アメリカ国防総省 極超音速兵器を探知する人工衛星網構築計画を明らかに
おたくま経済新聞 / 2022年1月13日 13時30分
衛星通信アンテナを展開するアメリカ海兵隊員(画像:USMC)
アメリカ国防総省宇宙開発庁(SDA)のデレク・トーニア(Derek Tournear)長官は2022年1月12日(現地時間)、極超音速滑空兵器を飛行中に探知・追跡できる人工衛星網の構築計画を明らかにしました。
これは、オンラインで開かれた宇宙戦略に関するフォーラムにおいて言及されたもので、地球規模で極超音速滑空兵器の探知・追跡をする衛星を複数配置するとのことです。
各国で開発が進む極超音速滑空兵器。現在はロケットで宇宙空間に打ち上げ、マッハ5以上の極超音速で滑空しながら姿勢を制御し、進路変更が可能な弾頭(突入体)が実験段階に入っています。
現在のシステムでは迎撃が困難だという極超音速滑空兵器。しかし極超音速で降下する前、発射から宇宙空間にある時点ならば速度も遅く、迎撃のチャンスがあります。アメリカの計画は、その段階で探知・追跡する人工衛星網を構築しようというものです。
トーニア長官の発言によれば、探知・追跡用の人工衛星は、国際宇宙ステーションの周回軌道(高度約400km)より少し高い高度1000km~1200kmの低軌道(LEO)に、GPS(全地球測位衛星)と同じく複数配置されます。特定の場所を継続的に監視するならば静止軌道の方が優れていますが、低軌道ではより小規模なロケット発射時の熱源を精密に探知することが可能。
そしてGPSと同じく、複数の衛星からの探知・追跡情報を照合することで、より正確な発射地点を特定でき、また予想軌道も精密に測定可能。ミサイルなどで迎撃しやすくなるという訳です。
次の段階としてトーニア長官は、衛星網からの情報をほぼリアルタイムで迎撃システムの発射管制へと転送する仕組みが必要になると発言。大量のデータを瞬時に転送できる、レーザー通信衛星網の構築が必要だと語りました。
計画では、2024年9月に第1陣として144機のデータ中継衛星を打ち上げはじめ、衛星通信網の初度戦闘適用段階を達成するとのこと。そして2024年または2025年に、探知・追跡衛星を28機打ち上げ、地球規模での監視網を構築するとしています。
小型の衛星を多数打ち上げることについて、トーニア長官は「敵対勢力が衛星破壊兵器で攻撃してきても、機能が維持される冗長性を確保するため」と理由を説明しています。インターネット網と同じように、どこかで障害が起きても別のルートで機能維持が可能であるならば、攻撃による無力化はより困難になることでしょう。
宇宙開発庁は国防総省のもと、2019年3月に設立されたアメリカの将来宇宙戦略を担う組織。2022年10月には、アメリカ宇宙軍にその役割を移譲する予定である、ということもトーニア長官は述べています。
<出典・引用>
アメリカ国防総省 ニュースリリース
画像:DoD/USSF/U.S.Army/USMC
(咲村珠樹)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
「超厄介なミサイル」撃ち落とす! 日米共同開発の"最新鋭迎撃ミサイル" でノースロップ・グラマン社案の採用決定 日本の役割は?
乗りものニュース / 2024年9月27日 15時12分
-
新迎撃弾、グラマン社に決定=日米、開発計画合意
時事通信 / 2024年9月26日 8時44分
-
ロッキード・マーティンが自衛隊に狙う次の一手 新レーダーや垂直発射装置のビジネスチャンス開拓に熱
東洋経済オンライン / 2024年9月19日 10時0分
-
怪しい兵器開発計画が目白押し、目的は防衛産業へのバラマキ…自衛隊は強くならない(文谷数重/元3等海佐・軍事研究家)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月19日 9時26分
-
吉利の宇宙企業が衛星打ち上げ、中国版「スターリンク」構築へ
ロイター / 2024年9月6日 14時25分
ランキング
-
1ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
ねとらぼ / 2024年10月1日 7時30分
-
2メルカリで「返品したいので住所を教えて」と言われました。教えないといけませんか?
オールアバウト / 2024年9月30日 21時20分
-
3北斗晶の「なんちゃってわらび餅」がめちゃうま 材料3つで簡単に作れる
Sirabee / 2024年9月29日 12時0分
-
4「老眼はいつから始まる?」「老眼鏡は何歳から?」自宅で簡単にできるセルフチェック方法をメガネ専門チェーンが解説
マイナビニュース / 2024年10月1日 8時42分
-
5“秋の旅行”人気ランキング 3位大阪、2位北海道…1位は? 「海外より国内」45% 円安以外の理由も【#みんなのギモン】
日テレNEWS NNN / 2024年10月1日 10時33分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください