ロシアで恒例の「戦車バイアスロン世界選手権」始まる 2021年は19か国が参加
おたくま経済新聞 / 2021年8月24日 15時0分
アラビノ訓練場で開催中の「戦車バイアスロン世界選手権2021」の様子(Image:ロシア国防省)
毎年恒例の戦車を使ったスポーツ大会「戦車バイアスロン世界選手権」が、ロシアの首都モスクワ郊外にあるアラビノ訓練場で2021年8月22日より始まりました。
2021年はアフリカからマリが初参加。このほか開催国ロシアをはじめ、中国やベラルーシなど各国を代表する戦車兵が集まり、日頃の訓練で鍛えた技量をスポーツの形で競います。
戦車の操縦、射撃など、戦車兵にとって必須の戦技をスポーツ(レース)の形で競うのが「戦車バイアスロン」。
2013年に第1回大会が開催され、現在は軍隊の様々な職種における技術をスポーツ化した“軍隊版オリンピック”である「インターナショナル・アーミー・ゲーム」の一部門として行われています。
2021年の大会には、アフリカのマリから士官候補生のチームが初参加。ホスト国であるロシアのほか、19か国が参加して開催されます。
使用される戦車はT-72、もしくは同等のものと規定されており、中国のみ国産の96式戦車を使用。
競技は前回の成績に応じて2つのディビジョンに分かれており、レースは赤・黄・青・緑の4色に塗り分けられた戦車で実施されます。
8月16日に行われた組み合わせ抽選で、チームごとの色分けは次のように決定しました。
【ディビジョン1】
赤:中国、ベトナム、セルビア
黄:ウズベキスタン、モンゴル、ベラルーシ
青:シリア、アゼルバイジャン
緑:ロシア、ベネズエラ、カザフスタン
【ディビジョン2】
赤:ラオス、カタール
黄:キルギスタン、南オセチア
青:マリ、アブハジア
緑:ミャンマー、タジキスタン
参加は1か国あたり3チームとなっていますが、初参加のマリは今回1チームのみの参加となりました。レースを前に、各国代表チームは入念なトレーニングを重ねます。
戦車バイアスロンのステージは、全チームが参加する「個人レース」と、12か国のチームが参加する「リレー」があります。リレーは各チーム1両の戦車を3組の乗員がリレーするという形式です。
競技のコースはスラローム、水濠、丘、線路橋、対戦車壕などを組み合わせた、実戦的な「障害物競走」。これに主砲、対空銃座、同軸機銃による射撃を組み合わせ、射撃に失敗すると最後に「ペナルティトラック」を失敗した回数だけ周回します。
開幕戦となった8月22日のディビジョン1個人レースでは、ロシア、中国、ウズベキスタンが出場。
これまで優勝を他国に譲ったことのない絶対王者ロシアが全ての射撃を無難にこなし、19分34秒の好タイムで走破したのに対し、中国が同軸機銃での射撃に失敗するまさかの展開で21分56秒と出遅れました。ペナルティトラックを除いた走破タイムではロシアと互角だっただけに惜しまれます。ウズベキスタンはノーミスで23分31秒でした。
22日のディビジョン2個人レースでは、ミャンマーが28分57秒でトップ。主砲で2回、対空銃座で1回の計3回ミスしたのですが、スムーズな走りで射撃ミス3回のキルギスタン(32分12秒)、2回のラオス(32分50秒)を上回りました。
初出場のマリは射撃のミスを1回に抑えたものの、戦車の操縦で遅れをとり、40分50秒で4位に終わりました。
8月23日のディビジョン1個人レースを制したのはモンゴル(23分57秒)。射撃もノーミスで、同じく射撃をノーミスで終えた2位ベトナム(24分58秒)を1分以上引き離しました。3位は射撃を1回ミスしたベネズエラ(31分55秒)。4位のシリアは射撃をノーミスでクリアしたものの、走行にスムーズさを欠き39分35秒となりました。
大会第3日となる8月24日には、ディビジョン1(セルビア、ベラルーシ、アゼルバイジャン、カザフスタン)とディビジョン2(カタール、南オセチア、アブハジア、タジキスタン)、それぞれ1レースずつが実施されます。各日のレースの様子は、ロシア国防省の公式YouTubeチャンネルで生配信する予定です。
<出典・引用>
ロシア国防省 ニュースリリース
「インターナショナル・アーミー・ゲーム2021」公式サイト 「戦車バイアスロン」ページ
Image:ロシア国防省
(咲村珠樹)
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