23時間飛びっぱなし!アメリカ空軍B-1Bが3週連続でヨーロッパ諸国と共同訓練
おたくま経済新聞 / 2020年5月22日 18時35分
スェーデン空軍のグリペンと編隊飛行するB-1B(Image:USAF)
アメリカ空軍は2020年5月19日から20日にかけ、ヨーロッパ北部でNATO加盟国空軍との共同訓練を3週連続で実施しました。アメリカから離陸したB-1Bは23時間余りにわたって飛び続け、スウェーデンの訓練場で初めて近接航空支援訓練も行っています。
ヨーロッパにおける長距離戦略爆撃任務部隊(BTF)のミッションとして訓練を実施したのは、サウスダコタ州エルスワース空軍基地の第28爆撃航空団に所属する2機のB-1B。現地時間の5月19日に離陸し、大西洋上で空中給油を受けてヨーロッパに向かいました。
2機のB-1Bは、イギリス上空でアメリカ空軍第351空中給油飛行隊(イギリス空軍ミルデンホール基地)のKC-135から空中給油を受けると、イギリス空軍のユーロファイター・タイフーンと編隊飛行を実施。その後北欧のノルウェーに向かいました。
ノルウェーでは、オーランド空軍基地を離陸したノルウェー空軍第332飛行隊のF-35Aと合流。戦術的な編隊飛行訓練のほか、オーランド基地上空を低空飛行しています。
北海上空でオランダ空軍第334飛行隊(アイントホーフェン空軍基地)のKDC-10から空中給油を受けたB-1Bはスウェーデンへ。スウェーデン空軍のグリペンと合流し、編隊飛行訓練を実施しつつ北部のヴィードセルス訓練場へ移動。ここでスウェーデン軍と共同で近接航空支援(CAS)の爆撃訓練を初めて実施しました。
この訓練について、スウェーデン空軍のカール=ヨハン・エドストロム少将は「今回の主な目的は、爆撃機の護衛と近接航空支援の方法と手順を作ることと、空中給油の経験を積むことでした。我が国と同盟国との相互運用性を実証し、互いが信頼できるパートナーであることを示す良い例です。大西洋を挟んだアメリカとの共同訓練は我々の能力を高めてくれます」と語っています。
再び第351空中給油飛行隊から空中給油を受け、北欧での訓練を終えたB-1Bは、5月20日にエルスワース空軍基地に帰着しています。飛行時間は日付をまたいで23時間あまり、4回の空中給油で1度も着陸することなく訓練を終了しました。
B-1Bのヨーロッパ遠征飛行訓練は、5月4日~5日、5月11日~12日に続いて3週連続。5月4日~5日の訓練ではエストニアのタパ訓練場で、エストニア軍を中心としたNATO加盟国軍と連携して、近接航空支援の地上誘導員(JTAC)訓練にも協力しています。
アメリカ欧州アフリカ空軍司令官のジェフ・ハリガン大将は「長距離爆撃訓練は、ヨーロッパとアフリカ双方の同盟国との確固たるパートナーシップを強化し、我々の戦略爆撃機がどこからでもグローバルに対処できる能力があることを示すものです。この任務にシームレスな運用を行える同盟国を加えることで、相互運用性をさらに強化することができます」と、訓練の意義についてコメントしています。
このように、飛行中の爆撃機と複数の国が連携して訓練を実施するには、参加各国でのスケジュール調整や空中給油のタイミング、飛行ルートなど、様々な折衝が事前に必要です。長距離爆撃訓練は、実際に飛行している時だけでなく、準備段階から各国の指揮系統における相互運用性の訓練にもなっているのです。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
ノルウェー空軍 ニュースリリース
スウェーデン空軍 ニュースリリース
Image:USAF/MoD Crown Copyright 2020/スウェーデン空軍/エストニア空軍/ノルウェー空軍
(咲村珠樹)
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