同人イベントの事件簿「釣り銭詐欺」「旧札」「記念硬貨」のトラップ

おたくま経済新聞 / 2020年9月6日 18時0分

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同人用釣り銭皿

 同人即売会、それは1人1人の「好き」が集まったイベントです。それはとても素晴らしいものなのですが、どうしても色々な「好き」が集まってしまうため、考え方の違いが多方向におよんでしまい、トラブルが発生しやすい場でもあります。

 筆者は同人に関わって(買い物や売り子も含む)今年で23年目、最初は同人という言葉の意味も分からず、いきなり知り合いに連れ出された先が即売会の会場でした。本コラムでは、そんな筆者が実際に体験したもの、あるいは仲間内の同人作家さんが遭遇したトラブルの中から、特に気をつけておきたいサークル参加時の「釣り銭詐欺」など、様々なお金にまつわるトラブルについて書いていこうと思います。

■ 釣り銭は多めに

 即売会にサークル参加する際、重要なのは頒布物と釣り銭、最低限これがないと始まりません。しかし、予想に反して足りなくなることもしばしば……頒布物が足りなくなるのはある意味嬉しいトラブルですが、釣り銭が足りなくなると大変です。

 イベントによっては緊急時の場合、両替してくれるケースもありますが、あくまでこれは主催者の「厚意」でしてくれるものであって、基本的には金銭トラブルが発生する恐れがあるので対応していません。あらかじめ多めに用意しましょう。

 釣り銭は頒布物の価格にもよりますが、例として300円と500円の本を50冊ずつ出す場合、

・500円硬貨:30枚くらい
・100円硬貨:70枚くらい
・1000円紙幣:40枚くらい

 この程度の用意があれば十分かなと思います。それでも、1万円紙幣の支払いが立て続けに来た場合は足りなくなることもあるので、状況に応じて「1万円紙幣の場合お釣りが出せなくなる」旨を告知しておくと良いと思います。

■ いまだに多い釣り銭詐欺

 サークルの売り子は馴れるまでが大変で、コンビニ業務10年の筆者でもいまだに釣り銭を間違えそうになります。しかもコミケの参加者は、開会後1時間くらいまでは「早く目指す本(グッズ)を全部手に入れなければ!」という気持ちが強く、気が立っていることが多いですから、そのムードに飲まれて早く会計を終わらせようとすると余計混乱してしまいます。

 そんな売り子さんに対し詐欺を働く人がおり、コミックマーケット準備会をはじめとする同人イベント主催者も注意喚起をしています。代表的な例を挙げていきましょう。

■ 「5000円、1万円渡した」詐欺

 これは頒布待ちの参加者がスペース前に列を作り、忙しいタイミングにつけ込む場合が多い印象です。手口としては、1000円紙幣を出されたので、お釣りを渡そうとしたら「5000円(または1万円)渡しましたよ」と言ってくる詐欺です。

 この詐欺は多くの人がスペースにやってきて、忙しくて細かく丁寧に相手をする余裕がない時間帯に発生することが多いので、

・極力複数人で確認(スペースに来てくれた方含め3人以上が望ましい)
・品物を用意する人とお金の受け渡しをする人を分ける
・周囲の人にも聞こえるように、出された紙幣の額面を「〇〇円札〇枚」と読み上げ確認する
・開会後1時間は高額紙幣の5000円、1万円での対応はできないと事前に告知する
・お釣りを渡すまではお金を受け取らず、釣り銭皿(カルトン)に見えるように載せておく

 という方法があります。ただ、この方法も一長一短で目を離した隙に、通りがかりの人にお金を持っていかれそうになるケースも……。

 お金のやり取りの際は目を離さないのが鉄則ですが、個人的には勘違い防止のため、複数人での確認が一番確実かなと思います。一般参加の側としてもトラブル防止で、事前に1000円紙幣や小銭で軍資金を用意しておくのが良いかなと思います。余計な時間を喰って、目当てのものが手に入らなくなるのが一番辛いと思いますし……。

■ 海外硬貨を渡す詐欺

 外国の硬貨……というか韓国のウォンの中には、日本の100円や500円に大きさや見た目が良く似た硬貨があります。その為替レートは日本円より低く、安く買われる(しかも銀行では紙幣でないと外貨両替できないのでサークル側は丸損となる)というものです。

 以前、自動販売機で重くした500ウォン硬貨(500円硬貨より500ウォンの方が若干軽い)を入れて機械を騙し、釣り銭を盗む手口が横行しましたが、対策が取られた自動販売機と違い、人間はミスをしやすいのでいまだに多い手口です。

 相手が勢い良く小銭を握らせてくる感じで預かると、チェックが曖昧になってしまい、あとで気付いた時には手遅れという状態です。対策としては、紙幣での釣り銭詐欺と同じく受け取り時の確認をして、お金の受け渡しが終わった後に品物を渡すようにしましょう。

 詐欺ではないのですが、サークルによっては「海外の通貨歓迎」というところもあり、対応できる通貨での価格も明示している場合もあります(例:漫画家・速水螺旋人さんの「ボストーク通信社」ではロシア通貨のルーブルが使えます。事前に用意したルーブルの釣り銭が足りず、お釣りが出ない場合もあり)。

■ 記念貨幣での支払い

 これは「珍しいからプレゼントを兼ねて」という気持ちからか、ジャンルによっては記念貨幣で支払う方もいます。一時期は、地方自治法施行60周年記念貨幣の500円硬貨で支払いをされていた方が評論ジャンル、東方ジャンルではちらほら見かけました。

 今だと、東京オリンピック・パラリンピック競技大会を記念した貨幣が何種類も発行されています(第4次発行分が2020年11月4日から引き換え開始)。記念貨幣での支払いをお断りしているサークルさんもあり、支払いする人と揉めていたのも見かけることもありました。支払いはお互いの同意を得てから行ないましょう。

 ■旧札、旧貨幣のトラブル

 これは、若い同人サークルさんを中心に起こりやすいトラブルです。同人イベントでは、どうしても欲しい本があるけどお金が心もとない……といった事情から、やむなく昔コレクションしていた旧札等(現在でも貨幣として通用するもの)を念のため持ってくる、という事も……。

 こういったことは珍しくもなく、コンビニでもあるのですが、接客業かつレジ業務をしたことがない人も多く、見たことのないお金(日本円)を出されてとまどう事も。それにより偽札と勘違いしたサークルさんが、館内スタッフに通報するという事もありました。

 分かりにくいお金での支払いはサークル、一般参加者、それぞれに確認の時間が掛かってしまうので、極力なくした方が良いかなと思います。なお、筆者の感覚では、一番多いのは旧500円硬貨(昭和54年〜平成11年発行分)、続いて旧1000円札(夏目漱石・伊藤博文・聖徳太子)、2000円紙幣(現行紙幣でも沖縄以外での流通量が少ない)、500円紙幣(岩倉具視)がよく見られます。

 なお、500円硬貨は偽造防止のため、2021年(令和3年)発行分から表裏のデザインはそのままで、2色3種類の金属(ニッケル黄銅・白銅・銅)を重ねた「バイカラー・クラッド」硬貨に変更されます。2024年からは、1万円(渋沢栄一)、5000円(津田梅子)、1000円(北里柴三郎)の新紙幣が流通するようになるので、今後も注意が必要です。

■ 同人誌即売会が復活した時のために

 新型コロナウイルス禍が続き、2020年9月現在、密閉空間に大勢の人が集まる大規模な即売会が開催できない状況が続いているので、同人誌即売会での感覚を忘れそうになっている方もいるのではないでしょうか。

 そのため、これまでの即売会で起きていたトラブルを記録しておき、即売会が再開された時に参照して、改めて気を付けようという思いで今回のコラムを書きました。現在の状況がいち早く落ち着いて、かつてのように大規模な即売会が開催できる様になると嬉しいです。

(戦魂)

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