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江戸時代の大掃除では仕上げに胴上げ? 不思議な風習の意味は

おたくま経済新聞 / 2021年12月31日 19時30分

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江戸時代の大掃除では仕上げに胴上げ? 不思議な風習の意味は

 新年を迎えるにあたり、多くの家庭では大掃除を行います。日頃の掃除では落としきれなかった汚れを落とし、すっきりした気分で新年を迎えるわけですが、江戸時代の商家などでは、大掃除の最後に主人を胴上げする風習があったんだとか。なぜ、大掃除と胴上げが結びつくのか、これにはちょっとした理由がありました。

 年末の大掃除やすす払いは、日常の掃除では落としきれていなかった、1年の汚れを落として新たな年を迎えようという行事。これは正月に歳神を迎えるにあたり、家を清浄にしようというところから来ています。いわば家の潔斎(神社で神前へ進むのに先立ち、心身を清めること)のようなものです。

 江戸時代、多くの人が働く商家では、大掃除も人数をかけて大々的に行われました。店や生活の場である奥までもきれいにし、新年も商売が繁盛するよう、願掛けにも似た気持ちがあったのではないかと思われます。

 大掃除も終わり、1年の汚れをきれいさっぱり落とした後、締めくくりの儀式として行われたのが、主人の「胴上げ」。今ではスポーツで優勝した際に見られる光景ですが、優勝したわけでもないのに、なぜ主人が胴上げされるのでしょうか?

 胴上げは古くは「胴ぶるい」とも呼ばれ、民間信仰の中で祭礼などイベントの際に「神送り」の儀式として行われるケースがあります。また、大掃除で家の汚れを払った後、今度は家の主人についた汚れを胴上げで落とし、歳神を迎えるにふさわしい状態にしようという側面もあったようです。

 現在でも大相撲の世界では、土俵に神様をお迎えして場所が滞りなく終わった千秋楽、神様を天にお返しする「神送り」として、神事をおこなってきた行司さんを全員で胴上げする伝統があります。元々は親方を胴上げしていたようですが、さすがに元力士は重くて事故が起きたことがあり、身軽な行司さんを代わりに胴上げするようになったんだとか。

 また、この胴上げをネタに、ちょっとしたイタズラもあったようです。胴上げは屋内で行われるため、少し力を加減して主人を天井にわざとぶつけたりすることも。

 現在では、主人を胴上げする風習はほとんどなくなってしまいましたが、もし人数が揃った場合は体験してみるのも良いかもしれません。ただし、わざと落としたり、天井にぶつけようとイタズラだけはしないでくださいね。

<千秋楽の様子>
神送りの儀式。
最後に御幣を持った行司を胴上げします。本場所初日の前日に行われた「土俵祭」で土俵にお迎えした神様を、天にお送りするという儀式です。神送りの儀式が終わると、土俵祭の際に埋めた鎮め物を掘り起こします。胴上げは木村勘九郎。#sumo #相撲 #三月場所 #春場所 pic.twitter.com/LvNZrlT9UK

— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) March 22, 2020

<参考>
日本相撲協会公式Twitter(@sumokyokai)

(咲村珠樹:宮崎県民俗学会員)

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