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スクラッチは楽しいですよ 電飾モデラーがラピュタ「タイガーモス号」を自作

おたくま経済新聞 / 2022年3月5日 12時0分

スクラッチは楽しいですよ 電飾モデラーがラピュタ「タイガーモス号」を自作

スクラッチは楽しいですよ。電飾モデラーが天空の城ラピュタの「タイガーモス号」を自作。

 アニメ「天空の城ラピュタ」に登場する飛行船「タイガーモス号」。

 乗っているドーラ一家をはじめ、ラピュタ劇中でも印象的な空中海賊船ですが、Twitterユーザーのどろぼうひげさんは、ファンアート作品として製作されました。

「#おいでよスクラッチ沼
今はファインモールドさんから素晴らしいキットが出てるけど、まだ無かった頃フルスクラッチしたタイガーモスです^^
ラピュタの映像見ながら再現していく工作は楽しかったなー(*^^)」

 自身のTwitterで「タイガーモス号」のファンアート作品を紹介したどろぼうひげさん。「フルスクラッチ」という言葉通り、ゼロから作り上げています。

 「宮崎駿氏のアニメはどれも名作揃いですが、僕は特に『天空の城ラピュタ』が大好きでして。その中でも劇中に登場する『タイガーモス号』は、鳥のようなデザインがたまらなく魅力的で、『ぜひとも模型が欲しい!』と思っていたんです」

 作品の魅力とともに、製作に至る背景を語るどろぼうひげさん。ただ、肝心の「タイガーモス号」は模型キットとしての取り扱いがなかったそう。そこで、事前に図面を作成し、主にプラ材を用いて立体化しています。

製作にいたっては事前に図面を作成。

 まず飛行船の根幹ともいえるガス袋(気嚢)は、建築資材の「スタイロフォーム」を使用。これを削り出し、緩やかな局面など細かい部分は、プラバンで作った内側の構造に肉付けすることで形を整えています。

建築資材のスタイロフォームを使用した気嚢部分。

独特の曲面はプラバンで肉付けしています。

 なおプラバンに関しては、プロペラ部分でも“活躍”。独特な形状の8翅プロペラが再現されています。

プロペラ形成でも活躍しています。

 ところで、「タイガーモス号」といえば、「主人公 パズー、ヒロイン シータ」と「ドーラ一家」の交流が印象的。どろぼうひげさんは、その点についても反映させています。

 模型には「船首部分のコクピット」「ドーラたちの部屋」「フラップターの格納庫」と、思いつく限りの要素が満遍なく取り入れられていますが、そこには「シャルル」「ルイ」「アンリ」の三兄弟をはじめとした船員、調理に勤しむ「シータ」、チェスをプレイする「ドーラ」と「ハラ・モトロ」といった具合に、キャラクターを模したミニチュアたちの姿があります。

船内部分にも事細かに原作再現。

シータの調理シーン、ドーラのチェスシーン。

フラップター整備の様子。

 もはやアニメのワンシーンを切り取ったと言っても差し支えないレベルですが、どろぼうひげさんが施したギミックは、まだ他にもあるんです。

 実は、専用ガイドブックを数冊出版するほど、自身の作品に「電飾」を仕込むことに秀でた「電飾モデラー」でもあるどろぼうひげさん。編集部でも、過去に映画「スター・ウォーズ」に登場する「デス・スター」のファンアートについて記事で紹介しています。

「電飾モデラー」の一面を持つ投稿者。編集部でも過去に作品を紹介しました。

 本作「タイガーモス号」に関しても「手順も考えながら、取り付け作業を進めていきました」と語ります。先述の各エリアにはLEDを取り付け、照明の点灯が可能にすることで「日中」と「夜間」双方に対応することが可能。

タイガーモス号にも随所に電飾を取り入れています。

各部屋も夜間仕様に。

フラップターは原作を連想する方も多いかも。

 また、気嚢部分には電池を内蔵し、かつプロペラの基部に小型モーターを内蔵したことで、プロペラ部分が回転した飛行状態の再現も可能にしています。今回取材にあたり、どろぼうひげさんから作品画像を数点ご提供いただいているのですが、そこには、ガラス板の上に置いて、太陽光の下で撮影したタイガーモス号の雄姿をおさめたものも。本当に空に浮かんでいるかのようです。すげえ……。

内部に取り付けた電池とモーターにより、プロペラは動かせます。すっげえ…

 残念ながら、浮遊させることについては、さしものどろぼうひげさんも難しかったそうです。しかしながら、これだけのギミックを仕込むとなると、それなりのサイズ感になるのではと思いきや、本作は190分の1スケールで制作したとのこと。タイガーモス号は「全長42メートル・全高20メートル」という設定のため、すなわち全長22センチ、全高は10センチとなります。

本作はオリジナルの190分の1で制作。

 「『布で作られた部分の質感や、膨らんだ部分をどうやって表現するか?』使用する材料や工法含めて試行錯誤の連続でした。でも、フィギュアでアニメの名シーンを再現したり、部屋の内部や操縦席を再現して行く工作は最高に楽しかったです。『欲しいけど、どこにも売っていないから作る。』それが僕のものつくりの原点ですね」

 自身のモデラーとしての矜持を語るどろぼうひげさん。ちなみに、「タイガーモス号」の模型キットに関してですが、2016年に模型メーカーのファインモールドより発売されています。

 「ん?売ってないんじゃないの?」と一瞬混乱してしまいそうな情報ですが、どろぼうひげさんが「タイガーモス号」を製作したのは今から10年近く前の2013年。自身のブログ「どろぼうひげの製作記」では、「タイガーモス号 製作記」と題して当時の製作状況も記されています。つまり「製作当時はこの世に存在しなかった」ということ。

本作を制作したのは2013年。10年近い時を経ての再掲でした。

 なお、前回紹介したデス・スターの製作年はさらに遡って2011年。偶然にも、どろぼうひげさんが再掲した作品を今回も紹介する形となりました。

 しかしながら、いずれについても、長い時を経ても決して色あせることのない「傑作」というのは間違いなさそう。2つの作品とも、一度生で拝見したいところです。

#おいでよスクラッチ沼
今はファインモールドさんから素晴らしいキットが出てるけど、まだ無かった頃フルスクラッチしたタイガーモスです^^
ラピュタの映像見ながら再現していく工作は楽しかったなー(*^^) pic.twitter.com/RYYLLzDotP

— どろぼうひげ (@doro_hige) February 20, 2022

製作途中の画像も上げさせて下さい(*^^*)
スクラッチは楽しいですよっ! pic.twitter.com/on4AHsUpvv

— どろぼうひげ (@doro_hige) February 21, 2022

<記事化協力>
どろぼうひげさん(@doro_hige)

(向山純平)

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