より多くの人に楽しんでもらうために 体験展示型コスプレ「幻想郷システム」
おたくま経済新聞 / 2022年11月28日 18時3分
![より多くの人に楽しんでもらうために 体験展示型コスプレ「幻想郷システム」](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/otakuma/otakuma_20221128_02_0-small.jpg)
より多くの人に楽しんでもらえるために。体験展示型コスプレ「幻想郷システム」。
近年、デジタルテクノロジーの発展により、VR(拡張現実)などの様々な技術が飛躍的な進歩を遂げています。
日常レベルでも普及しつつある中で、「コスプレ」をより楽しむための体験展示型の「プロジェクションマッピング」を開発したプログラマーが現れました。
「幻想郷システム」と名付けたそれは、コスプレ活動の華「撮影」に新たな可能性を提示しています。
■ より「なりきり」が可能になった「幻想郷システム」
開発者は五味さん。最先端テクノロジーを活かした制作活動や、ものづくりスペースの管理者、プログラミング講師などを行っている人物で、無類のプリキュア好きです。
同人サークル「上海アリス幻樂団」が制作した作品、「東方プロジェクト」の舞台になっている架空の土地「幻想郷」が名前の由来となっている本作「幻想郷システム」。最大の特徴は、何かしらの動作をすると同時にエフェクトがかかり、それがリアルタイムでスクリーンに投影されるという点です。
例えば手を振り上げたり剣などの武器を振りかざすような動作を行ったりすると、骨格の動きからポーズが検出され、そこからビームや衝撃波や魔法陣など、多種多様な「必殺技」を「発動」させることができます。これをコスプレとあわせると「より作品世界観を再現できる」という演出です。
ちなみに、ロボットなどの「造形」を着用するコスプレイヤーの場合は、「出撃」や「機動」といった表現に応用できます。
他にも、キャラにあわせてエフェクトの色を変えたり、好きなタイミングで指定したポイントに出したりすることも可能。途中でそれを止めてスチル撮影(静止画)用の素材としても活用できるなど、より「なりきった」コスプレ活動が行えるのが「幻想郷システム」なんです。
■ 「OneTeam」だったからできた「元々、同人音楽サークルにギターとして参加していて、イベントでコスプレイヤーたちが売り子として手伝ってくれていたときの、『あぁ、ここが幻想郷なのか』という『非日常感』がきっかけでした」
「そこから『コスプレ×テクノロジー』をテーマに、いくつか『電飾衣装』を制作し、それらをイベントで展示した際に、様々な方が『コスプレ』に関わり、そして楽しんでいました。特に造形をされている方たちが、武器などを持って振れる『体験展示』を実施していたんです」
「『人に楽しんでもらえる作品』に興味を持った私は、『剣を振って斬撃や必殺技が出たら最高にクールではないか?』と考え、プロジェクションマッピングを制作しました。それがリアルタイムでスクリーン投影できることから、『体験』としても使えるのではないかと思い、改めてイベント展示したところ、作品ファンや、一般人でも楽しんでもらえるという感触を得て、より特化した作品である『幻想郷システム』の制作を決めました」
時系列順に、経緯を説明してくれた五味さんですが、多岐にわたる活動をしていることもあり、作品ごとにチームを組み、「プロジェクト」として制作にあたっています。なお、編集部でも過去に、「サイバーパンクなお札」「ティターンズ・コスプレ造形用のサブカメラ」を記事で紹介しています。
本作においてもプロジェクト化は同様ですが、今回はさらに多方面から「有志」が参画しました。
事の発端となった同人音楽サークル「EdelSounds」では、主宰の静丘さん(@Siz_oka)が「幻想郷システムプロジェクト」が中心となり、デジタル加工機・フルカラーLED・スマホの無線制御などを用いた「東方プロジェクト」の電飾衣装の制作を行い、「幻想郷システム」ではそのノウハウを活かしてプロジェクトのフォローを行っています。
人気ゲーム「Fateシリーズ」のプロジェクションマッピング制作の際は、先の「ティターンズ可変MS・コスプレ造形」でも組んだRealize+さん(@Realize_Plus)が新たにメンバーに加入。3Dモデルの制作と、それを用いたスクリーンへのプロジェクションマッピングが可能となりました。
本作最大の肝である「骨格検出」をシステムに組み込むことを決断したときには、「機械学習を利用したカメラからの映像利用」の技術を有していたうこさん(@ukokq)が新加入。当時課題であった、赤外線LEDのような「トラッカー」を使うことなく、ポーズの検出が可能となりました。
先日完成したプロモーションビデオでは、コスプレ撮影家LostLinkさんのYouTubeチャンネル「Rescue the Princess!」で配信。スチル撮影は井田達也さん(@idobataer)が担当し、紗愛さん(@su_zu_na_sc)と本田夕歩さん(@pon_chan216)が、それぞれ「東方プロジェクト」に登場する「博麗霊夢」「霧雨魔理沙」として「出演」。2人のキャラクターの華々しい衣装はなまこさん(@namakoxo)作。過去に発表されたDaiさん(@Dai_Herreria)作の「サイバーパンクお札」などを手に取り、視聴者が幻想郷にいると錯覚してしまうほどの世界観を伝えています。
と、まるでロールプレイングゲームのように、メンバーが都度加わりながら完成にこぎつけたのが「幻想郷システム」。誰か一人でも欠けていたら、恐らく完成には至らなかったでしょう。加えて、それぞれがそれぞれの「コスプレ愛」を有しており、同じ方向を向いた「OneTeam」であったからこそ、成し遂げることができたプロジェクトでもありました。
■ コスプレの新たな「原風景」にかつて五味さんが体感した「原風景」から生まれた「幻想郷システム」。11月5日・6日に開催されたロボットコスプレ展示会イベント「スーパーロボコス大展」では、チームとして出展し、参加したコスプレイヤーたちからも大好評だったそうです。
「童心にかえってポーズを撮って楽しまれたり、ガッツリ撮影に使われたり、デバッガーさながらのポージングテストをしていたりと、思い思いの楽しみ方をされていました。嬉しい限りですね」
とはいえ、全てが順調というわけでもなく、服装によっては検出の精度が落ち、出現するエフェクトなどの数量などにも改善の余地を残しているとのこと。
「今後もコスプレと、その撮影を楽しむためのアップデートは続けていきたいです」
全ては「コスプレ」に関わる人たちが、より「コスプレ」を楽しんでもらうため、そしてより良い「原風景」にしていくため、五味さんたちはこれからも開発を続けていきます。
#幻想郷システム は有志の開発チームで制作をしている、コスプレの撮影に特化させた体験展示作品です。
今まで様々なイベントで使っていただき、改良を加え続けています。
今後もイベント等で出展していきますので、ぜひ遊んで下さい! pic.twitter.com/IuuwCoKXvv
— 五味 (@GomiHgy) November 19, 2022
<記事化協力>
五味さん(@GomiHgy)
静丘さん(@Siz_oka)
RealizePlusさん(@RealizePlus)
うこさん(@ukokq)
井田達也さん(@idobataer)
紗愛(すずな)さん(@su_zu_na_sc)
本田夕歩さん(@pon_chan216)
LostLinkさん(@rtplostlink)
なまこさん(@namakoxo)
Daiさん(@Dai_Herreria)
(向山純平)
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