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「ヤブかもしれない」医療関係アカウントの見分け方 トンデモ治療法より正しい知識で

おたくま経済新聞 / 2023年8月19日 15時0分

「ヤブかもしれない」医療関係アカウントの見分け方 トンデモ治療法より正しい知識で

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 SNSでたまに見かける「トンデモ医療関係者」。明らかに正しいとは言い難い治療や養生法を勧めてくる人で、医療関係者の中でも問題視されています。

 今回は、そんな「ヤブかもしれない」医療関係アカウントの見分け方と、信頼できる医療知識を得るためのツールをご紹介。(看護師ライター:梓川みいな)

■ こんな医療系SNSアカウントは要注意 1.「新型コロナは存在しない」と言っている

 この手のアカウントは一番に除外すべき存在です。コロナウイルスだけでもものすごい数の変異株が存在しており、本来ならばヒトへ直接感染しない種類でも、何らかの伝播によって特定のコロナウイルス株を持つ動物からヒトへの感染を起こすことは往々にしてあります。

 2002年11月、中国広東省仏山市で最初の患者さんが発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2012年にラクダからヒトへ感染し中東地域で広く発生した中東呼吸器症候群(MERS)も、コロナウイルスの一種です。この感染症は世界的な流行があったものの、日本への流入はほぼ見られず、国内での流行がなかったものです。

2.効果がない、または不明な特定の薬剤やサプリメントを勧めてくる

 コロナ禍で情報が錯綜していた頃、「イベルメクチン」という薬剤が特効薬となり得るのでは?と話題に挙がったことがありました。しかし、2023年に北里大学が発表した研究結果によって、コロナウイルスへは効果がない事が明らかになりました。

 軽症~中等度の新型コロナ感染症の人に、同数程度にイベルメクチンを投与した人たちと偽薬を投与した人たちにはほとんど差がなく、イベルメクチンは明らかな効果を示すことができなかったという内容です。

 実はこの研究結果が出る前からイベルメクチンの効果については疑問視されており、研究結果によってそれが証明されたこととなる訳ですが、未だにイベルメクチン信奉者が存在しているのもまた事実。

 また、体には大きな害はなくとも薬にもならない重曹などを用いた「健康法」も、気休めみたいなもの。

 SNSにあたかも効果があるようにささやかれているこれらの健康法は、いずれも「個人の効果」であり、何千人を対象とした研究結果で効果が示されているものではないのです。

3.普段の投稿の中で患者情報を完全に伏せて事例紹介していない・論文ベースの内容を発表していない医療関係者

 これについては賛否両論あるかもしれませんが、現役看護師として日々臨床に携わっている筆者としては、上記の医師アカウントはあまり普段から勉強・研鑽を積んでいないのでは?と個人的に感じます。

 勉強した内容で有益であると思ったら、広く紹介したいと思うのが医療関係者の本能的な行動とも言えると思います(筆者の感想ですが)。

 では、どのような医療関係者が信用できるのかを考えてみますと、普段から自身の専門分野の勉強をしており、その内容について発信している医療関係者アカウントが信頼できると考えられます。

 前項3の内容にも繋がりますが、専門医の資格を取り保持していくためには日々勉強と研鑽を積むことが必須となります。情報のアップデートができていない医療関係者は最新の治療法、処置法を知る事ができないため、いつまでも古いやり方に固執しがちとなります。

 これは看護師も同じことが言えますが、医療の世界は日進月歩ならぬ「秒進時歩」ともいえるくらいのスピードで様々なことが進歩しています。このスピードについていける医療関係者が信頼を得られると個人的には考えています。

 また、学会などは最新の事例や研究などが多数発表される場であり、新薬の効果的な使い方などの情報もキャッチしやすい場です。したがって、学会のため診察を休診しますと掲示されている外来の医師は多くの情報を持っており、安心して診察を受けることができると考えても良いかと思います。

 こういった医療に対する姿勢は基本的に年齢は関係ありません。なかには権威的な存在となってしまったがために、自己研鑽を積むことを忘れてしまう人も存在しますが、多くの情報を得て発信できる力がある人はいくらでも存在しているはずなので、もし医療の情報を日頃から得たいと思うのであれば、そういった人の投稿を読むことをお勧めします。

■ こんな症状の時にどうしたらいいのかはコレで分かる

 コロナ禍以前からあった「こういう時はどの診療科にかかったらいいの?」問題。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックにより、医療関係者の間でも見通しが立てにくくなり、毎日の診療で「次の一手」をどうするか逡巡する事も以前より多くなっています。

 一般の方ならなおさらわかりにくくなっていることでしょう。そこで、医療に携わる筆者が実際に使ってみて「これは便利」と思ったサイトとアプリをご紹介します。

 いずれも多くの医師の手によって監修がなされ、信頼できるものばかりです。

▼「医師たちがつくるオンライン医療事典MEDLEY(メドレー)」

 メドレーには840名以上の医師が登録しており、ひとつの病名の項目についても何度も改訂されて常に最新の情報となっているのが特徴。病名、薬剤名、病院名などを検索することができる、まさに医療専門の検索エンジンと言えるサイト。会員登録なしで使えるのも手軽です。

 ちょっと気になる……という救急性がない時にじっくりと調べるのに適しています。

オンライン医療事典MEDLEY(メドレー)

▼「症状検索エンジン ユビー」

 ユビーも多くの医師により作られているサイトで、スマホアプリ(iOS、Android)もあります。ユーザー登録なしでも利用でき、AIからの質問に答えるだけで考えられる病名を推測、位置情報を利用することで近隣のクリニック等を紹介してくれるという優れモノ。

 クリニックに専門医が在籍している場合一覧に表示されるので、自身の症状に見合っているかどうかを見極める指標にもなります。

 さらにユーザー登録をすることで現時点での症状を記録しておくことができたり、ユビーに提携しているクリニックに自身の症状を医師が確認しやすいようにカルテに記載する形で伝える事ができたりと、患者にも医師にも優しいシステムになっています。

 こちらはスマホアプリからの利便性が良く、今日明日にでも診察を受けたい時に便利です。

PC版ユビー

■ 自己判断は厳禁です

 以上、医療についてのアレコレを紹介していきましたが、一番大事なのは症状を検索しても「自己判断をしない」ということ。

 症状検索はあくまでも目安となるものであり、この症状の時にどの診療科にかかればいいのかの指標となるものです。一日で症状が治まってしまう場合でも、繰り返す場合は大体ちゃんとした病名が付く何かが潜んでいる確率が非常に高いものです。

 セルフメディケーション・セルフメンテナンスも大事ですが、市販薬のパッケージにも書いてある通り数日内服し続けても症状が変わらない場合はこれらの症状検索を利用しつつ、適切な治療を受けてくださいね。

<参考>
感染症情報センター Infectious Disease Surveillance Center
中東呼吸器症候群(MERS)について|厚生労働省
北里大、コロナへのイベルメクチン第III相の論文公表|CareNet.com
※本文掲載の画像は、紹介している各サイト画面のスクリーンショットです。

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