【オンラインゲーム千夜一夜】 第三回 ご長寿「国産MMORPG」といえば?
おたくま経済新聞 / 2022年12月12日 19時30分
![【オンラインゲーム千夜一夜】 第三回 ご長寿「国産MMORPG」といえば?](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/otakuma/otakuma_20221212_10_0-small.jpg)
【オンラインゲーム千夜一夜】 第三回 ご長寿「国産MMORPG」といえば?
早くも第3回となりました「オンラインゲーム千夜一夜」。そろそろ危ないネタも増えてくるかなと思いまして、業界人から色々言われるのではないだろうかと戦々恐々の筆者です、こんにちは。
さて、今回は国産のオンラインゲームの話をしていきます。国産といえば、やはりご長寿ゲームの某戦士の物語的な何かを取り上げようと思ったんですが、あれはもう20年も続いているビッグタイトル。紹介するまでもないかなぁとか。
それにしても、20年前のゲームタイトルが生き残っているのは素直にすごいなあと思います。ナンバリングタイトルとして新作も出ているのに未だにアップデートもされているし、ちゃんと古参プレイヤーが残っているんだろうなあと感心するわけです。
で、じゃあ別の国産MMORPGで何か一つピックアップしようと考えてみました。個人的には生産職にフォーカスを当てた2004年生まれの「ストラガーデン」(のちに「ストラガーデンNEO」に改称され2018年サービス終了)なども思い出深いタイトル。しかしながら、ここは第1回のウルティマオンラインにちなんで、マスターオブエピックを取り上げたいと思います。
「Master of Epic -The ResonanceAge Universe-」は2005年に配信が開始されたオンラインゲーム。現在も運営が続く、ご長寿タイトルの一つです。このタイトルはレベル制ではなく、スキル制となっているのが特徴の3DMMORPGなのですが、前進である「ResonanceAge」の系譜を現在に繋げるとても貴重な国産タイトルです。
サービス後半年ほどは株式会社ハドソンが運営を行い、その後ゴンゾロッソオンラインへと移管され、ウイローエンタテインメントに再移管。現在では株式会社MOEによって開発運営が継続しています。
そんな17年も続くマスターオブエピックには、第1回で紹介した「ウルティマオンライン」とユーザーレベルでのエピソードがあります。
「ウルティマオンライン」の遊び方の一つに対人戦、つまりプレイヤー同士の対戦などがあったのですが、その中でも特徴的なピットと呼ばれる1on1を戦場とするプレイヤーの存在が強く記憶に残っています。
筆者も対人戦プレイヤーとして遊んでいたのでピットにはよく顔を出していまして、ボッコボコにされてました、はい。
その後筆者はPKギルドやギルド戦などに参加するようになって、様々な経験を積むようになるわけですが……その時の話はまあ機会があれば。
話を戻しますとこの時のピットプレイヤーに超有名人がいました。その人が当時立ち上げ直前のこのゲームに移住するって話が出たんですね。
「Master of Epic -The ResonanceAge Universe-」は2005年に配信開始されていますが、すでにその前からこのゲームタイトルの開発についてはアナウンスがされていました。それに前進である「ResonanceAge」のαテストは2002年に、オープンβテストは2003年に行われています。
当時は「次世代の国産ウルティマオンライン」とプレイヤーの間では呼称されてまして、腕自慢の対人戦プレイヤーがこぞって移住をしていた時期でもあります。
この時期まだ「Free to Playモデル(プレイ料金無料)」は確立される前でして、月額課金での開始だったかと思いますが、スキル制による自由なキャラビルドや生産、消費のサイクルの構築、脳死でクリックするのではなく能動的に戦闘行動をとる……など対人戦プレイヤーが好みそうな調整がガシガシ入っていた記憶があります。
最終的には月額無料にアイテム課金という形に改められましたが、それでも尚このゲーム、魅力があり多くのプレイヤーが遊んだタイトルの一つになっています。
サービス開始時点で筆者はすでにオンラインゲーム業界へときていたため、ガッツリ遊ぶというよりは競合タイトルの調査もかねてプライベートで遊んでいました。遊びながら「ああ、あの時彼らがアナウンスしていたゲームってこうなったんだなー」という別の意味で感慨深い思いを抱いたものです。
割と3Dモデリングなどもしっかりしていて、多少パソコンスペックを必要としていましたが、確かにアクション性の高い戦闘など、2Dベースで作られていたウルティマには存在しないクオリティを感じて、一時は真剣に移住するかどうか悩んだくらいです。
そういえば筆者は未視聴なのですがアニメもやっていました……。この辺りは、運営会社ゴンゾロッソの関連企業にアニメ制作会社があった影響も大きかったのでしょうねえ。
まあオンラインゲームのアニメ化というのはなかなか難しく、賛否両論のあるものが多いのですが割と評判が良かった記憶があります。
筆者は正直黒歴史って言われないだけ全然良い評価だって思ってますが……おいちい!
17年……一つのゲームタイトルが生き残るには本当に長い時間です。
サービススタート当時に高校を卒業した若者がプレイを開始していたとして、今現在35歳……。社会の荒波に揉まれ、押しつぶされそうになりながら家へと帰ってきた時に、ふと気まぐれに電源を入れたパソコンで仲間と共にダイアロス島の冒険を楽しむ。変わらない世界、変わらない仲間、そして懐かしい思い出に浸れるというのは実にエモーショナルな体験。そういう時だけは現実の辛さを忘れて違う世界を楽しめるってのが、オンラインゲームの根源的な良さだと筆者は思うのです。
そう思うとなんとなくプレイしたくなってきますね……当時はこのゲーム高スペックのパソコンで動かすゲームだったはずなのですが、時代の流れなのか低スペックパソコンでもサクサク動くって評価になっていて時代の流れを感じます。
そして注目したいのはメインビジュアルとして使用されているニューター(女性)は17年間変わらずにプレイヤーに微笑みかけてくれているのです。
やっぱりイラストは大事だよ、兄貴! でもこのニューター(女性)、今何歳なんだろう? と考えるのは野暮な疑問なのでしょうか、そうだよね。
対人戦という繋がりでご紹介したマスターオブエピックにちなみ、次回は対人戦を主題にしたオンラインゲームなどを取り上げてみたいと思います。
<参考・引用>
Master of Epic -The ResonanceAge Universe-
※掲載画像はタイトル画面を撮影しております。2022年12月12日筆者撮影。
【上村健太郎:筆者プロフィール】
神奈川出身、東京在住。オンラインゲーム業界において長らくプロモーションやプロデュースなどを担当し、数多くのタイトルを立ち上げ、そして終了させてきた苦い経験の持ち主。
私生活では妻と二匹のビーグル犬よりも地位の低い生活を満喫中。
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