地球観測衛星センチネル6A 2020年11月打ち上げに向け環境試験中
おたくま経済新聞 / 2020年5月7日 17時59分
音響チャンバ内のセンチネル6A(Image:Airbus/Daniel Miller 2020)
欧州宇宙機関(ESA)の地球観測衛星センチネル6Aは、2020年11月の打ち上げに向け、ドイツのミュンヘン近郊にあるオットブルンで、環境試験を実施しています。5月6日(ヨーロッパ中央時間)にメーカーであるエアバスが、打ち上げ時を想定した音響試験の様子を公開しました。
センチネル6Aは、地球の海洋における変化を宇宙から長期的に観測する衛星2機のうちの1機。10日ごとに海氷に覆われていない海面の約95%を観測し、海流や波高、風の様子を観測します。
このプロジェクトにはアメリカのNASAやNOAA(海洋大気局)も参画しており、海面からの水蒸気量などの海洋気象データを共有します。また、海岸線の変化も記録し、海面上昇がどれくらいのペースで進んでいるのか、2030年代にかけて長期的に観測することも重要なミッションとなります。
人工衛星の組み立てが終了し、打ち上げに向けて重要なステップとなるのが環境試験。スペースチャンバと呼ばれる施設に入り、宇宙空間を模した真空状態で、太陽に照らされた高熱と日陰の超低温にさらされ、機器が問題なく動作するかが確認されます。
また、打ち上げ時にはロケットの轟音と振動にもさらされます。組み付けが悪ければ部品が脱落したり、配線が切断されたりして、衛星が機能を果たせなくなってしまうため、それをシミュレートした音響振動試験も実施します。
センチネル6Aが入れられたオットブルンの音響試験用チャンバは、広さ約100平方メートル。壁面には身の丈ほどの巨大なスピーカーが複数設置されています。もちろん、チャンバは防音構造となっており、入り口を閉めると音は漏れません。
音響試験では、打ち上げ直後のロケットエンジン燃焼時間を模擬して60秒間、最大140dBの音響にさらされます。人間が肉体的苦痛を感じる限界の騒音レベルが約130dBとされていますから、それを上回る音量。試験ではこれを4回繰り返します。
これら環境試験が終了すると、センチネル6Aは2020年11月の打ち上げに向けて最終チェックに入ります。2025年には、姉妹機であるセンチネル6Bの打ち上げが予定されており、2機体制で海洋観測を実施していくことになります。
<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/Daniel Miller/Sandra Walther
(咲村珠樹)
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