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癒やしのキャンプ場が地獄のキャンプ場に 実際にあったひどい出来事3選

おたくま経済新聞 / 2023年5月29日 14時48分

癒やしのキャンプ場が地獄のキャンプ場に 実際にあったひどい出来事3選

癒やしのキャンプ場が地獄のキャンプ場に 実際にあったひどい出来事3選(撮影:宮崎美和子)

 5月末頃から本格的に賑わいだすキャンプ場。もうすでに秋頃までのキャンプの予定を立てている、というキャンパーは多いことでしょう。

 コロナ禍前からのキャンプブームに加え、コロナ禍中は適度に人との距離がたもてるとあり、さらなる人気を集めました。こうしたブームの影響もあり、人気のキャンプ場は週末の予約が数か月先までミッチリ、というのは珍しくありません。

 キャンプは自然の中で、ゆっくり過ごす時間がなんと言っても醍醐味。しかしながら、キャンプ場はそう癒やされることばかりでもないのです……。

 キャンプに関する注意喚起の記事はすでに世の中多数あふれていますが、それでもマナー違反をする人はあとをたちません。そこで今回は、単に注意事項を紹介するのではなく、キャンプ歴うん十年の筆者が遭遇したひどい実体験交えつつ、「厳守すべきマナーポイント」をおさえていきます。

■ ゴミ捨て場が火事

 いきなり強烈エピソードですが、実話です。2020年10月の出来事です。当時は2020年3月にはじまったコロナ騒動から、世間は少しだけ落ち着きを取り戻していました。旅行こそ盛んではないものの、人と距離をおける……という理由からキャンプがより注目されはじめた時期。

 訪れたのは、筆者が長年通い詰めるキャンプ場。1日すごした翌日、2日目の朝のことでした。

キャンプ場での朝食

 撤収作業も済み、あとはゴミを出して帰ろうか……としていたタイミング。ふとみるとゴミ捨て場から、一人の少年がこちらに向かって走って来ました。燃えさかるダンボールを片手にもって……。私の心境は「まじで!!」。ギャグマンガなら目が飛び出ていたとおもいます。

 すぐさま少年をつかまえて話を聞くと「ゴミ捨て場が燃えかけてる!」「一番燃えてるダンボールひきぬいてきた!!!」と興奮したようす。子どもながらの正義心だったのでしょうが、さっさととりあげ消火したのは言うまでもありません。

 その後はゴミ捨て場へ一目散。到着したタイミングで、煙に気がついた管理人さんたちもやってきました。あつまってきた人たちで協力しあって、なんとか短時間で消火に成功。

 終わったころには、類焼さけるためにゴミ出し場からかき出したゴミや、燃えかけたゴミなどでしっちゃかめっちゃか大散乱。一部にはまだくすぶりも残っていました。

 そんな状況をみた、管理人さんがぽつり。「実はこれ今年だけで2度目」「消えてない炭をゴミに入れちゃいけないってなんでわかんないかなー」と、怒りをこめてぼやいていました。そら怒る……。

 どうやら誰かが「炭を消火したと思い込みゴミに出してしまったこと」が原因だったようです。

▼水で消火した炭は火が消えたように見えても、芯には残っている可能性が「よく」ある

 実は一度燃えた炭は、水をかけただけでは簡単には火を消せません。水をかけて一見消火できたように思える炭でも、芯に火が残っていることは「よく」あるんです。その場合、時間をおいて再び燃え上がります。たぶん上記のエピソードの火だねも、こうした処置から起きた悲劇ではないかと思われます。

燃やしきった炭

▼炭は放置するな、自然にかえらん

 燃える炭を穴を掘って土や砂浜に埋めて処分・消火しようとする方法も論外。すぐ消えるとおもいきや、中でくすぶり踏んだ人がやけどをする、という事故が過去起きています。

 また「炭は土の栄養になるからいっしょ!」という人もいますが、そんなことをしたら「バカタレこらぁ(金八風)」と誰かに叱られても当然。「炭は自然にかえりません」。誰かが処分するまでそこに残り続け、ただのゴミと化すのです。

 古代の遺跡から「炭がでてきた」というニュースをみたことはないでしょうか?炭とは適切に処理しなければ、それくらい長く残り続けるものなのです。

▼炭の残りや灰を処分するときは「炭捨て場」もしくは「灰捨て場」へ

 基本的に一度火をつけた炭は灰になるまで燃やしきるのが理想。

燃やしきる

 ただしどうしても残ってしまうことはあるでしょう。そんなときのために各キャンプ場には……ななんと!「炭捨て場」もしくは「灰捨て場」と呼ばれる専用の場所があります!

炭捨て場

炭捨て場の中身

 一度火をつけた炭や残った灰は、ゴミに出すのは厳禁。みんなの安全のためにも「炭捨て場」もしくは「灰捨て場」を必ず利用しましょう。

【注意点まとめ】
・水で消火した炭は火が消えたように見えても、芯には残っている可能性が「よく」ある
・炭は放置するな、自然にかえらん
・炭の残りや灰を処分するときは「炭捨て場」もしくは「灰捨て場」へ

■ 近くのサイトは丸一日ハイテンションなYouTuber

 つぎは昨年の夏終わり頃の話。夏休みが終わって、キャンプ場の賑わいが少し落ち着いていたころでした。

キャンプ場(イメージです)

 訪れたのは、サイト間の距離がゆったりと設けられた快適キャンプ場。逆をいえば「声、音楽などの音」は「よく通る」んです。

 その日は開始ちょうどにチェックイン。早々に設営を済ませてくつろいでいたところ、2時間あとくらいに男性2人組が近くのサイトにやってきました。

 この日はキャンプ場全体で1/5程度の埋まり具合。人のいるサイト同士が隣り合わないよう、数サイト間隔をあけて配置されていました。彼らがきたのは、私から2サイトはなれた約10メートル先。

 まぁ少し離れていることもあり、当初は元気がいいなぁ~程度にしかおもっていませんでした。あとは、カメラで撮影しながらずっと喋っているのでYouTuberなのかな~くらい。

炊飯中

 「ハイ~にきました!それでは設営をやってみようと思います!!」「完成!では中をみていきましょう~」的なことをずっと喋っていたかとおもうのですが、その後も引き続きのハイテンション。とはいえ、声がよく通るだけで奇声を発したり騒いでいたわけではありません。

 ただただ、よく通る声でずっと何かをコメントしながら、同じテンションでずーーっといるだけです。まぁいずれ疲れるだろう……と思っていたのですが……。

 その後夕暮れ時になっても、同じテンションのままBBQをスタート。今度は野菜を切る、肉を焼く、一口食べるごとに語る感動コメントまでもがこちらの耳に届きました。

バーベキュー

 騒いでいないことはわかる。酒に飲まれているわけでないこともわかる。ただ声が通るだけ&YouTuber独特のテンションで居続けるだけ。

 でも……そんな人がすぐ近くにずっーーーといたらどうなるとおもいます?私はめちゃくちゃ疲れました。あと思ったのが、YouTuberのテンションって画面通して10分なり15分なりの間見ているから平気なだけで、リアルで近くにずっといると「苦痛」、ということです。

 流石に日が暮れかかった時間帯に管理人さんに相談して止めてもらいましたが……。(撮影やめたらスンと静かになった)

 テンション高くていいのは一時。延々続くあの時間はわずか6時間でも、周りのこちらは苦痛でしかありませんでした。

▼キャンプ場は意外と音が通る

 この件で知って欲しいのが、「キャンプ場」は意外と音が通るということ。更地にしてある場所は特に。よって、大声を発さないとしても、声の通る人なら今回のように10メートル先まで話し声や笑い声が聞こえてしまうことがあります。音楽もしかり。

 キャンプ場を訪れ、音楽を鳴らしたい、みんなでお喋りを楽しみたい、というときは到着してまず「音だし」をして確認するのが良いかと思われます。自分のサイトで音をだしてもらい、どの程度の距離まで響くのかを別の人間がチェックする。これをするだけで自分も周りも気兼ねなく、楽しい時間が過ごせるはずです。

 もちろんチェックしてOKだったとしても「サイレントタイム(クワイエットタイム)」の時間は守ること。キャンプ場ごとに「音をだしていい時間帯」が決められています。チェックインするときは「何時から何時まで静かにしなければならない時間か」を必ず確認するようにしましょう。

【注意点まとめ】
・サイト間隔が空いていたとしても音は通ることをわすれずに
・到着してすぐ「音チェック」するのがオススメ
・「サイレントタイム」のチェックも忘れずに

■ 車のエンジンかけっぱなしライト付けっぱなしで寝落ちおじさん

 これは最初に紹介した「ゴミ捨て場が火事」のキャンプ中での出来事。1回のキャンプでこんなにトラブルが起きるのも珍しいことでした。

 よる10時頃だったでしょうか。温かい飲み物片手に夜空をひとしきり楽しんだ後、さぁて寝ようか。と就寝支度をはじめました。するとすぐ目の前のサイトのソロキャンパーの男性が、千鳥足でタープから車へと物にぶつかりながら移動。このときは、少しお酒を飲んだのかな?程度に見ていたのですが……。

お酒と夕飯

 車内に入ると突然エンジンをかけ、車のライトを点灯したのです。どうやら車の明かりでタープ内を少し整理したかったもよう。

 まぁすぐ終わるだろう……と見ていたところがまさかの寝落ち。おかげで深夜になっても車のライトの明かり&エンジン音で、お向かいサイトの私はなかなか寝付くことができませんでした。さすがに声をかけにいったのですが、当の本人は鍵をかけて運転席でスヤァ。管理人さんも深夜なので帰ったあと……。

 仕方ないので我慢の一晩を過ごしました。ちなみに翌朝目をさますと、寝落ちおじさんは既に撤収した後。恐らく明け方目をさまして、よほど気まずい思いをしたのでしょう。急いで帰ったんじゃないでしょうか?

カボチャ

▼基本、就寝タイム(よる9時や10時以降)にエンジンかけるのは厳禁

 まぁ、これはなかなかないレアケースだったと思います。エンジンかけっぱなし&ライト付けっぱなしで寝落ちする人というのは。

 しかしながら近年では、キャンプ人口の急激な増加にともないマナーの啓蒙がおいつかず、夜間の暑さ・寒さに耐えきれないキャンパーがエンジンをかけたまま車で寝るケースもあると聞きます。

 キャンプ場での車中泊はキャンプ場が許可していれば全く問題ありませんし、否定するものではありません。ただし、エアコン使用などを目的にエンジンかけっぱなしでいるのは論外。自分は快適でも、他の人に大きな迷惑をかけてしまいます。

 キャンプ場ではどこも「サイレントタイム(静かに過ごす時間)」が決められており、その中には夜間の車使用やエンジンをかけっぱなしにしないことなどが必ず明記されています。何時から何時が該当するのか、チェックイン時に必ず確認するようにしましょう。

▼特にソロキャンパーは自分の酒量は把握しておこう

 もう一つ今回の件から、注意すべき点、知って欲しい点をあげるとするなら「ソロキャンパーは自分の酒量は把握しておこう」ということ。

 今回の寝落ちおじさんは、日中そんな変な人ではありませんでした。むしろ好印象。ところが酒量を誤ったため、周りに迷惑をかけることになってしまったのです。

 ソロというのは何が起きても全て自己解決する立場。誰も助けてはくれませんし、飲む量も自分でコントロールするしかありません。それに酒によって事故にあわないよう、ケガをしてしまわないようにするためにも、「自分の酒量」は確実に把握しておくべきです。

【注意点まとめ】
・エンジンかけっぱなしはキャンプ場では基本禁止。夜間は特に
・しつこいけど「サイレントタイム」のチェックも忘れずに
・ソロキャンパーは己の酒量を把握して挑むべし

■ 番外編:そんな装備で大丈夫か?真冬にブルーシートのテント泊

 最後は番外編。誰かに迷惑をかけられたというワケではありません。個人的にめちゃくちゃ心配になった出来事です。

 何年前かはわすれましたが、冬の寒い時期で12月頃だったでしょうか。富士山がよくみえるキャンプ場へと足を運びました。景色が綺麗なこともあり、寒い時期にもかかわらず多くのキャンパーで賑わっていました。

バーベキュー(魚)

 この日も早々に設営をすませて場内散策していたところ……。ブルーシートと何かの棒でたてた隙間だらけの素朴なテントを発見。ソロキャンパーと思われるテント主はテントの前で読書をされていたのですが、大きく開いた入り口から見えたのは……床にしかれたレジャーシートと、どうみても夏用の薄い寝袋。

 12月とはいえ富士山ふもとあたりの夜の気温は、1度から3度程度まで一気に下がることがあります。それが隙間だらけのブルーシートテント&まにあわせたキャンプ用具じゃ耐えきれるワケがない。心配通り越して、ビビりちらしてしまいました。実際私以外にも二度見して通り過ぎる人が大半だったので、周囲のキャンパーさんたちはみなハラハラした思いで見守っていたことでしょう。

焚き火

 とはいえ、他人の装備にとやかく言わないのもキャンパーのマナー。聞かれたらアドバイスはするけど、本人が言わない限りは見守るしかありません。

 そして翌朝……ガクブルしながらなんとか一晩乗り越えたのであろうテント主を見かけたときは、「無事だったか……」とほっとしました。あるもの全てを身につけたのであろう姿で、顔色も真っ青。まだ燃え上がっていない火にあたり、なんとか暖をとろうとしていました。そうなるよねぇ。

▼ネットの話題にのっての無茶なキャンプ計画は命取り

 それにしても何でテント主はソロで、しかもあんなうっすい装備で「冬キャンプ」に挑戦したのか?私からすると無謀すぎる挑戦です。しかも夜にはマイナス気温さえあり得る環境。心身ともに鍛えたいなら話は別ですが。

 気になったので帰って調べてみると、「ブルーシートでもテントが作れる!」「百均アイテムでもキャンプに挑戦できるよ!」「高いキャンプ用品はリサイクルショップを賢く活用!」という話が続々。それはそうだけど……季節や環境にもよるよね?

 さらにYouTubeで無謀なキャンプを紹介しているものもありました。これは……!一通りみましたが、該当のYouTuberさんがキャンプのベテランだからできることが多いように見受けられます。初心者が真似していいものではありません。

 それにしても数々の記事や動画をみつつ、このときピピーンときました。ブルーシートテントはまぁ、その通りたてられるのはたてられる。調べた中の一つに、今回のテント主と同じたてかたをしたブルーシートテントもありました。当時調べたところ同じような記事や動画がザクザク出てきたので、一時ブームだったのかもしれません。

 ただ……夏には問題なかったとしても、冬にはねぇ。特に富士山のふもとにあるような、風が強いキャンプ場では不向きなキャンプスタイル。情報発信者は書かないでもわかるだろう、説明しないでもわかるだろう精神なのかもしれませんが、真似する人はいるわけで。注意事項は必ず書いておく、って大事なんだなぁとしみじみ思いました。

▼初心者のうちは中古品ははやめておこう

 そしてなによりハハーンとなったのがリサイクルショップ。リサイクルショップで売られているものは、シーズン外のものが目立ちます。冬だと夏用寝袋が多く置かれている印象。

 冬に冬用が売られていないワケではありませんが、季節にマッチしているので数でいうと断然希少。すぐ売れてしまうからです。良い状態のものはなおさら。よって、よく自分で調べる&店員さんに聞いてみるなどしないと、誤って夏用を購入してしまうことは大いにあり得ます。

 キャンプの装備品は基本的にそれなりの値段がするものがほとんど。テントやグランドシート、寝袋などキャンプ以外で使わないものはケチりたくなる気持ちはわからないでもありません。レンタルしたとしてもそれなりの値段はします。

 が!だからといって、安さだけを重視した機能性が低い装備や季節違いの装備では、我が身を危険にさらしてしまいます。これが極寒シーズンなら、死さえあり得ます。高いのは高いなりの理由があることは理解しましょう。

 もし「キャンプをはじめたいけど、道具にお金はかけたくない」という場合には、多少高かったとしても「おとなしくレンタル品を利用する」のがベスト。他にも、プチキャンプ気分が楽しめる「グランピング」という宿泊設備もあります。

 これは個人的な意見ですが、初心者のうちはリサイクルショップでキャンプ道具をそろえるのは避けたほうがいいと考えています。特にテントや寝袋などの重要装備は。

 理由はテントの備品が不足していた・すぐ破損したなどの場合に、知識も経験も乏しい初心者には上手く対応できないからです。正直リサイクルショップでのキャンプ用品の買い物は、上級者向けだと思っています。リサイクル業界の人には怒られるかもしれませんが、これが本音。中古品はノークレーム、ノーリターンが基本ですし。

【注意点まとめ】
・ネットの話題にのっての無茶なキャンプ計画は命取り
・道具をそろえる余裕がないならおとなしくレンタル品を活用しよう
・初心者のうちは中古品はやめておこう。アレは知識がいる

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 長々と書いてしまいましたが、キャンプは楽しい反面今回紹介したような酷い出来事や、注意点が沢山あります。

 自然に囲まれフリーダム~、自由よ~、自分を解放するのよ~~~。となってしまう気持ちはわからないでもありませんが、周りに人がいる環境である以上、人間同士のマナーやモラルは絶対に存在しています。

 また、人がいる場所だからと安心しきって、素朴な装備で出撃しないよう。一晩すごす場は、壁にかこまれた安全な部屋ではなく、薄い布一枚へだてた向こうは大自然。何がおきても良いように、万全の備えで挑みましょう。

※記事中掲載している写真は、本稿でふれているキャンプ場とは無関係です。

(宮崎美和子)

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