偉い人には分からんのですよ 「RGジオング」題材のコマ撮りアニメがまさにリアルグレード
おたくま経済新聞 / 2021年1月1日 18時0分
ジオングのガンプラで撮影したストップモーションアニメ動画が話題に。
被写体となる絵やモノをすこしずつ動かしながら何枚もの画像を撮影し、それを連続再生することで動いているようにみせる「ストップモーション・アニメ(コマ撮りアニメ)」。Twitterユーザーの雪代さんが制作した動画投稿が、先日Twitterで大きな反響を呼びました。
「【コマ撮り】上司が理解できない怪物『RGジオング』爆誕」というタイトルで、自身のTwitterにて作品を投稿した雪代さん。元々趣味で、コマ撮りやオモ写(オモチャを撮影した作品)の撮影をされている方です。
今回投稿した動画はその最新作。どういった内容かというと、人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場する「赤い彗星」ことシャア・アズナブルが、劇中で最後に搭乗するMS(モビルスーツ)である「ジオング」を題材にしたもの。
元々「ガンプラ(ガンダムのプラモデルの総称)」好きの雪代さんは、「『RGシリーズ』の中でも、最新ガンプラなので早く制作したいと思い選定しました」とのこと。
※RG(リアルグレード)とは、株式会社バンダイが展開する「機動戦士ガンダムシリーズ」に登場する機体を立体化したプラモデル(通称:ガンプラ)の中で、1/144スケールで展開しているシリーズのこと。
そこで、2020年11月に東京都新宿区で開催されたガンプライベント「GUNPLA EXPO TOKYO 2020」に足を運び、ガンプラ「RG(リアルグレード)ジオング」を購入し、さっそく制作に入りました。(注:雪代さんが購入した「RGジオング」は、2021年1月より、バンダイから発売予定のものですが、「GUNPLA EXPO TOKYO 2020」ではこちらが「先行販売」されており、雪代さんはそれを「早期購入」したという形になります。)
こうして制作された「ジオング動画」。時間にすると約2分(1分50秒)の動画なんですが、制作期間は1か月に、総使用画像枚数は3000枚を超える超大作。その中で、「ガンプラが生きているような表現と、外装パーツをカッコよく見せることを意識しました」というテーマのもとで制作されました。そのため、動画内では、随所に様々な“ストーリー”が散りばめられています。
まずは格納庫と思わしき場所より、内部パーツからジオングの「組み立て作業」が始まります。それにしても、今回の「RGジオング」は、この部分のパーツもかなり精巧ですね。これは、ぜひ実際に組み立ててみたいところ。私事ですが、筆者もガンプラを少々嗜むのですが、発売日が待ち遠しいです。
“作業”が30秒ほど続き、全体の「内装部分」の組み立てが完了したジオングですが、ここで何を思い立ったか急発進。「メイン武装」である、指先に搭載しているメガ粒子砲を発射。しかしながら、ジオング(仮)状態では当然ながら発射されません。しかし、その原因が分からないジオング(仮)は、「エネルギー切れか?」と言わんばかりに、“砲身”である自らの指先をチェック。違うそうじゃない。
「訳がわからないよ……」と言いたげなジオング(仮)でしたが、ふと見上げると、そこにはRGジオングのパッケージに写し出された”あるべき姿”である「RGジオング」の姿が。それを見て合点がいったのか、「なるほど」と言わんばかりに、ポンと手をひと叩きしたジオング(仮)。「RGジオング」になるべく、再び作業に戻ります。
身を委ねること約40秒。残りの外装部分が取り付けられ、ジオング(仮)はついに「RGジオング」に!それもつかの間、顔面のモノアイ部分が赤く作動し、早速「戦場」へと急発進していきます。
戦場へと急行した「RGジオング」でしたが、さっそく「連邦の白いヤツ」に攻撃。
今度は正常に“作動”した指先のメガ粒子砲に加え、両手を重ね合わせて「一斉掃射」。さらに、腕部に搭載されていたワイヤーにより、有線のオールレンジ攻撃。“白いの”の、ビームライフルによる反撃を華麗にかわした後は、もう片腕のオールレンジ攻撃に、腰部にも備えているメガ粒子砲でさらなる一撃。そして、「白い悪魔」の“ラスト・シューティング”な反撃をかわしたジオングは、頭部部分のみをパージ(分離)し、モノアイを光らせながら、口径部のビーム砲を……というところで動画は終了。
ちなみにこちらの動画は、BGMもついてのものなんですが、これが緊迫感を漂わせる曲調となっており、アニメーションのアクセントとなっています。こちらは、「曲を選定するため、YouTubeで候補曲を検索していた際に目にした方なんです」という、うっちーぜろさん(@Ucchii0)が制作した楽曲「【壮大なフリーBGM】Come Home【海賊の大航海風BGM】No Copyright Music」を、本人の許可を得て使用されたとのことです。
「本編視聴経験者」ならニヤリとせざるを得ない演出に加え、コミカル要素のコマ撮りが加わった雪代さんの投稿動画には、Twitter上でも大大反響。いいねの数は4万を超え、さらに再生回数は何と60万回を突破。さらには、世界各国からの「ガンオタ」から、「コマ撮りとは思えない」「RGジオング」といった内容の激賞の嵐となりました。
この反響には、雪代さんも驚きと嬉しさが入り混じり、大変ありがたく感じたそうなんですが、一方でこんな思いも。
「実は今も制作している『コマ撮り』はあるんです。けど、正直それは、今回ほど評価はされないかなと思ってまして(笑)ただそうだったとしても、自分の表現したいガンプラの表現は変わりません。今後も、コマ撮りを使ってそれを続けていきたいと思っています」
ちなみに雪代さんは、今回のジオング動画において、「コミカルな動きや浮遊感を出すこと」といった点もこだわって制作されました。これにより、先述した「生きている表現」をより伝わるのではないかと考え、意識的に撮影されたそう。
「自分にとって、ガンプラでコマ撮りをする際は、『可愛く、面白く、カッコよく、感動的に』出来る可能性が無限大にあると思っているんです」と熱く語る雪代さんのこれまでの作品も、本編の名場面の「再現動画」にしても、どこかコミカルな要素も取り入れたものに。またとある作品では、人気ドラマのED時に披露されたダンスを、ガンダムとシャアザクにて再現したというものなんですが、その投稿動画もまた当時話題となっています。
ともすれば、「あり得ない」表現も敢えて取り入れているのが「雪代流」。今回の作品も、途中のジオング(仮)演出は、「絶対不可欠」なものではないのかもしれません。しかし、そういった「個性」があったからこそ、こうしてSNS上で反響になり、数多くのファンアート作品で彩られている「ガンダム」という作品が、またひとつ魅力的なものになっているのかもしれません。
ちなみに筆者も、雪代さんの動画に今回魅了された一人。次回作を心待ちにしたいと思います。
【コマ撮り】上司が理解できない怪物『RGジオング』爆誕#コマ撮り #RGジオング #ガンプラ #動くオモ写 #StopMotion pic.twitter.com/iuEmVmxPlW
— 雪代 (@yukishiro__3) December 21, 2020
<記事化協力>
雪代さん(@yukishiro__3)
(向山純平)
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