1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. ネットトレンド

医療従事者に対する偏見差別に警鐘 「こどもの預かり保育拒否」や「タクシー乗車拒否」

おたくま経済新聞 / 2020年4月17日 16時12分

医療従事者に対する偏見差別に警鐘 「こどもの預かり保育拒否」や「タクシー乗車拒否」

新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)Twitterアカウントのスクリーンショット

 内閣官房に設置された新型コロナウイルス感染症対策推進室のTwitterアカウント(@Kanboukansen)が、医療従事者に対する偏見や差別について4月17日、警鐘をならすツイートを投稿しました。

 投稿によると、医師や看護師などの医療従事者たちの「こどもの預かりを保育所などが拒んだり」「タクシーに乗せてもらえない」といった事例が生じているとのこと。

医師や看護師等の医療従事者の方々は、私たちの健康、生命を守るため日常診療に加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けて、日々懸命に取り組まれています。しかし、こうした皆さんのこどもの預かりを保育所などが拒んだり、タクシーに乗せてもらえないといった事例が⽣じています。
(1/2)

— 新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房) (@Kanboukansen) April 17, 2020

 続くツイートでは「医療従事者は、感染防御を十分にした上で、患者の検査や治療、感染症のまん延を防止する対策を取られています。正確な情報を入手し,冷静な行動に努めましょう」と、冷静な行動をとるよう注意を促しています。

 また、厚生労働省のTwitterアカウント(@MHLWitter)は、このツイートを紹介しつつ、「正確でない情報により、医療従事者に対応することは慎むべきですし、場合によっては人権侵害になることもあります」と強くコメントしています。

医師や看護師などの医療従事者は、感染防御を十分にした上で、患者の検査や治療、感染症のまん延を防止するなどといった、国民が望む仕事を行っています。正確でない情報により、医療従事者に対応することは慎むべきですし、場合によっては人権侵害になることもあります。

— 厚生労働省 (@MHLWitter) April 17, 2020

 筆者は現在看護師ライター(正看護師)として活動していますが、もちろんもともとは病院などで働いていました。このため、現場の苦労や辛さが今でも沢山耳にはいってきますし、どんな混乱が起きているのか容易に想像もつきます。

 医療従事者や人と接触する機会の多い業種の人たちは、常に恐怖と背中合わせで働いています。そんな人たちに対し、「感染が怖いから偏見の目で見る」事は、天に唾する行為と同じです。

 今、ギリギリ踏ん張って頑張ってくれている人たちのやる気を削って何になるのでしょう?協力をしないで何になるのでしょう?もしそんな事がつづけば、現場を去る医療従事者が増えることは簡単に想像できます。心や体を壊す人だっているでしょう。医者や看護師だからって病気にならないわけじゃありません。心だって傷つかないわけじゃないんです。

■ 「自分がやらなきゃ誰がやる!?」の精神でギリギリ踏ん張ってる

 医療の最前線で新型コロナウイルスに晒されながら働いている人は、「自分がやらなきゃ誰がやる!?」の精神で皆ギリギリのところを踏ん張りながら仕事しています。少しでも多くの人を助けたい、その一心からです。

 中には、自分が幼い子どもや家族にウイルスを移すリスクを考え、家族と離れて一人で病院の近くで寝泊まりしながら働く女性医療従事者もいます。

 目の前で患者さんが高熱を出して息苦しさに耐えながらもうろうとしているのを看続け、そして悪化した肺炎で命を落としそうな状況の中、「私の肺を移植できませんか?」と涙ながらに訴えてくる患者さんのご家族に、どう言葉を返したら分からなくなるような気持ちになる医療スタッフも実際にいます。しかし、敵は、ウイルスであり肺炎はウイルスに打ち勝たなければ治らないのです。

 陽性患者に対応したらその都度変えなくてはならないはずのマスク、特殊な手技の時などにしか使わないゴーグル、感染症対策用のガウン、顔に飛沫がかからないためのシールド、そして消毒類。まだまだこれらの物が不足し続けている中で、目の前で人工呼吸器を付けたり、体外人工心肺(ECMO)を回している患者さんをみ続けて、「もしかしたら数日後の自分かもしれない」という思いを抱きながらも、みな踏ん張っています。

 それに病院にくる患者さんは新型コロナウイルスの患者さんだけではありません。様々な科の、様々な病気やケガで、やむを得ず病院に行かなければならない人も大勢病院に助けを求めに来る……その患者さんたちにも対応しなければならないのです。

 そんななか、交通事故で運ばれた患者さんのCTを撮ったら、思いがけず新型コロナウイルス感染症特有の肺の影が見えた、という話も医療関係者から出ています。もう、誰が感染していてもおかしくない状況まで来ているのです。外で誰かと何かの接触があった人は残らず、です。

■ 医療を崩壊させないためには

 偏見は不安からやってくるものです。そして不安は、見えないところにあるから不安なんです。ちょっと体調を崩したからPCR検査をやって欲しい、気持ちは分かります。

 でも、自分の安心を手に入れるために行う検査ではないのです。止まらない咳と発熱、CT撮影での肺炎像、新型コロナウイルス感染症特有の症状が疑わしい時に確定診断として行うのがPCR検査なのです。しかも、この検査は100%確実である保証もありません。

 今、私たち一般市民が医療を崩壊させないためには、正しい知識で極力不安を取り除き、正しく行動する事。その正しい行動とは、不必要に他人との距離の近い接触を増やさない、密閉された環境にむやみに立ち入らない、複数人での集まりを行わないという行動。そして、自己防衛を正しく行う事。それは、マスクの表面は絶対に手で触らない、外すときはマスクの耳ゴムから外して直ちに消毒や専用の汚染用容器などに入れる、正しい手洗いを行う、消毒液の正しく適切な使用を行う、といった「一人一人が確実に行えばウイルスを防ぐことができる」行動です。

 そして、現在の状況は“だれもが新型コロナウイルスを持っているかもしれない”状況である事を、一歩でも外に出て買い物やどこかに出かける人たちは心得ておいて欲しい状況である事を、決してわすれてはなりません。

<参考・引用>
新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)Twitter(@Kanboukansen)
厚生労働省Twitter(@MHLWitter)
※画像は新型コロナウイルス感染症対策推進室(内閣官房)Twitterアカウントのスクリーンショットです。

(梓川みいな/正看護師)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください