アメリカの州兵が感謝祭恒例「幸せのおすそ分け」活動を実施
おたくま経済新聞 / 2020年11月28日 18時0分
感謝祭イベントで地域住民に食料を配るノースカロライナ州兵(Image:U.S.Army)
11月の最終木曜日はアメリカの祝日「感謝祭(サンクス・ギビング・デー)」。この日は1年の実りを感謝するとともに、恵まれない人に「幸せのおすそ分け」をして、コミュニティ全体で実りを分かち合い、感謝するというのが恒例行事。ノースカロライナ州兵は感謝祭を前にした24日、地元のフードバンクと協力し、食料を無料で配布するドライブスルーイベントを行ないました。
感謝祭が現在の時期になったのは、フランクリン・D・ルーズベルト大統領時代の1941年、祝日法が制定されたことによるもの。それまでは年に2回あったといいます。
感謝祭の起源は、入植した開拓民が初めての収穫を迎え、その実りをもたらしてくれた神と大地に感謝をささげるというもの。開拓民のコミュニティ全体で祝ったことから、現代では恵まれない人におすそ分けをし、ともに感謝の気持ちを共有しましょう……という「フリーフード」のボランティア活動も各地で行なわれています。
自然災害などで郷土を守るために出動する各地の州兵も、毎年感謝祭シーズンに地元の慈善団体と連携し、フリーフードのイベントを開催しています。ノースカロライナ州兵は、地元のセカンドハーベスト・フードバンク・オブ・サウスイースタン・ノースカロライナと協力し、11月24日にファイエットビルの多目的アリーナ、クラウン・コロシアムでフリーフードイベントを開催しました。
新型コロナウイルスの感染拡大が続く状況を考慮し、今回は接触を最小限にするためドライブスルー方式を採用。州内各部隊から27名の兵士が集まり、準備を進めます。
兵士たちは州内の新型コロナウイルス対策支援のため、2020年9月に招集された177名の一員でもあります。フードバンクのデビッド・グリフィンさんは「物流やその他のシステムに精通した州兵の皆さんなくして、今回のイベントは実現できませんでした」と、州兵の働きに感謝のコメントをしています。
第30機甲師団第236旅団工兵大隊からイベントに参加したハンター・メイナー少尉は「およそ2か月前に応召したばかりなので、もちろんこれも初めての経験なのですが、非常に重要なことだと思っていたので志願しました。私たちはここのコミュニティの一員ですし、同時に隣人の皆さんをいつも気にかけており、手助けをしたいと思っています」と、今回のフリーフードに参加した動機を語っています。
メイナー少尉は5月にノースカロライナ州立大学を卒業したばかり。しかも今回の会場となったクラウン・コロシアムから5分ほどの場所で生まれたとあって、イベントには特別な思いがあるようです。
メイナー少尉は「軍が海外で活動している内容については知られているとは思いますが、州兵が国内で何をしているのか、特にこのような危機的状況での活動については、十分にスポットライトが当たっているとは言えません。今回のイベントは地元のコミュニティに貢献できるので、私にとって大事なことだと思うんです。私はここで生まれ育ったんですから」とも語っており、故郷への思いが強いことを感じさせます。
感謝祭の2日前に開催された今回のフリーフードイベント。地域の1300家族が来場し、ファイエットビルのあるカンバーランド郡では最大のものとなったといいます。フードバンクは様々なルートから、およそ7万ポンド(約31.75トン)もの食料を調達し、来場者に配布しました。
フードバンクのグリフィンさんは「新型コロナウイルス感染拡大という状況下においては、今回のようなイベントは非常に重要な意味を持ちます。食料を入手する手段が限られるため、私たちが必要な食べ物を提供するということが大切なんです」と、今回のフリーフードイベント開催の重要性を訴えています。
このほか、州兵たちはフードバンクの活動支援として、カンバーランド郡の学生たちと高齢者に、それぞれ1000食以上の食事を提供しています。州兵たちは、海外で活動するほかの軍に比べて地味な印象がありますが、様々な意味で「郷土を守る」活動に従事しています。
<出典・引用>
アメリカ陸軍 ニュースリリース
Image:U.S.Army
(咲村珠樹)
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