「花って不要じゃないんだ」 あるお花屋さんのつぶやきに共感あつまる
おたくま経済新聞 / 2020年4月29日 12時0分
花束(写真ACより)
暗い報道が続く中、母の日に向けてカーネーションが出荷され始めたという報道も出てきました。花を見ていると安らぎ、心癒やされます。しかし、花き業界ではイベント中止や冠婚葬祭のあつまり自粛、お花を販売している店舗などの営業自粛により例年より売り上げが大きく落ちています。
そんな暗い状況の中でありながら、「花が必要とされている」ことで元気づけられたという、ある花屋の店員さんのツイートがネット上で注目されていました。
「外出自粛、最低限の買い物のみ、となると花屋なんて、一番に不要とされる仕事だと思ってました。でも…花や野菜の苗を買うお客さん、休校中のお子さんと育てるとのこと。家に飾る生花や観葉を買うお客さん、家にずっといるから…と。花って不要じゃないんだ。こんなときこそ必要なのかもしれない」
外出自粛、最低限の買い物のみ、となると花屋なんて、一番に不要とされる仕事だと思ってました。でも…花や野菜の苗を買うお客さん、休校中のお子さんと育てるとのこと。家に飾る生花や観葉を買うお客さん、家にずっといるから…と。花って不要じゃないんだ。こんなときこそ必要なのかもしれない。
— 木村 咲 (@_kimura_saki_) April 22, 2020
そんなつぶやきをツイッターに投稿したのは、花屋につとめる木村咲さん。外出自粛に自宅生活、テレワーク。そして子どもたちの休校が長引くさなか、人々が求めているのは、部屋の中の雰囲気を明るくしてくれる花々であったり、庭先やプランターに寄せ植えされている花々なのかもしれません。
このつぶやきには大きな反響が「花はそばにあるだけで気持ちに元気を与えてくれる大切な存在」「お部屋にグリーンがあると、ストレス緩和になると思います」などなど、多くの人が植物たちに癒やされたり元気をもらっている様子。また、「震災後止めていたガーデニングを復活しました」「この世に必要の無いことはあまりありません」といったリプライも。
さらに、野菜の苗などはよく売れている様子。休校の間に子どもたちが育てたり、家庭菜園を作って楽しむ人が増えたようです。そのせいか、「野菜苗メーカーで働いてる者です。普段この時期は繁忙期なのですが、今年は更に忙しくなっております…」というメーカー側の忙しさに拍車がかかっている声も届いていました。
■ 今年の母の日は5月丸ごととはいえ、今年は例年に比べて花き業界全体の売り上げが落ちていることは新聞やニュースなどでの報道の通りです。繁華街、特に夜の街にお花を置いてもらっているお店は休業、廃業したり、百貨店の休業に伴ってテナントの花屋さんも休業となっているところも多い様子。
木村さんの花屋は、スーパーのすぐそばという立地条件もあるのか、前年比で約3割減という事ですが、立地によってかなり差が大きそうとの事でした。
そして、この時期だと5月10日の母の日に合わせて注文が増えるそうですが、生花は全て手作業で出荷作業をしていくので、室内に何人もの人が出荷作業を行う事は、「3密」のうちの2つを満たしてしまう事に。受注が集中する事で出荷作業も新型コロナウイルスの危険度が増してしまう事になるのです。
そこで、花き業界では「今年の母の日は5月丸ごと母の月!5月は毎日母の日!」という取り組みが全国規模で行われるとの事。全国的に「5月は母の日月間」とする事で、母の日のお花の注文を分散化してもらい、出荷作業や配達が混雑しないよう配慮を、という取り組みがなされています。
■ 在宅中の心の癒やしにお花はいかが?でも注意も現在、花き業界全体はかなり厳しい状況に置かれています。花は需要時期を見込んで何か月も前から大切に育て始めます。しかし、コロナ禍の影響により折角花が開いても販売するところがない状況。出荷すらままならず、さらには値崩れも起こしている状況です。
こうした状況を少しでも救うべく、是非一人でも多くの方にお花を購入してもらいたい!と思うわけですが、少しだけ注意点も。
▼一家総出でぞろぞろ行かない
買う時の場所についてですが、先に紹介したホームセンターの方からの声にもあるとおり、現在ホームセンターには多くの客が訪れているそうです。それに加えて、花屋が近くにないからといってホームセンターに花苗や土などだけを家族で買いに行くような人が増えるとパニックにもなりかねません。
そこで提案したいのが、スーパーなどに行った際に「ついで買い」をしてほしいということ。スーパー等には切り花や、時に花苗も売られています。そして次に提案したいのが、お花屋さんでの購入。
花屋は小規模なところが少なくありませんが、ホームセンターよりかは混雑していない場合もあるようです。外から覗いて、混んでいるか混んでいないかが分かるレベルの小規模店が多いですからね。行って誰かいたなら、外で待っていればいいだけの話。とはいえ、家族総出で、というのは絶対に控えてほしいのは大前提です。そして、店内の状況をみて1~2人でパパっと買う分には大丈夫だとおもわれます。もちろん、長時間の滞在は密を作るのでNGです。
ちなみに筆者がお勧めしたいのは、お花屋さんに行って欲しい花束のイメージ(入れて欲しい花など)と予算を伝えて“おまかせ”で見繕ってもらう方法。注文時に料金さえ払っておけば、花束を作ってもらっている間に他の用事を済ませることもできます。あとはできたころに顔を出して受け取るだけ。短時間で済ませられ、密も避けられますし、実はこの方法で買うと単品で買うより少しだけお得になることもあります(おまけの花が1~2本入っていたりする)。他にも、お店HPで予約注文、通販や電話予約ができるならばそれを利用するのも手ですね。
▼ペットがいる家は注意して
そして、もう一つ大事な注意事項が。猫などペットを飼っているおうちで切り花をいける事を考えている場合は細心の注意を払って欲しいという事。特に猫はあらゆる場所へと登っていきます。そして、若い猫ほど見慣れないものがあると、好奇心で近寄っていきます。
筆者が猫を飼い始めた時は、カウンターに花瓶を置いてお花をいけていました。しかし、少し離れていた時にカウンターの方から大きな「ドンガラガッシャーン」という音。明らかに何かが割れた音と、部屋の中をダッシュしていく猫で勘付きました。以来、ベランダなど屋外で花を育てるように。
加えて花類は猫にとって、強い毒となる事もあり得ます。ユリ科の植物はいけていた水を猫が舐めただけでも毒。花や茎を噛んで数日後に死んでしまうという事故も相次いでいるのです。ユリ科植物以外にも多くの植物が猫にとって毒性があるので、もしどうしても切り花をいけるのであれば、絶対に猫が近寄れない場所を確保してください。
どうか、猫を飼っている人は、完全室内飼いの上、庭やプランターなどで花や緑をめでて欲しい、猫好きからの心からのお願いでした。
<記事化協力>
木村 咲さん(@_kimura_saki_)
(梓川みいな)
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