アメリカ空母ニミッツの中東撤収を中止 イランの軍事活動活発化が理由
おたくま経済新聞 / 2021年1月4日 21時0分
母国への帰還が中止となり中東に残ることになった空母ニミッツ(Image:U.S.Navy)
アメリカのミラー国防長官代行は2021年1月3日(現地時間)、中東に派遣している空母ニミッツの帰還を中止し、中東での警戒任務継続を命じたと発表しました。2020年12月下旬に連続して発生した、イラクのアメリカ大使館に対するロケット弾攻撃がイランの支援によるものと断定し、その軍事的活動の活発化に備えるものとしています。
1月3日は、2020年にイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官が、アメリカ軍により殺害された日。ソレイマニ司令官の死亡から1年になるこの日が近づき、イラクにあるアメリカ大使館は12月20日と27日に相次いでロケット弾攻撃を受けました。
これらの攻撃による死者・負傷者はいなかったものの、大使館の入る建物は破壊されました。アメリカはこの攻撃を実行したのは、イランの支援を受けたローグ民兵組織によるものと断定。アメリカ人だけでなくイラク市民も攻撃対象であると判断しています。
アメリカ国防総省の発表によると、イラクに駐留しているアメリカ軍部隊は2020年10月以来、11回の攻撃にさらされており、12月29日にはイランが支援しているヒズボラに対し、アメリカ軍が反撃を実施したとのこと。ソレイマニ司令官が殺害された1月3日を中心に、さらに攻撃がエスカレートすることが予想されるとしています。
空母ニミッツは2020年12月31日、10か月に及ぶ中東地域への派遣任務を終え、帰還するよう命令が出されたばかり。交代する空母が海域に到着するまでの軍事的空白を作るべきでない、という判断から、しばらくアメリカ中央軍の活動範囲である中東に残ることとなりました。
ミラー国防長官は声明で「トランプ大統領やそのほかのアメリカ政府高官に対し、イランの指導者が先日出した脅迫に対処するため、ニミッツの交代を中止するよう命じました。ニミッツは引き続きアメリカ中央軍の活動範囲に残ります。アメリカの決意を疑うべきではありません」としています。
※初出時、ミラー氏の肩書を「国防長官」としていましたが、ミラー氏は連邦議会の承認が済んでおらず「国防長官代行」が正しい表現となります。お詫びして訂正いたします。
<出典・引用>
アメリカ国防総省 プレスリリース
Image:U.S.Navy/USCENTCOM
(咲村珠樹)
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