【ジブリグッズラボ】非売品の中でも人気が高い「劇場用卓上スタンディ」前編
おたくま経済新聞 / 2020年12月5日 15時0分
撮影:くろすけ
非売品ジブリグッズコレクターがおくる「ジブリグッズラボ」。今回は数ある非売品グッズの中でもシリーズ化されていて人気も高い、劇場用卓上スタンディを前編、後編の2回に分けてレビューします。
そもそも「劇場用卓上スタンディ」って何?と思うかもしれませんが、簡単に説明すると映画館に行くと置かれているボール紙でできた立て看板みたいなアレの卓上版です。
用途としては、作品宣伝の一手法として劇場の受付などに置かれることが多いですね。
ジブリ作品ではこのような宣伝方法を「おもひでぽろぽろ」(1991年公開)から行っており、当時はタエ子のぬいぐるみをプラスチック製の専用台座に乗せて使っていました。
以降ぬいぐるみシリーズは「耳をすませば」(1995年公開)まで続き、「もののけ姫」(1997年公開)以降のジブリ作品では(「レッドタートル ある島の物語」(2016年公開)除く)ポスターデザインを模した(「猫の恩返し」(2002年公開)を除く)レリーフ調の精密な造型物へと変わっていきます。
造型はジブリグッズの販売元で有名なベネリックが手掛けており、作品を追うごとに緻密で完成度の高いものになり、非売品グッズの中でも特に人気の高いものになっていきました。
それではまず、ぬいぐるみシリーズの一番手である「おもひでぽろぽろ」から始めようと思ったのですが、筆者のコレクションにはないので(苦笑)、持っている「紅の豚」(1992年公開)から始めましょう。
■ 紅の豚(1992年)「紅の豚」の卓上型スタンディは1989年よりスタジオジブリ作品のぬいぐるみを手掛け始めたサンアローの製品を使用しており、ぬいぐるみ単体での自立はできないので腰のベルトに引っ掛かる様スタンディングバーが台座に付属しています。
ぬいぐるみも大きめのサイズを使用しているので、高さもそれなりにあって存在感がかなりありますね。
■ 平成狸合戦ぽんぽこ(1994年)「平成狸合戦ぽんぽこ」では、小さめ狸たちの集合体になっており、こちらもサンアロー製のぬいぐるみが使用されています。
まだこちらの卓上スタンディを持っていなかった時は、こんなに小さいぬいぐるみの集合体だから数体紛失してしまっているとかで「(ジブリグッズ非売品コレクターとしても)コンプリートするのは難しそうだなぁ」と思っていたのですが、実は紛失防止の観点からか、6体のぬいぐるみが見えないように糸で繋いであるというのはさすがだなぁと思いました。
■ 耳をすませば(1995年)「耳をすませば」の卓上型スタンディは、デブ猫ムーンが主役の座を射止めました。こちらも引続きサンアロー製のぬいぐるみを使用しています。
台座にはムーンの尻尾が引っ掛かからないように、気持ち程度ではありますが枠の部分に逃しが施されています。
ムーンのぬいぐるみの中でも大きめのサイズのものを使用しているので、何気に重量もあってどっしり感がすごいです…さすがはデブネコ……。
■ もののけ姫(1997年)「もののけ姫」から卓上型スタンディの歴史はぬいぐるみからレリーフ調の造型物へ変わります。
製作はどんぐり共和国でお馴染みのベネリック。以前のバロンフィギュアの記事でも触れましたが、この年にヒューリックとハンドベルが卸売部門の統合をしてベネリックになりましたね。
宮崎監督の描き下ろしによる第二弾ポスターデザインを模したレリーフ調の置物は再現度が高い上、インパクトも強く、後のジブリ作品でもこのタイプの卓上型スタンディシリーズは続いていくことになります。
■ ホーホケキョ となりの山田くん(1999年)「ホーホケキョ となりの山田くん」でも第二弾ポスターデザインを立体化させたものになり、その完成度は卓上型スタンディの中では最高峰(笑)
ただ、山田くんのロゴは造型されておらずシールのみとなっています。外周りは額縁をモチーフにしており、本来であればそれを支える木製の専用額立てが付属します。私の持っているのは額立てが欠品だったので、ダイソーの皿立てを使っているのであしからず(笑)
■ 千と千尋の神隠し(2001年)「千と千尋の神隠し」では、宮崎監督が初期に描いたイメージボードの構図が第二弾ポスターのデザインの元になっており、卓上型スタンディはそちらのデザインを模して製作されています。
こちらは千尋の再現度がとても高いのが目を引きますね。個人的にはシャドウの入った豚が妙にリアルなので、そっちに目が行ってしまいましたが(笑)
■ 猫の恩返し&ギブリーズ episode2(2002年)「猫の恩返し&ギブリーズ episode2」では、「耳をすませば」以来の劇場作品二本立てになり話題に。
ポスターの方は各作品別で作られていることもあってか、今回だけポスターの絵柄にない構図での立体化になっています。そしてこの作品から、徐々に卓上型スタンディの造りは半立体から更に立体的、繊細になっていき、破損リスクの高い置物へとなっていきます(笑)
前述のとおり「猫の恩返し」からの卓上型スタンディでは、アルアル破損ポイントもご紹介していきます(笑)
まずはバロンのステッキから!まぁ見れば一発で折れそうだよなってニオイがプンプンするんですけれども案の定、折れます。このぐらいだったらチョット妥協して半立体にしておけば折れなくて済んだものを……。(心の声)
そしてもう一つは「ギブリーズ episode2」の野中君のフィギュアですね。こちらは完全に立体フィギュアが台座にのっている感じなので、やっぱりポキッと……でも、バロンのステッキほどは折れているのを見かけないですね。
と、「劇場用卓上型スタンディ」について前編をお送りしてきましたが、正直、全部そろってからやりたいと思っていた企画です。しかし、いつになったら揃うのかなんてまーったくわからんのでやってしまいました(笑)
以前、ご縁があってスタジオポノックにお邪魔したときに元スタジオジブリの西村プロデューサーとお話をさせていただいた時のことなんですが、その時に劇場用卓上スタンディのお話をしたんですよ。
そうしたらこれだけコストの掛かる卓上スタンディはスタジオジブリだから作れるのであって、他ではなかなか作れるものではないです。と、仰っていました。
こうしてみると、「おもひでぽろぽろ」から始まった卓上型スタンディの時はまだ市販グッズの延長線上にあって、宣伝用に転用しているだけなのでそこまでは今ほどコストは掛からなかったとは思うんですよ。
でも、宣伝と販促費で約20億円の巨額を投じた「もののけ姫」からは転用品ではなく、非売品の販促物として、しかもよりコストの掛かるレリーフ調の置物に変わっているんですよね。
それを考えると、いかに宣伝や販促費にお金がかかっているのかがわかりますし、関係者の間では実は前評判の低かった「もののけ姫」という作品に、スタジオジブリが賭けていた意気込みというのが垣間見られるので、色々と妄想を巡らせるのもグッズ収集をしている上での楽しみの一つでもあります。
(非売品ジブリグッズ収集家・くろすけ/@kurosuke4313)
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