ヨーロッパの木星探査機JUICE ドイツで最終組み立て開始
おたくま経済新聞 / 2020年4月24日 18時4分
ドイツのエアバス事業所に到着した木星探査機JUICE(Image:Airbus)
欧州宇宙機関(ESA)の木星とその衛星探査機JUICEが、2022年5月の打ち上げに向けて、ドイツのフリードリヒスハーフェンで最終組み立て作業が始まりました。製造を担当するエアバスとESAが2020年4月23日(現地時間)に発表しています。
木星探査機JUICE(JUpiter ICy moons Explorer)は、木星とその衛星であるガニメデ、エウロパ、カリスト(ガリレオ・ガリレイが発見した4衛星のうちの3つで、命名者は同時期に観測していたドイツの天文学者シモン・マリウス)を観測するために作られたもの。7年がかりで木星まで飛行し、3年にわたって観測が続けられる予定です。
ガニメデ、エウロパ、カリストの各衛星は、表面を覆う氷の下に液体の海がある可能性が示唆されており、それらの証拠を探ると同時に、生命活動の痕跡がないかについても調査することになっています。
重量5.2トンの探査機本体に関してはエアバスが、そして木星まで飛行するメインエンジンに関してはアリアンスペースが製造を担当しています。搭載している観測機器は、カメラや分光計、氷の層を透過するレーダーに磁力センサーなど10種類。
エアバスでは、本体の構造部分をスペインのマドリッドにある事業所で製作。次いでドイツのシュツットガルトに近いランポルツハウゼンにある、ドイツ航空宇宙センター(DLR)のランポルツハウゼン・センターに隣接するアリアンスペースの事業所で、メインエンジンや姿勢制御用スラスターの組み込みが行われました。
陸路でフリードリヒスハーフェンのエアバス事業所に搬入されたJUICEは、ここで各種観測機器や、制御用のミッションコンピュータ、通信機器などが組付けられます。作業は新型コロナウイルスの感染防止につとめながら、最大60人の技術者が2交代制であたるとしています。
探査機が完成すれば、次はオランダのノールトヴァイク(アムステルダムとハーグの中間に位置する街)にある、ESAの試験センターで環境試験が実施されます。現在のところ、JUICEの打ち上げは2022年5月、木星軌道への到着は7年後の2029年10月を予定しています。
<出典・引用>
欧州宇宙機関(ESA) ニュースリリース
エアバス ニュースリリース
Image:ESA/Airbus
(咲村珠樹)
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