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ヨーロッパの火星探査機ExoMars ローバーと着陸ステージの結合試験はじまる

おたくま経済新聞 / 2020年12月10日 19時0分

ヨーロッパの火星探査機ExoMars ローバーと着陸ステージの結合試験はじまる

ExoMarsのローバーとプラットフォーム(Image:タレス・アレニア・スペース)

 フランスのカンヌにあるタレス・アレニア・スペースで、ESA(欧州宇宙機関)とロシア(ロスコスモス)の火星探査計画「ExoMars」に使用される、探査ローバーと着陸プラットフォームの結合試験が2020年12月8日から始まりました。実際に探査ローバーを載せて重量バランスを計測し、適切な搭載位置を決定します。

 火星探査計画「ExoMars」は、ヨーロッパとロシアの宇宙機関が共同で実施するもの。当初は2020年夏の打ち上げを予定していましたが、新型コロナウイルス禍により人員の往来が阻害されるなどスケジュールが遅れ、地球と火星の位置が適切な距離になるタイミングから、2年後の2022年9月20日に打ち上げることとなりました。

 探査機の着陸モジュールは、ヨーロッパ側が作る探査ローバーロシア側が作る着陸プラットフォームなどで構成されます。エアバスで作られた探査ローバーには、イギリスの女性科学者の名に由来する「ロザリンド・フランクリン」という名前がつけられています。


 ロシアのラヴォーチキン記念科学製造合同(旧ソ連時代のラヴォーチキン設計局)で作られた着陸プラットフォーム「カザチョク」は、探査ローバーの拠点となるもの。ラヴォーチキンは、旧ソ連時代に世界初の無人月探査ローバー「ルノホート」を作るなど、豊富なノウハウを有する会社で、名称の「カザチョク」は、ロシア語でコサックダンスを意味します。

 着陸プラットフォーム「カザチョク」には前後にスロープが設けられ、探査ローバーは状況に応じて適切な方向から火星表面へ降り、探査を始めることができます。探査ローバーは探査が終わるごとにプラットフォームに戻り、収集したデータをプラットフォームに転送して、プラットフォームと軌道周回モジュールを通じて地球へ送信します。

 今回の結合試験では、着陸プラットフォームと探査ローバーとの電気的結合や、データ転送が問題なく実施できるかを確かめるとともに、探査ローバー搭載時の重量バランスを測定。火星表面へ降下する際、姿勢が乱れないよう、適切な搭載位置を決定します。

 この結合試験が終わると、一旦ローバーとプラットフォームは分かれ、ローバーはイタリアのトリノで最終的な動作試験を実施する予定。打ち上げが2年後に延期されてしまいましたが、準備は着実に進められます。

<出典・引用>
ロスコスモス ニュースリリース
Image:タレス・アレニア・スペース/ESA

(咲村珠樹)

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