アッオー!みんな「ICQ」って覚えてる?久しぶりに見てみたら……まさかの展開
おたくま経済新聞 / 2023年9月7日 12時33分
ICQの現在のホームページ
今やLINE等を始めとする「メッセンジャーアプリ」を使うということは日常的になりました。仕事・プライベート様々なシーンで文字だけでなく音声や、グループチャットなどを使うという状況はかつてでは考えられませんでした。
さて、そんな「かつて」ですが、今から約20年前にも「LINE」のようなメッセンジャーアプリが存在しており、結構人気でした。それが「ICQ」。
どんな機能かというと、まさに「LINE」のような機能なのですが、現在は御存知の通り、その「LINE」や「カカオトーク」などにシェアを奪われあまり使われておりませんが、実はまだ存在しています。
今はどうなっているのか?「アッオー!」は健在なのか?久しぶりにさわりに行ったら……とんでもないことになっていました。
■ ICQとはICQ(アイシーキュー)は、1996年にイスラエルのMirabilis社が開発したメッセンジャーアプリ。ICQという名前には、”I seek you”の意味が由来しております。
我々世代(40前後から上あたりの人)がよく使っていたのは、その後の1999年~2000年初頭ぐらい。その頃のネット上でのコミュニケーションツールと言えばもっぱら「ICQ」であり、夜中23時のテレホタイムに入ると一斉にICQにログインしながら、ネットゲームに友人と興じていたものです。
ICQにログインと言いましたが、昨今の「LINE」などと違い、「ログイン」することで、友だちがオンラインしているかどうかがわかり、それによりコミュニケーションをはかることが可能です。
オンラインしているのに、返事がないなどの、現在の「既読スルー」のような状況も当時は発生しており、送信側はオンラインしているのに返信がない状況にヤキモキしておりました。
あれから、約20年。現在は殆ど使われることが無くなったICQ……。どうしてるんだろう……。
■ ICQを久しぶりにはじめようと思ったら……まさかの展開では、ICQの公式サイトに行ってみます。……と、アレ?ロシア語が表示されました。調べてみると、どうやら2010年にロシア企業に売却され、現在はロシアのIT企業VK Limited Liability Company(2021年まではMail.ru Group)の管理になっていました。
このご時世だし大丈夫かなぁ……とちょっと不安になりつつ、今どうなっているかは気になります。さっそくデスクトップ版のICQクライアントを入れてみましたが……インストールしたはいいものの、途中でフリーズしたので断念。
アプリバージョンも存在していたようですが、クリックしても存在しない模様。サイトのクレジットは「(C) ICQ, 1998-2022」と2022年の昨年で止まったまま……。利用規約も「2022年3月3日改正」が最後になっていました。
なるほどー。インターネット老人会向けの気楽な検証記事のつもりが、まさかの「今ではヤバい」サイトを踏んでしまっていたようです(涙)。ロシアで運営されているなんて、知らんかった!!
アプリ版はのきなみストップ、クレジットや利用規約が2022年で止まっている理由は、国際情勢が大きく影響している模様。
ロシアによるウクライナ侵攻がはじまったのが、2022年2月末頃。その後、利用規約が改正された3月3日頃まではなんとか運営できていたようですが、以降は各国企業がロシアから撤退、もしくは一部サービスを停止。
その中にはAppleやGoogleも含まれています。Googleはちょうど2022年3月3日に、広告配信を停止。つまりアプリは利用できないのではなく、配信できなくなったようです。なお、クライアントがうまく稼動しなかった理由は不明ですが、これも何か影響を受けていることが考えられます。
ちなみにICQの現在の準拠法(本稿執筆時)は、当然ながら「ロシア連邦の法律」。また、利用規約の「権利の譲渡」によると、ICQは顧客の同意なしに、「利用契約に基づく権利」を関連会社や第三者に譲渡やサブライセンスできることが記されています。これは……。現時点、気安くオススメできるサービスではありません。
このまますすむかどうしようか一瞬迷いました。本来は「インターネット老人会向けの気楽な記事」のつもりだったので……。
でも、折角ここまで調べたので進めてみることにしました。現在はWEB版のみが使えるらしいので、WEB版でこのまま試していきます。
ただし、これを読んでいる皆様には注意があります。現在の国際情勢を鑑みると本来なら使用はお勧めできません。筆者は記事化を目的にログインしますが、真似は推奨できません。その点ご理解ください。
今どうなっているかな?という好奇心は、国際情勢が落ち着くまでこの記事で満たしていただけると……。
■ WEB版で進めてみたWEB版はまず「電話番号」を求められるので入力。電話番号とアカウントが紐づいている模様です。
ちなみに、当時使っていたアカウントは使いまわせないようです。というかそれらアカウント情報を入れる場所がない。残念。
名前を入れていきます。大昔にはなかった「アイコン」を設定することができます。
携帯電話に認証コードが届き、それを入力するとアカウント作成が完了。ログイン後は、もちろん誰もいません、自分ひとりです。
初期画面では、チュートリアル的なものが表示できます。メモ帳代わりに使えそうです。
しかしこのご時世……ICQをやっている日本人など、そうそういないため、友だちを探すのは至難の業。ということで、もう一つの携帯電話で、もう1アカウントを登録。
自分で、友だち追加を行い、無事これでチャット可能。
■ 「アッオー!」が鳴った!!!ちょっとチャットをしてみます。しかし……無音でチャットが行われる。当時は、メッセージが着信すると「アッオー」の着信音がなったが……。
何やら色々設定があるので、設定等をしてみます。通知が来るという設定で、音を鳴らす設定にします。
すると「アッオー!」鳴りました!
懐かしい、久しぶりに聞く「アッオー」です。当時よりも、心なしか「アッオー」のスピードが速まっている気もします。
ちなみに、スマホでなくPCで見た場合は、PC版「LINE」などと同じようなインターフェース。「スタンプ」や「画像送信」等の機能もあります。
当時のファイル送信は「ウ~~ウェベ」と、別の画面で送られてきたものですが、現在はタイムライン上に画像が貼り付けられるスタイルに。
もはや「LINE」等と変わりませんね。
ただ、使用には1点だけ難点が。それは、WEB版が極めて重いという点。アプリのようにサクサク動作するものでもなく、フリーズしているんじゃないか?と心配になるほどです。
サイトのトップページを開いてもらえればわかるのですが、とにかく重い。
タイパ重視のこのご時世、この重さではもはや使い物にはならないのかもしれませんが、あの頃を懐かしむ「古の遺跡巡り」のような感覚であれば、楽しめるかもしれません。
が!重ねての注意を。現在の管理はロシア企業が行っており、現在の国際情勢を考えると会員登録はおすすめできません。絶対に!とりあえず全てが落ち着くまでは、本稿だけで好奇心を満たして貰えると幸いです。
<参考>
ICQ – stay connected
Google「ウクライナに関する最新情報(2022年3月)」
※見出し画像はICQのスクリーンショットです。
(たまちゃん)
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