アメリカ宇宙軍 発足後初の人工衛星打ち上げに成功
おたくま経済新聞 / 2020年3月30日 7時0分
ペイロードフェアリングに記されたアメリカ宇宙軍のインシグニア(Image:ULA)
アメリカ宇宙軍は2020年3月27日、発足後初となる軍用通信衛星AEHFの6号機を3月26日(アメリカ東部時間)にフロリダ州ケープカナベラル空軍基地から打ち上げ、成功したと発表しました。
AEHF(Advanced Extremely High Frequency)は、1994年から構築されたMILSTARに代わり、高速大容量通信のできるミリ波帯(30~300GHz)を使用して、より多くの戦術データなどを送受信する次世代型の軍用通信衛星(静止衛星)。ロッキード・マーティンが製造し、カナダ、イギリス、オランダ、オーストラリアの同盟各国も共同利用できるようになっています。
アメリカ宇宙軍第4宇宙運用中隊の衛星エンジニア、ジェネール・ロジャース少尉は「AEHFはアメリカ軍と同盟国の部隊に、24時間年中無休で安全かつ妨害に強く、安定した通信を地球規模で提供することができます」と、AEHFの性能について語っています。
AEHFの打ち上げは2010年から始まり、これまでに空軍宇宙コマンドのもとで5機の衛星が軌道に投入されていますが、今回の6号機はアメリカ宇宙軍が発足して最初の打ち上げとなりました。これを記念して、衛星本体を太陽の熱から守るサーマルブランケットには、ホワイトハウスでマイク・ペンス副大統領がサインを入れています。
打ち上げロケットは、ULA(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス)のアトラスV。直径5mのペイロードフェアリング、固体ロケットブースター(SRB)を5つ使用した「551」と呼ばれる仕様(静止トランスファ軌道打ち上げ能力8.9トン)です。
フロリダ州のケープカナベラル空軍基地、第41発射施設から3月26日16時18分に打ち上げられたアトラスVロケットは、およそ5時間41分後に予定通り衛星を分離。所定の軌道に投入し、打ち上げは成功しました。
打ち上げを担当したULAのトニー・ブルーノCEOは「宇宙軍初の衛星打ち上げ成功を心から祝福いたします。この歴史的なミッションに携われたことを誇りに思います」というコメントを発表しています。
打ち上げられたAEHF6号機は、今後起動試験を行った後、静止トランスファ軌道を経て高度3万8000kmの静止軌道へ移動し、先行して打ち上げられた5機の衛星と通信衛星ネットワークを形成することになっています。
<出典・引用>
アメリカ宇宙軍 ニュースリリース
ULA ニュースリリース
ロッキード・マーティン ニュースリリース
Image:U.S.Space Force/ULA/Lockheed Martin
(咲村珠樹)
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