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深海魚ハンター西野勇馬さん 今度は日本最大級のバラムツをしとめる

おたくま経済新聞 / 2020年10月4日 18時0分

深海魚ハンター西野勇馬さん 今度は日本最大級のバラムツをしとめる

西野勇馬さんと釣り上げた日本記録級のバラムツ(西野勇馬さん提供)

 メディアに「深海魚ハンター」として登場するなど、これまでに釣りで34種類の世界記録(重量ベース)を樹立している大学生の西野勇馬さんが、今度は巨大なバラムツを釣り上げました。体長は釣り上げた西野さんと同じくらいの172cm、検量待ちだという重量は日本記録(34.30kg)に迫る大きさだといいます。

 西野さんにお話をうかがうと、これは2020年9月26日に開催された深海釣り大会での釣果だそう。大会では神奈川県は三浦市小網代沖の相模湾に船を出し、14時終了(納竿)のスケジュールだったといいます。

 仕掛けを下ろしたのは、水深約400mという中深層(200~1000m)にあたるタナ。ヒットしたのは、大会の終了(納竿)時刻1分前の13時59分だったそうです。ここから深海魚とのファイトが始まりました。

 深海釣りはタナが深いため、通常はライン(道糸)の巻き上げが楽な電動リールを使うことが多く、タナの水深をセットすれば自動的に仕掛けを下ろしてくれ、巻き上げる時も高トルクモーターがグイグイ巻き上げてくれます。しかし西野さんの場合、世界記録や日本記録に挑戦しているため、自分の手による巻き上げ。

 ラインを通じ、数百m離れた魚との格闘は25分ほど続きました。その間、西野さんは全身の力で竿を引き上げ、戻す動作に合わせてリールを巻き上げる「ポンピング」を繰り返します。西野さんが提供してくれた、釣り上げる場面の動画を見ていると、ユラリと海面に獲物の姿が見えてきました……うわ、おっきい!

 わずかにピンクを帯びた体色の魚が上がってきました。魚もかなり疲労しているようですが、それでも最後のあがきを見せ、身をひるがえして竿先をグッと海中に引き込もうとします。それに対抗する西野さん。


 タモ網が差し込まれ、ようやく船上に魚を収容。やはり重量があるらしく、タモ網を持ち上げる人も足を踏ん張っています。


 釣り上げられたのは、バラムツと分かりました。「ムツ」という名前がついていますが、見かけが高級白身魚のムツに似ているだけで、実際はムツ科ではなくクロタチカマス科の魚。「バラ」の名は体色がバラ色という意味ではなく、ウロコがバラのトゲのようになっていることからで、このトゲは鋭く怪我をするほどだとか。

 西野さんの自己記録では、1年前の2019年9月29日に神奈川県の東京海底谷、水深500mで釣り上げた139.1cmのバラムツが最高なので、体長172cmは自己記録更新の釣果。検量用の秤が壊れてしまい、新しいものを手配して検量するため冷凍保存しているそうですが、30~35kgくらいだろうとのこと。もし34.30kg以上あるとIGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)認定のオールタックル日本記録となるそうです(現在のバラムツ日本記録は、2013年7月25日に中前悦尚さんが和歌山県白浜沖で釣り上げた34.30kg)。

 検量後は解体して、食べたいという西野さんの友人と食べる予定だとか。ただし、バラムツの身には深海魚にありがちなワックスエステル(人間が消化できない脂質)が大量に含まれており、食べるとお腹を壊す(油脂瀉下)ため市場への水揚げが禁止されています。西野さんもその点はご承知なので、食べるのは微量ずつにするそうです。

 バラムツは大型の深海魚で、中には2mを超える個体もあるとか。そんな魚と長時間格闘した西野さんは、全身が筋肉痛気味になってしまったそうです。このバラムツを釣り上げる様子は、西野さんのYouTubeチャンネルにて動画公開されています。

<記事化協力>
西野勇馬さん(@nanukazame1)

(咲村珠樹)

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