エアバスA400M輸送機 ヘリコプター2機への同時空中給油に成功
おたくま経済新聞 / 2021年4月20日 19時30分
空中給油試験中のEC725(H225M)とA400M(Image:DGA)
フランス軍事省装備総局(DGA)とエアバスは、エアバスA400Mが2機のヘリコプターに対し、同時に空中給油する試験に成功したと2021年4月19日(現地時間)に発表しました。機体の両側から安全に空中給油が可能であることを証明し、空中給油機としての型式証明取得へ一歩前進する結果です。
ヘリコプターへの空中給油では、回転するローターが邪魔になるためフライングブーム式が使えず、プローブ・アンド・ドローグ方式のみとなります。この方式は両翼に給油装置を装備でき、同時に複数機への給油も可能となりますが、安全に給油できるかは実地試験が必要です。
フランス軍事省装備総局(DGA)は、A400Mのメーカーであるエアバスと協力し、フランス航空宇宙軍のカゾー第120空軍基地(BA 120)に所属するEC725(H225M)ヘリコプター2機を使って試験を実施。A400Mは、ボルドーの第106空軍基地(BA 106)を拠点に2021年3月22日〜4月2日の期間、フランス南西部で様々な条件下における空中給油を行いました。
試験では高度1000フィート(約305m)から1万フィート(3048m)まで、速度(対気速度)は低速から最高105ノット(時速約194.5km)までの範囲で昼夜に実施。計25時間の飛行時間で、給油シミュレーション(ドライコンタクト)のほか、81回の給油(ウェットコンタクト)で合計6.5トンの給油を成功させました。この中には2機のヘリコプターに対する同時給油も含まれます。
一連の試験の結果、2019年〜2020年に実施された単独機への空中給油試験と同様の好結果が得られ、2機同時に空中給油を実施しても問題ないことが確かめられたといいます。H225Mの場合、空中給油を1回実施することで航続距離は700海里(約1296km)、飛行時間は10時間まで伸ばすことができるとのこと。
ヘリコプターへの空中給油は、特に特殊部隊を進出させる際、非常に重要なポイントになります。A400Mがこの能力を実証したことで、エアバスでは残る夜間運用試験をクリアし、2021年中にヘリコプターへの空中給油に関する証明を取得したいとしています。
<出典・引用>
フランス軍事省 ニュースリリース
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/DGA/フランス航空宇宙軍
(咲村珠樹)
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