【バレエ初心者向け】バーレッスンの順番を覚えるには?大人は理論をつかむのがコツ
おたくま経済新聞 / 2023年10月30日 10時31分
【バレエ初心者向け】バーレッスンの順番を覚えるには?大人は理論をつかむのがコツ
バレエを始めたばかりの方が悩むことといえば「順番が覚えられないこと」。とくに、レッスンの最初におこなうバーレッスンでつまずくと、モチベーションが一気に下がってしまいます。
「順番を覚えられないから、身体の使い方を気にする段階までいけない」「こんなに覚えられないとは思わなかった」という声、SNSでよく見かけます。
しかし、バーレッスン(に限らず、バレエ全般にいえることですが)は、法則と覚え方のコツを理解すれば、今よりグッと覚えやすくなります。
大人の方は小さなお子さんと違って、頭で考える・覚えることが得意なはず。「身体・感覚で覚える」ことももちろん大切ですが、大人は「頭」をしっかり使いましょう。
バレエ歴20年超えの筆者が、バーレッスンの順番を覚えるときのポイントやコツを解説します。
■ まずはバレエ用語をしっかり覚えようバーレッスンに限らず、バレエの動きを覚えるためには、「バレエ用語を覚える」ことが必要不可欠です。
外国語習得に置き換えて考えると、単語の意味も知らずにいきなり文法や会話の練習をすることはないでしょう。バレエも同じです。
たとえば、「1番ポジション」が何を意味するのか、「プリエ」「タンジュ」とはどのような動きなのか、などを理解していなければバーレッスンの順番は覚えられません。
もちろん最初は先生がバレエ用語の意味を教えてくれるでしょうが、レッスンのたびに毎回説明をしていてはスムーズに進まないため、頑張って覚えていく必要があります。
さらに、もし自分以外がある程度バレエ経験があるクラスに入った場合やオープンクラスなどでは、バレエ用語の詳細な説明がないままレッスンが進んでいくことも考えられます。とくに、クラスのレベルが細かく分かれていない教室では、このような状況が起こりやすいでしょう。
事前にバレエ用語を解説した書籍やYouTubeなどで予習をしておくと安心です。「バレエ用語 本」などと検索すると、レッスンでよく出てくるバレエ用語をまとめた書籍などがヒットします。復習にも役立つため、バレエ初心者さんは一冊持っておくとよいでしょう。
■ バーレッスンの流れを把握するバーレッスンの順番を覚えやすくするためには、バーレッスンの大まかな流れを把握しておくことも大切です。
メソッドにより細かな違いはあるかもしれませんが、基本的にバーレッスンは以下の流れで進んでいきます。
▼バーレッスンの大まかな流れ
・ウォームアップ
・プリエ
・バットマン・タンジュ(1番ポジション) ※スロー・タンジュとも
・バットマン・タンジュ(5番ポジション)
・バットマン・ジュテ
・ロン・ド・ジャンブ・ア・テール
・バットマン・フォンデュ・デヴェロッペ
・バットマン・フラッペ
・ロン・ド・ジャンブ・アン・レール
・アダージオ
・グラン・バットマン・ジュテ
- - - - -
クラスのレベル、メソッドによっては、上記より多い/少ないということもあると思いますが、どの教室でもだいたいこのような流れです。
また上記は、正式名称で書きましたが、バットマン・タンジュなら「タンジュ」、バットマン・ジュテなら「ジュテ」など略されることもあります。
基本的に、バーレッスンではゆっくり・小さな動き(プリエ、スロータンジュなど)から、徐々に速く・大きな動き(グラン・バットマン・ジュテなど)へと変化していきます。
この流れと各パートがどのような動きをするのか、つまり、「プリエはゆっくりとした音楽で膝を曲げる動き。1番・2番・5番・4番とポジションを変えていく」「グラン・バットマン・ジュテは、大きく脚を上げる動き」というようなことが頭に入っていれば、慌てることも少なくなるでしょう。
バーレッスンの流れは、バレエ初心者さんでもプロのバレエ団でもほとんど変わりません。バレエ団によっては、YouTubeでバーレッスンの様子を配信しているため、流れを把握するためにも一度観てみてはいかがでしょうか。
■ パートごとにベーシックな順番を覚えるバレエ用語とバーレッスンの大まかな動きを覚えたら、プリエやタンジュなどパートごとのベーシックな順番を覚えましょう。
たとえば、プリエなら「ドゥミ・プリエを2回、グラン・プリエを1回、前や後ろ、横に身体を倒す」という動きを1番・2番・4番・5番ポジションでおこないます。
1番ポジションのバットマン・タンジュ(スロー・タンジュ)なら、前(ドゥバン)・横(アラセゴン)・後ろ(デリエール)にそれぞれタンジュを出していくことが多いでしょう。
このように、各パートにはベーシックな順番、言い換えれば「シンプルな順番」「難しくない順番」というものが数種類存在します。ベーシックな順番が頭に入れば、バーレッスンの順番がグッと覚えやすくなります。
ここで、筆者が順番を覚えるときに意識していることを2つ紹介します。ベーシックな順番を覚える際の参考にしてみてください。
-覚えるときに考えること(1)- 軸足が変わるか・変わらないか5番ポジションのバットマン・タンジュやジュテなど、足を前・横・後ろに出すときは、軸足が変わるか・変わらないかを覚えましょう。というのも、軸足が変わるか・変わらないかを覚えるだけで、頭で考えずとも足を出す方向が分かるからです。
軸足を変えずに動く場合、足は前→横→後ろの順番で出します。バレエ用語では「アン・クロワ」といいます。レッスン中に「アン・クロワで」と言われることもあるため、覚えておきましょう。
一方、軸足が変わる場合は、足は前→後ろ→横の順番で出します。
……どうですか?軸足が変わるか・変わらないかを覚えるだけで、足を出す方向が自動的に分かりませんか?
「最初に前に出して、次に横で、最後に後ろ……」と覚えるよりも、「軸足が変わらない」と覚えるだけで、動く足は必然的に決まりますから「前→横→後ろ」と自然に出したくなるはずです。(というより、自然にそちらに足が出るような順番になっています)
バーレッスンの中では、
・バットマン・タンジュ(5番ポジション)
・バットマン・ジュテ
・バットマン・フォンデュ・デヴェロッペ
・バットマン・フラッペ
・グラン・バットマン・ジュテ
など、ほとんどのパートでこの覚え方が活用できます。
-覚えるときに考えること(2) -前からだけで終わりか・後ろからも繰り返すかバーレッスンの順番は、「前からだけで終わる」ときと「後ろからも繰り返す」ときの2パターンがあります。
5番ポジションのバットマン・タンジュを例に考えてみましょう。
【前からだけで終わる場合】
前→横→後ろ→横(アン・クロワ)
この場合、情報量はそれほど多くありません。「アン・クロワ+前からだけで終了」と考えれば、情報が整理され、かなり覚えやすくなるはずです。
【後ろからも繰り返す場合】
難しいのが、後ろからも繰り返す場合です。繰り返しがあるぶん、順番が長く、覚えることが多いため、混乱してしまう初心者の方が多いでしょう。
ここで、5番タンジュでよくある順番を書いてみます。
「ゆっくりタンジュ1回、速く2回を前→後→横、そして横タンジュで1番・1番・5番を2回!後ろから繰り返し!」……どうですか?順番が頭の中に浮かびましたか?
この順番を「前→後→横→横に1番・1番・5番タンジュを2セット→後→前→横→1番・1番・5番タンジュを2セット」と覚えてしまうとかなり情報量が多く、焦ってしまいます。
このように後ろから繰り返す場合は、ひとまず前からの順番をしっかりと覚えて、「後ろからは前の逆回し!」と覚えるのがコツです。
筆者の場合、この順番なら以下の4つに絞って覚えます。
(1) 軸足が変わること→これで自然と足を出す方向が決まる
(2) タンジュは「ゆっくり1回・速く2回」であること
(3) 横タンジュのあとに「1番・1番・5番タンジュ×2セット」が入ること
(4) 後ろからの繰り返しがあること→後ろからは単純に逆回しなので特に覚えない
一つひとつ覚えるよりも情報量が少なく、覚えやすいように感じませんか?
■ 難しい順番のときは「いつもと違う部分」を中心に覚える少し慣れてくると、いつもとは違う、難しい順番が出てくることもあるでしょう。
そのときは「いつもと違う部分」を中心に覚えればOKです!
たとえば、いつもは「軸足を変えずに動くアン・クロワでタンジュをしている」けれど、今日は「軸足を変える」、いつもは「外(足を出すとき)にアクセントをつけている」けれど、今日は「閉じるほう(5番)にアクセントをつけている」など、ベーシックな順番とどこが違うのか?に着目してみてください。
■ 初心者さんはバーの立ち位置にも注意バレエ初心者さんは、バーの立ち位置にも注意しましょう。
「私は初心者だから……」と遠慮して、バーの端に立っていませんか?バーの端に立っていると、右はよくても、左を向いたら前に誰もいない!なんてことに。順番が不安なとき、お手本にする人がいないと焦ってしまいます。
初心者さんは、なるべく右でも左でも前に人がいる位置、つまり経験がある人に挟んでもらうような形で立ち位置を決めましょう。
■ まとめ|動きの法則を知れば順番は覚えられる!筆者がバーレッスンの順番を覚える際に意識していることや、順番を覚えるためのコツを紹介しました。
バーレッスンの順番は基本的に法則があり、法則さえ掴めば、すべてを覚えなくとも効率良く順番を覚えられます。易しいクラスであるうちは、法則から外れるような順番は出てこないと思いますので、まずは法則をしっかり覚えてしまいましょう!
法則がある程度わかれば、少し難しくなっても対応できます。ぜひ、次のレッスンに行く際は、本稿の内容を少しでも思い出して実践してみてください!
(上村舞)
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