互いの支え合う関係がよく分かる!紙コップで作る「食物連鎖ピラミッド」
おたくま経済新聞 / 2020年9月27日 18時0分
紙コップで作る「食物連鎖ピラミッド」
学校の理科の時間で「食物連鎖」という言葉を学び、教科書に描かれたピラミッド状の図を見た覚えのある方は多いと思います。でも実際の関係はどうなっているのか、図だけではピンとこない人もいるのではないでしょうか。生物が互いに支え合って生きていることを視覚的に示す、紙コップで作る食物連鎖ピラミッドがTwitterで話題です。
紙コップで作る「食物連鎖ピラミッド」をTwitterに、動画付きで投稿したのは、小学校の理科における実験工夫を日夜考えているという、理科実験おたすけ隊(@otasukerikabox)さん。子どもだけでなく、大人にも理科を楽しんでもらいたいと、小学校で習う内容を中心にして、理科実験の提案や理科ネタの紹介をツイートしています。
今回公開された「食物連鎖ピラミッド」は、小学校6年生の「生物どうしのつながり」を学ぶ単元で使える教材として投稿されました。
紙コップに生き物の姿を描き、それを生物相ごとに並べて積み重ね、ピラミッド状にしたもので、下から上に向かって、捕食する(食べる/食べられる)関係を表現しています。
一番下の段には、落ち葉や動物の死骸を分解し、豊かな土壌を作るミミズやダンゴムシ、そして微生物たち(分解者)。その養分で育つ植物が2段目に。そして植物を食べる昆虫(草食動物)が3段目、4段目にはそれを食べるカエル(小型肉食動物)。一番上にはトビ(大型肉食動物)がいます。
このままだと単なるピラミッドなのですが、仕組みが秀逸なのはここから。
たとえば、トビのすぐ下にいるカエルがいなくなったとして、カエルの紙コップを引き抜くと、上に載ったトビの紙コップも支えがなくなって落ちてしまいます。つまり、生きていけないということ。
この関係は、ほかの段でも同じです。下の段に行けば行くほど、いなくなってしまった時の影響が大きくなります。乾燥や土壌汚染で、一番下のミミズやダンゴムシ、微生物が減ってしまうと、上に乗ったすべての生き物が転がり落ち、生きていけなくなるということを視覚的に理解できます。
環境問題で、生物多様性や生態系の維持が重要だ、という話はよく耳にしますが、それぞれの生き物が互いに支え合っている、ということが紙コップの「食物連鎖ピラミッド」を組み立てることで理解できるのです。
理科実験おたすけ隊さんは、取材に「もちろん親子で楽しんでいただいてもいいですし、大人の方が小学生時代を思い出したり、昔はこんなの習わなかったなぁと思いながら体験していただいて、少しでも理科に興味を持っていただければ」と、投稿の意図を語ってくれました。
意図せぬ大きな反響で驚いた、という理科実験おたすけ隊さんですが、おおむね好評の中にも、生物や環境を専門にされている方を中心に、「一次生産者(この場合は植物)が一番下に来るべきで、分解者(ミミズやダンゴムシ)はピラミッドに含まれないのではないか」という意見も寄せられたとのこと。
確かに「生物相」というものには、分解者となる微生物などを含めるかどうか、専門家の間でも意見が分かれている面があり、その点では「説明が不十分だったかもしれない。が、議論はあるけれども、普段意識しない(あまり見えない)分解者の部分にも着目してもらい、授業の中でさらに理解を深めてほしいため、生産者の下に「分解者」の段階を作った」と理科実験おたすけ隊さん。
ただ、あくまでもこれは教科書で食物連鎖や環境についての学習を進める上で、補助的に活用する想定で作られたものだそう。そのため、あえて「生物が相互に支え合う関係を単純化して見せる」目的で作ったとのこと。
実際の自然界は、もっと多様な生物が複雑に関係し合っています。「これをきっかけに食物連鎖や環境、理科に興味を持って、自分で調べてくれる人が増えると嬉しいと思いますし、理科教育に携わる方がこの紙コップピラミッドをブラッシュアップし、子どもたちに伝えてくれると嬉しい」と、理科実験おたすけ隊さんは語ってくれました。
理科実験おたすけ隊さんは、Twitterで情報発信しているほか、Facebookでも同様に小学校の理科を対象とした実験の提案や、理科ネタを紹介しています。小学校の場合、理科は身近なもの(生活体験)をきっかけとして学んでいくことが多いもの。これらを目にすることで、身近な「不思議のタネ」を見つけてくれるといいですね。
6年理科の単元用に、食物連鎖ピラミッドを作りました pic.twitter.com/ew0JJOGxOI
— 理科実験おたすけ隊 (@otasukerikabox) September 13, 2020
<記事化協力>
理科実験おたすけ隊さん(@otasukerikabox)
(咲村珠樹)
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