【更新】今流行の「ママ活」アカウントに釣られるとどうなる?実際に釣られてみた
おたくま経済新聞 / 2023年8月28日 14時9分
「ママ活」アカウントに釣られるとどうなる?
近ごろSNSのトレンドを見に行くとよく見かける、謎の美女による「ママ活募集」。トレンドにのっかって募集しているわけですが、まーいるわいるわ。正直目障りなほどみかけます。
元気な男性を募集しているらしく、応じるといくらかお金が貰えるそうですが、そんなウマイ話があるわけがない。しかも写真はどれも美女ばかり。男性に困っているとは到底思えません。
【更新情報】
本稿公開後に、記事削除を求めるご意見をいただきました。弊社見解を記事末尾に追記いたします。(更新:2023年8月31日)
とはいえ、気になるのは「本当に釣られたらどうなってしまうのか?」。おそらくSNSユーザーの多くの方が気になっていることでしょう。そこで筆者が人柱になるべく、釣られてみました。
■ ママ活とはそもそも「ママ活」とは、「パパ活」の逆バージョン。「パパ活」は男性がお金を払って女性との時間を過ごすこと。「ママ活」はその逆で、女性がお金を払い男性と時間を過ごすパターンです。
過ごす内容に関しては様々で、単純にデートから最後の行為までと幅広いのですが、SNSの多くは最後の行為まで含め募集をしていることが多いです。
価格は人それぞれですが、1万円~+交通費等ほどの報酬と記載されていることが一般的です。
やり取りに使われるSNSは「X」や「LINE」「カカオトーク」などが使われることが多く、次々に誘導されるのが基本のパターンです。例えばX→プロフィールサービス→LINE。X→LINEなど。
この流れは過去に記事で紹介した「貧困から成り上がり○社の会社を経営」のアカウントや、「副業系アカウント」でも同様でした。
さて、男性にとって「お金がもらえる」かつ「女性と過ごせる」と言うそんなうまい話はあるのか?と疑問に思う方は多いハズ。写真も見る限りは美人が揃っております。
なおさら怪しい……と思うのが一般的な心理。ただ、これに釣られると何が起きて、運営の狙いとしては、どこへコンバージョン(会員登録などユーザーに行動を起こさせること)させたいのでしょうか。
今回はXを使って、この「ママ活」アカウントにコンタクトを取ってみました。
■ 実際にコンタクト取ってみたママ活アカウントの検索は非常に簡単。何せ現在無数に存在していますから。なので「ママ活」などで適当に検索してみると、ヒットするわするわ。
多くは「DM」および「いいね」をしてほしいと書かれているので、それら対応をすませ、コンタクトを取ってみました。
その結果、以下のようなパターンが発生しました。
■ 結果パターン1 アダルトサイトへ誘導まず1つは単純明快。アダルトサイトへ誘導し、コンバージョンを発生させ、会員数を増加させるねらいです。この手法は古の時代から使われるオーソドックスな手法であり、今回のやり取りを行う前から予想していたもの。
したがって、「だろうな」と言う感想しかなく、むしろその程度で済んだので安心。むろん、会員登録はせず、そっとサイトを閉じます。
■ 結果パターン2 別サイトを経由し、出会い系アプリへの誘導パターン2は、パターン1と同じく、コンバージョン狙いなのですが、サイトではなくアプリ。誘導されたのはApp Storeにある出会い系アプリ(マッチングアプリ)でした。
まず、XからDMを送ると、「Xではバンされるので違うサイトでプロフィールを見てほしい」という王道の誘導で、「Know」などのプロフィール作成サービスを案内され、さらに最終的なコンバージョンである「アプリ登録」へと誘導されます。
出会い系アプリですのでそこから先はお察し。このパターンだと今回誘導されたアプリは、「出会えない系」であることが濃厚。ということでこの時点でやり取りは終了。
ちなみにアプリの評価は4.5と高いものの、悪い口コミからあえてみていくと「もう1ヶ月近くは利用してるけど全然会えない」「出会えません」「お金をドブに捨てたい人にオススメ」という意見がずらり。
やはり「出会えない系」アプリだった模様です。
※出会えない系とは……出会い系サービスでありながら、全く出会えないサービス。サクラが多く、やりとりをするにはポイントなどが必要な場合が多い(DM1通いくらなど設定がある)。目的はポイントを購入させること。結果「出会えない」ので「出会えない系」と呼ばれている。
■ 結果パターン3 LINEへ誘導、実際にママを紹介するため個人情報を提供させられるDMから直接「LINE」を教えてもらうパターンもありました。指定されたURLを開くと、繋がったのは未認証バッジ(未承認アカウント)のついた「公式アカウント」。
未承認アカウントとは、LINEが用意している企業や個人活動している人向けの「LINE公式アカウント」。種類は「プレミアム」「認証済み」、そして個人・法人問わずに登録できる「未承認アカウント」とあります。
今回繋がったのは公式アカウントの中でも「未承認アカウント」と呼ばれるもの。先述の通り、誰でも登録できるアカウントです。
この公式アカウントからは、今までやり取りしていた本人ではなく、事務局のような方が返信してきます。
色々と聞いてくるのですが、その多くは「住まい」「年齢」などで、それらにマッチングするママを紹介してくれる流れ。話を進めていくと「本人写真」および「電話番号」まで提供する必要があり、ここで個人情報を抜き取られてはまずいということで、退散。
もちろん、個人情報を教えるのは大変危険ですので、このようなケースに遭遇したらまっさきにブロックしましょう。その前に怪しいと感じる公式アカウントを追加してはダメです。
■ 結果パターン4 LINEへ誘導、実際にママを紹介するため「ママ活」マナーを動画で教えられ……最後はちょっと想定外な流れだったので、詳細に紹介します。
まず通常通り、ママ活アカウントをフォロー。そしてプロフィールに記されているURLからLINEに移動。(DM無しで直接アクセス)
接続されたURLからLINEの「公式アカウント」(これも未承認でした)をフォローします。ちなみに、この時点で「X」のプロフィールとは別の人です。
「公式アカウント」をフォローすると、相手から挨拶が届きます。それに対して返信をし、「結果パターン3」と同じく「住まい」「年齢」などの個人情報を聞いてくるので、それに答えます。
が、しかしその後思わぬ展開に。
「ママ活とはなにか」「ママ活のルール」など、丁寧に動画付きで説明。それによると「ママ」と接する際のマナーや1日の過ごし方など事細かく記載されており、意外にもちゃんとしたマナー説明がありました。
余談ですが、この「マナー説明」の流れは、内容こそ異なるものの、過去に紹介した記事「DMによく来るアヤシイ誘いにのってみた→誘導されたのは違法ギャンブル場」で経験済み。この時も動画と資料付きで丁寧にやりかたを解説してもらいました。どうやらこの手の怪しい誘いは、最終目的が違うだけで、流れについてはある程度フォーマット化されているようです。
なお、報酬は1時間2万円~ということと、ランチをすれば+6000円等具体的な金額の説明もありました。そして、気に入った「ママ」を選ぶと、セッティングしてくれる段取りです。
つまりこの相手そのものは「ママ活相手」ではなく、「ママ」とのパイプ役。役割としては「ママ活システムの運営側のスタッフ」ということになります。
ちなみにこの運営、レスポンスがかなり遅く、少々レスを待つ必要がありました。ある意味「AI」や「自動応答」ではない、対人とのコミュニケーション感はあります。
また、今回相手を紹介する代わりに、「無料サイト」への登録をしてほしいというお願いもされました。サイトは後ほど連絡するといいます。
ここまで来たなら、後に引き返せず仕方がないので登録も了承。
その後話をすすめていくと、ようやく本題の、「ママ活」相手を紹介されました。お相手の名前はここでは「Mさん(仮)」としておきます。
■ Mさんとのやり取り後、思わぬ展開に運営より、ようやく相手が決まり了承が得られたとの報告。事前に送っておいたプロフィールとマッチしたとのことです。時間はかかったがようやくこれで「ママ活」ができそうです。
ただ、直接やり取りすることができず、「Mさん」「自分」「運営」三人でのLINEグループを作り、そこで「どこで会うか」「いつ会うか」などの打ち合わせをしていきます。
これがリアルに「ママ活相手」とコミュニケーションしているようで意外に楽しい。ただし「運営」が見張っているので、直接コンタクトをとるなど、下手な行動はできません。
しばらく「Mさん」と楽しくコミュニケーションをとっていると、運営の方から個人LINEに連絡が届きました。
「そろそろサイトの登録をお願いします」
そういえばそんな話をしていた気がするが、すっかり忘れていた。指示したサイトに登録したら証拠のスクリーンショットも送って欲しいといいます。しかしながら、提示されたのはマニアックなアダルトサイト……。
念のため「興味はないんですが登録はしなければなりませんか?」と抵抗したところ「登録を進めましょう。上記利用して頂くために登録をお願いしているわけではございませんので」というよくわけの分からない回答。
仕方ないのでしぶしぶ登録をすませて、マイページのスクリーンショットを送信。
すると、ここで意外な展開が。今度はMさんと運営、筆者のLINEグループでMさんが唐突に……。
「私もそろそろサイト登録進めないとですよねっ!」
するとすぐに送られてきたのが、Mさんからの「登録できました」との報告と、パスワードからIDまで丸見え状態になったマイページのスクリーンショット。
マジかよ!セキュリティー意識、ガバガバだな!あまりの衝撃から思わず「何を確認するんかな?」と素で返答してしまったのは反省点です。
もはやカオス状態なのですが、どうやら今回のマッチングを行うために、両者ともに「無料サイト」への登録が必要になり、それが運営側の狙いのようです。ちなみにその2分後にはすぐ運営が現れ、Mさんに「こちらはグループラインですので」とたしなめていました。なんの茶番かな?
結局サイト登録がこのママ活システムのコンバージョンとなっており、その報酬を何処かからもらうのかと思います。
ただし、ここで引き下がるわけには行きません。せっかくなので「登録後どうなるか?」というのが気になったので、登録をすすめてみました。
■ 無料サイト登録後……無料サイトを登録すると、「次はここ、そして次はここ」と合計15個ぐらい登録させられました。さすがに、登録も段々しんどくなる。ダルッ……。
登録させられる無料サイトは、ポイントを購入させて課金させるシステムのある「出会い系」や「アダルト系」のサイトばかり。あーもうやっぱりね、という感想しかでません。また来たはいはいこのパターン。
登録を進めていくと、なぜか途中で登録できない問題に遭遇。そのエラー内容は「すでに登録されているからできない」とのエラー。
本件を運営に報告すると「お兄さんは、すでに登録されているようですね」との返信。
初めて見るサイトだし、登録した覚えもない。なにか不具合かな、と思ったところ、その後別のサイトを紹介されました。そちらも登録しようとすると再び同じエラー。(念のため別の端末PCで確認したが、全てエラー)
「登録できないじゃないか」と言うと、その後思わぬ展開に。
「無料サイトは難しいので、有料サイトへの登録で問題ないですか?」
マジかよ。問題大ありだよ!
当然、今回「ママ活」ということなので課金は一切する気もないし、お金を払う気はさらさらない。そもそも、無料サイト登録ができないから有料プランにするという話はおかしすぎる。
その件を伝えると「理解いただけないようですね。残念です。グループラインを出ていってください」という内容を通告される。その際、運営はMさんに謝罪。今後別の人を探すそうです。
「なんだそりゃ、何がしたいねん(笑)!」と思いながらもグループラインを退出させられました。
なんだか、腑に落ちない展開ではあるのですが、いずれにせよ被害はこれまで特にないので諦めることに。(時間泥棒と言う被害はあったが)。
■ 結局ママ活はどうなったのかさて今回の「ママ活」のオチとしては「ポイントサイトへの誘導」「会員獲得」と言うコンバージョン獲得の狙いだったようですが、未だに謎めいている点はあります。
「運営」「ママ」そして「自分」と3人でのやり取りが必要で、それをすすめるにあたり、結構時間がかかる。調査する上でも2日はかかっております。
2日間かけて、ほんの数サイトの登録をさせるだけのこのシステムに、果たして運営側のメリットがあるのでしょうか?
そして、ママ活の「Mさん」はどうなってしまうのか。
当然ながら、全てが茶番で台本通り、そしてお察しの通りMさんも運営側という可能性が大なわけで、2人とも仕掛け人と考えるのが妥当でしょう。作業内容も全てマニュアル化された、いわゆる「闇バイト」という可能性も。
それと実は途中までMさんと直接会う約束を取り付けていました。一応行く準備はしていたのですが……。本当に会えたなら何が起きていたのか?多分、男性が出てきて「俺の女になにをする~」という美人局パターンだったと思います。
いずれにせよ、この茶番劇を行うには非常に労力のかかるシステム。そんなんで儲かるのかな?という気しかしません。
(たまちゃん)
■ 【更新】本稿に関するご意見について2023年8月28日に本稿を公開いたしましたところ、次のような意見が編集部あてに直接「ご意見窓口」を通じて届きました。
▼1通目(2023/08/31 10:40 受信)/2通目(2023/08/31 10:41 受信)※内容同一
初めまして
コチラの記事に
https://otakei.otakuma.net/archives/2023082804.html
私のラインが乗っております
プライバシーの侵害とし訴えさせて頂こうかと思っております。
直ちにこのライターとの契約解除
記事削除をお願いします。
後、コチラの内容を詐欺だとか記載もライターさんはされているようですが、私自身ここですでに複数名をご紹介頂き活動済みでございます。
その点も踏まえこの記事の内容は誤解を招く内容でございます。
本日中に記事の削除をまずはよろしくお願いします。
おたくま経済新聞では、記事公開までに、ライターはじめ、編集者など複数人で記事を確認して公開までに至っております。本稿につきましても慎重に調査を実施し、ありのままを公開いたしております。
その点先にお伝えした上で、次にて指摘点それぞれに回答してまいります。
(1)プライバシーの侵害にあたるか否かについて
公開にあたっては写真の方がLINEアカウントの所有者本人ではない可能性(他人の写真を無断で使用している可能性)を考え、全てにモザイク処理を施すなど慎重に対応しております。
さらに加えると、今回公開した内容には個人情報と直接結びつく要素はなく、個人は特定できないものと考えます。よって、プライバシーの侵害にはあたらないと認識いたしておりますが、最終判断は法廷に任せるしかありません。
正式な訴えがございましたら、弊社側も弁護士をたてて粛々と対応してまいります。
(2)活動実績があるという意見について
次に「私自身ここですでに複数名をご紹介頂き活動済みでございます」という主張についてですが、弊社側ではご意見をくださった方の結果や実績について、この文面だけでは判断できません。
本稿では、潜入したライターが「出会う」というところまで結びつかなかったこと=活動できなかったこと、および多数の出会い系サイトなどに登録をさせられた事実ありのままを紹介したまでです。
(3)記事削除・ライターの契約解除について
上記を理由に、編集部では記事の削除は一切行いません。訴訟の可能性もあるならばなおさらです。また、編集部はライターを守る立場であり、外部からの圧力による一方的な理由だけで契約解除も行いません。
(4)記事を更新する形での公開回答という手段について
お寄せいただいたご意見には個別に回答する方法もございますが、今回お送りいただいたアドレスはフリーメールアドレスであり、個人が確認できるものではなく、伝達手段としては不確かです。よって、匿名者と判断を行い、確実に編集部の意志が伝わる手段として公開での回答とさせていただきました。
また本稿の本文から頂戴したご意見までの流れは、一般に広く知られるべき「公益性があるもの」と判断いたしました。そもそも、今世間を騒がせる「ママ活」に釣られてみるとどうなるか?という潜入体験が本稿のテーマです。潜入したその後についても、伝える義務があると考えます。
水面下でのやりとりを希望されていたかもしれませんが、「事実をありのままに伝えるのが報道人としての使命」です。以降再びご連絡があったとしても、匿名状態である限りは引きつづき公開回答させていただきます。
※本稿には他の記事とあわせて、別の方からも削除要請が届いております。そちらについては、「【更新】Facebookの怪しい広告に釣られると何が起きる?釣られてみた結果→投資セミナーに参加させられた」にて、編集部の考えを追記しております。併せてご確認ください。
(おたくま経済新聞 編集長 宮崎美和子)
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