子情報ホリエモンが既存のコロナウイルスと、新型コロナウイルスの違いについての疑問に峰先生は次のように答えています
・ヒトの風邪を起こすコロナウイルスは4種類、他に動物からヒトに感染した重症急性呼吸器症候群(SARS)と中東呼吸器症候群(MERS)の計6種類が知られている。
・2003年発生したSARSにかなり近いので、SARS-CoV-2(サーズコロナウイルスツー)という正式名称に。これはSARSの遺伝子情報にかなり近いということが明らかになった事で名づけられた。
・今までヒトの風邪症状を起こすコロナウイルス4種類と、新型コロナウイルスは同じコロナウイルの中でも遺伝子情報が遠い関係。一方、SARSの遺伝子情報とよく似ている。
・新型コロナウイルスはヒトののどに付着しやすい性質、しかも普通の風邪症状では肺よりも上(上気道)で終わってしまうが、新型コロナウイルスは肺にまで及ぶ毒性の強さがある。
・ウイルスの広がりやすさが風邪やインフルエンザに近く、SARSと風邪のコロナウイルスの中間的な位置づけの広がりやすさ。
■ 子どもと高齢者で高齢者の方が重症化しやすく子どもは症状が出ないその違いは何故?・高齢者と基礎疾患がある人は症状が出ているが子どもは確かに症状は出ていない。
・子どももウイルス感染はしているが重症化はしていない。
・理由は現在のところは全く分かっていない。
・現在のところは子どもと高齢者の免疫の反応の仕方が違う可能性があると考えられる。
■ 新型コロナウイルスに効く薬の開発は?・現在、0からの開発ではなく既存の薬で効果が出そうなものをリストアップし、それを試している。
・SARSの時にもHIV(エイズウイルス)に効く薬が転用できるか試していたが、SARSが終息したのでその試験をヒトではできていない。
・現在ではゲノム解析が進んで、ウイルス内のたんぱく質の酵素がどの薬に効くのかをすぐにリスト化され、現在中国では臨床試験が進んでいる。
■ 重症化した場合、人工呼吸器を使うことで患者さんを救い致死率を抑える事ができるか・基本的には通常の肺炎と同じ支持療法(対症療法)となる。状態によって、酸素投与→肺に空気を送り込む方法→気管挿管をして人工呼吸器の順となるが、それでも効かない場合は人工肺(体外式膜型人工肺・ECMO/エクモ)を活用する。しかし、感染症の場合は感染制御上、人工肺を回せる場所も人も限られている。
・日本の場合、都内ですぐにエクモを使えたのは2~3例。エクモの適応は最重症にしか使えないのですぐに増やすことはできない。
■ インフルエンザの場合と現在分かっている新型コロナウイルスについて・インフルエンザの場合でもエクモの適応がある場合もあるが、人工呼吸器を使うことの方が多い。
・インフルエンザで重症化しているのは高齢者が多い。人工呼吸器を使っている場合、空気を肺に押し込む形となるので、空気に含まれた雑菌も一緒に押し込まれる。これが細菌性肺炎となって二次感染症になる。
・全身の状態が悪い場合、呼吸器を付けた時は食事もとれなくなり点滴となるが、そこで抵抗力が落ちてしまい、二次感染による細菌性肺炎や多臓器不全が起こることで亡くなることも多くなる。
・新型コロナウイルスの場合、今のところはインフルエンザの感染で重症化した場合よりも割合が多い。
・新型コロナウイルスの感染力はインフルエンザと同等と考えられる、重症化率はインフルエンザよりも少し高いと考えられる。同等に広がってしまうと医療崩壊も起こりかねない。
■ 新型コロナウイルスが治ったと思ったらまた感染した、という話もある?・一度治ったと思われて退院しても、ウイルスがまだ体の中に残っていた場合、「再感染」ではなく、感染したウイルスが再び活動を始める「再燃」の可能性があると考えた方がよい。
……等々、ホリエモンが質問していく中身も一般市民がよく持つ疑問として考えられる事が多く、峰先生も即座に回答していく動画はとても分かりやすく、峰先生の解説も難しい言葉を使うことなく頭にスッと入ってきやすい解説です。
動画の最後の方では少し複雑な内容の解説もありますが、生物の授業で細胞について覚えていれば理解できる内容。
後編では、新型コロナウイルスについてさらに踏み込んだ内容の動画となっており、峰先生に対するホリエモンの良い生徒ぶりがいかんなく発揮できる内容になっています。
<出典・引用>
ホリエモンチャンネル
峰宗太郎先生(Twitter:@minesoh)
※画像はホリエモンチャンネル 「新型コロナウイルスについて専門家に質問しました(前編)」のスクリーンショット。
追記)2020/3/20 「新型コロナウイルスについて専門家に質問しました(後編)」の動画を追加して記事内に埋め込みました。
(梓川みいな/正看護師)
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