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アメリカ駆逐艦が日本海で「航行の自由作戦」 ロシアは失敗と発表もアメリカは否定

おたくま経済新聞 / 2020年11月25日 21時0分

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ピョートル大帝湾で「航行の自由作戦」を実施する駆逐艦ジョン・S・マケイン(Image:U.S.Navy)

 アメリカ海軍太平洋艦隊司令部は2020年11月24日、日本海北部のウラジオストクに近いピョートル大帝湾で、駆逐艦ジョン・S・マケインが「航行の自由作戦」を遂行したと発表しました。ロシア側は駆逐艦アドミラル・ヴィノグラドフが追い払ったと発表しましたが、アメリカは誤りだと主張しています。

 日本海北部、ロシア沿海地方にあるピョートル大帝湾は、入り口の幅が約200km、奥行きが約80kmある日本海最大の湾。沿海地方最大の都市ウラジオストクは、ピョートル大帝湾に突き出したムラヴィヨフ半島の先端に位置します。

 1984年、当時のソ連は湾の入り口を結ぶ約106海里(約190km)の線を領海線とし、ピョートル大帝湾全体を古くからの歴史的領海として宣言しました。国際法で認められた領海は海岸線から12海里(21.6km)までの範囲なので、差し渡し106海里もあるラインは当然、領海とは認められないのですが、ソ連崩壊後のロシアもソ連の主張を受け継ぎ、ピョートル湾全体は歴史的経緯から領海である、という立場です。

 アメリカ海軍は、国際法に反した一方的な領海の主張に対し、そこが1982年の海洋法に関する国際連合条約で規定された国際海洋法に基づく、自由な航行が許された公海であるということを示すため、世界各地で「航行の自由作戦」を展開しています。日本でよく知られているのが、中国が領有を主張する南沙諸島や西沙諸島におけるものですが、中米ベネズエラ沖などでも行われているものです。

 ロシアが領海であると主張している、日本海のピョートル大帝湾も当然「航行の自由作戦」の対象海域。神奈川県横須賀に前方配置されている駆逐艦ジョン・S・マケイン(DDG-56)を派遣し、ピョートル大帝湾内部のロシア海岸線から12海里以上離れた海域を航行し、そこが公海であるというアメリカの立場を示しました。

 ロシア側は、ジョン・S・マケインがロシアの主張する領海を隔てる線から2km入り込み、領海を侵犯したとして太平洋艦隊の駆逐艦アドミラル・ヴィノグラドフを派遣し、当該海域からマケインを退出させたと報道発表を行いました(現在ロシア国防省サイトに当該のニュースリリースは確認できません)。が、アメリカ海軍の発表によると、ロシアの発表は誤りであり「航行の自由作戦」は誰からも妨害されることなく遂行されたとしています。

 アメリカ海軍の発表では、アメリカは「航行の自由作戦」を通じ、航海の自由と海の合法的な利用を支持するという姿勢を明らかにしている、としています。その権利を侵害し、脅迫や非合法な手段で権利を主張する行為を容認しない、たとえロシアであっても、との立場を示しています。

<出典・引用>
アメリカ海軍太平洋艦隊 ニュースリリース
Image:U.S.Navy/ロシア国防省

(咲村珠樹)

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