調子が悪くても「叩かない」けどチャンネルは「回す」?テレビの「昭和しぐさ」聞いてみた
おたくま経済新聞 / 2022年12月27日 18時0分
テレビを叩いて直そうとする人は42.9%
昭和の昔、テレビがブラウン管だった頃は、調子が悪くなると「角を叩いて直す」という力技がしばしば試みられました。また、チャンネルはダイヤル式でガチャガチャと回すタイプ。これらの文化はいま、どのように変化しているでしょうか?
編集部ではTwitterの投票機能を使って、問いかけてみました。
白黒からカラー、そしてリモコン式と進化してきた昭和のブラウン管テレビ。内部の回路も真空管からトランジスタ、集積回路を使ったものになると同様に、チューナーもアナログからデジタルへと進化しました。
画像が出ないなど、調子の悪い時に「本体の角や側面を叩くと映る」という力まかせの対処法や、ほかのチャンネルに「回す」という表現は、ちょうど昭和30年代から40年代、真空管からトランジスタへと主要回路が移行する時代に定着したもののようです。
■ 調子が悪いとテレビを「叩く」人は42.9%さて、令和の今でも調子が悪くなるとテレビを叩いてみる人はいるのでしょうか?編集部では公式Twitterアカウントで投票機能を使って調査。集まった329票のうち「たたく」は42.9%、そして「たたかない」は57.1%という結果が出ました。
叩かない人が半数以上を占めましたが、薄型テレビの時代でも叩く人は少なくない模様。案外、ブラウン管テレビの習性が根強く残っているのかもしれませんね。
今となっては意味不明な「叩くと直る」ですが、これにはさまざまな要因が絡んでいます。内部に侵入したホコリが油と結びついて固着し、接点の接触を甘くしてしまう場合や、経年劣化でハンダづけした部品が外れかけているなどなど……。古いテレビには簡単な回路図が内部に描かれていることもありました。
これを外部から叩くことでホコリが落ち、接点が復活したり、部品が動いて一時的に接触が良くなったりした、というのが「叩くと直る」の根拠となっていたようです。あくまで一時的に良くなるだけなので、あまり頻繁に叩いていると部品が脱落し、本格的に壊れてしまった、ということもしばしば。
現代の薄型テレビの場合、主要回路がひとつのチップにまとめられたSoC(System on a Chip)を採用していたり、ディスプレイパネルも微細な配線で各画素を駆動していたりするので、非常にデリケート。下手に叩くと壊れてしまう可能性も高くなるので、叩かないほうが無難です。
■ チャンネルを「回す」人は53.4%、「変える」人は46.6%叩いて直すと同じく、テレビの昭和しぐさでつい使いがちなのが、チャンネルを「回す」という表現。昔のテレビはロータリー式チューナーを採用しており、つまみを回すことであらかじめ決められた周波数(チャンネル)を受信するという仕組みで、微調整用のダイヤルがついているモデルもありました。
こちらも同じくTwitterの投票機能を使って調査してみると、拮抗しながらも「回す」が53.4%とわずかに46.6%の「変える」を上回りました。リモコンを使うことがほとんどで、本体でチャンネル操作をしなくなっても「回す」と使う人って多いんですね。
これには、リモコンにあるチャンネルを上下(もしくは左右)で選ぶ送りボタンが影響しているのかもしれません。このボタンを使ってチャンネルを順送り、逆送りに選択していくと、最後のチャンネルの後は最初のチャンネルに回帰するループ構造となっており、あたかも「回している」感覚がします。
チャンネルを「回す」か「変える」かは、番組表を使わず今やってる番組は何かな……とザッピングする際、チャンネルボタンで個別に選択するか、チャンネル送りボタンで順番に見て選択するか、という使い方の違いもありそうです。その意味では、これからも「回す」は廃れず、残っていくのかもしれません。
ちなみに、チャンネル選択の言葉は地域差があり、地上波でNHKのほかは民放が2局という宮崎県の場合、別の民放にチャンネルを変える際「反対にする」という表現を使います。NHKだけは特別で「NHKにして」や「8(宮崎におけるNHK総合のチャンネル番号)にして」と言っていました。
現在はBS放送やケーブルテレビだけでなく、スマートテレビ化したことにより各種動画配信サービスも視聴できるようになりました。将来、これら動画配信サービスを含めたテレビ周りの用語はどのように変化するでしょう。新しい表現が生まれるかもしれませんね。
テレビの調子が悪いと……ついテレビの横など叩いてしまう人は私だけじゃないですよね?
(宮崎)
— おたくま経済新聞📰 (@otakumatch) December 19, 2022
あと、チャンネルは?
— おたくま経済新聞📰 (@otakumatch) December 19, 2022
(咲村珠樹)
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