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Xの「コミュニティノート」機能がステマに使われている疑惑→調べてみたら本当にアヤシかった件

おたくま経済新聞 / 2023年11月6日 12時0分

Xの「コミュニティノート」機能がステマに使われている疑惑→調べてみたら本当にアヤシかった件

疑惑のコミュニティノートが付けられたポスト(とあるコンサルタントさんの許可を得て掲載しています)

 次々と新しいサービスが誕生していき、そして消えていくという新陳代謝の激しい「IT業界」。

 あれ?あのサービスってどうなったんだっけ!?というものも数多くあり、逆に記憶からも消えているサービス、サイトなどもあります。なんとも切ない業界ではありますが、そんな中いつの時代でも登場するのが「ステマ(ステルスマーケティング)」。

 「ステマ」とは、一見一般的な投稿のように見せかけ、実は広告だったり、サイトへの誘導を狙うものですが、近ごろX(旧:Twitter)の「コミュニティノート」を利用したものがあるのでは?と注目されています。

■ X(旧:Twitter)の「コミュニティノート」機能とは

 話題となっている、Xの「コミュニティノート」機能を使った「ステマ」。現段階では疑惑でしかありませんが、調べてみると「成る程疑わしい」という内容でした。

 その前に、まずXの「コミュニティノート」機能について説明を。

 「コミュニティノート」は、Xに投稿されたポストに誤りや誤解を招く恐れがある内容がある場合、「協力者」と呼ばれる一般ユーザーが背景情報を追記して補足する仕組みのことです。

Xのコミニュティーノート機能とは

 「コミュニティノート」は協力者(有志)たちが更新しており、書かれている内容、および参考先として紹介されるソース(リンク先)は、どれも「信頼がおけ」、「公平性あるもの」、というのが基本。

 仮に、「コミュニティノート」に誤りがある場合には、即他のコミュニティノート協力者がさらなる追記を加えることも可能。

 通常、情報の正確性に関しては、利用者が独自で判断しなければなりませんが、「コミュニティノート」を通じて、他人である「協力者」の意見を参考にすることで、「ファクトチェック」を間接的に行うことができます。

■ はやくも「コミュニティノート」がステマツールに!?

 多くの人が信頼をよせ、注目度も高い「コミュニティノート」には、当然ながら閲覧数も集まります。しかし、ここに目をつけた人たちもいるようです。

 一見、善意で「コミュニティノート」を投稿しているように見せかけ、実は参考URLとして貼るリンク先に、誘導するのが目的なのでは?と疑われるものが存在しています。つまり「ステマ」に使われている疑惑があるのです。

 疑われているものの一つが、つい最近話題になったサイゼリヤの価格についてのポストにつけられた「コミュニティノート」。

 ポストの投稿主は、Xユーザーの「とあるコンサルタント(@consultnt_a)」さん。ふとした疑問を投稿したものでした。内容は、サイゼリヤの「生ハム」「モッツアレラ」について触れたもの。

 値段は以前とさほど変わらないけれども、個数や枚数が減っているのでは?という疑問でした。この投稿自体は、少し勘違いが含まれます。名前が挙がった生ハムは、以前と枚数は変わりません。また、「モッツアレラ」は、実は最近あるのは新商品。以前は「バファローモッツアレラ」、新メニュー「モッツアレラトマト」は名前の通り、モッツアレラに加えてトマトが入っています。

 こうした誤解について、コミュニティノートでは次のように説明。誤解を解く内容を投稿していました。

疑われているコミュニティノート

「2022年9月14日のメニュー改定まで「プロシュート(パルマ産熟成生ハム)」が2枚400円で販売。2022年12月14日のメニュー改定で販売停止。2023年10月11日のメニュー改定で「生ハム(ハモン・セラーノ)」が2枚320円で復活しました。枚数は変更せず値下げされています」

「ハムの枚数が減っている点は事実誤認で、それ以外実質値上げかの判断は難しいでしょう」

などと指摘。

 そしてそれぞれの解説に加えて、参考先のURLを記していますが、4本あるうちのリンク先全てが「同じサイト」。リンク先は、サイゼリヤの公式サイトや、プレスリリース、または価格の違いについて詳しく解説したニュース記事ではありません。

■ 参考先は運営者匿名のまとめサイト?

 「コミュニティノート」にリンクされたサイトは、一見するとニュースサイトや情報サイト。しかし、実態は飲食店のメニューだけをまとめた、いわゆる「まとめサイト」のようなサイトでした。

 運営者情報も調べてみましたが、運営者名はハンドルネームらしきものが記されているだけであり、その他情報は不明。問い合わせフォームや、公式SNSすらありません。つまり運営者が完全正体不明のサイトでした。

 掲載されている内容も、独自文章は「サイゼリヤは○月○日にメニューをリニューアル。○○が登場しました~」といったものが2~3行書かれているだけであり、あとはサイゼリヤから転載された画像がメインで、出典としてサイゼリヤの公式ページがリンクされていました。

 つまり画像は公式からの転載という意味であり、独自文章もあまりに少ないことから、わざわざこのサイトをソースとする理由が見当たりません。

 せめて4本リンクされた中の一つならば、まだ補足資料として成り立つかもしれません。しかし、4本中4本全てがこのサイトというのは、ソースとしては明らかに力不足であり、「ステマ目的」と疑われても仕方ありません。

 この場合、もし参考先とするなら、サイゼリヤ公式にあるリリース、リリースに準じて紹介された大手ニュースサイトの記事などのほうが、まだ適切であり信用度も高いでしょう。サイトの身元もハッキリしていますし。

 厳密に言えば「ステマ」は、業者から「対価」をもらって成立します。しかし、このような騙し討ちのような誘導も広義に「ステマ」と捉える風潮があり、たびたび問題になります。

■ 今後「コミュニティノート」はどうなるのか

 さて、このような手口は、実は今に始まったことではなく、昔から存在する実に「アナログ」な集客方法です。

 たとえば、大手巨大掲示板の人気スレッドにURLを貼ったり、SNSの人気コミニュティにURLを貼るという手法。もはやPVを獲得するためのスキームとしては、「飛び込み営業」並の常套手段。

 それが新たにこの「コミュニティノート」にも使われる流れは、よく考えれば誰でも考えつくことです。

 「コミュニティノート」は有志によって作られるものであり、有害か無害かは、客観的にわかりにくい面があります。だからこそ「信頼」が重視され、協力者の人たちも苦心している点。ステマに利用されたからといって、全てを封じてしまえば、サービスそのものの、利用価値が失われてしまいます。

 この問題について、Xはどのような対策を取るのか、協力者の人たちもどう対応していくのか。信頼が求められる場所だけに、今後の対策も注目されます。

■ 疑惑の「コミュニティノート」では説明に誤りも

 最後に余談ですが、上記で例として紹介したコミュニティノートでは、生ハムの説明で「枚数は変更せず値下げされています」と記していますが、「値下げされています」の部分は誤りです。

 コミュニティノートの記載にもある通り、サイゼリヤで2022年まで販売されていた生ハム「プロシュート」と、2023年から販売された生ハム「ハモン・セラーノ」は種類が異なります。枚数は同じではあるものの、ハモン・セラーノは「新商品」であり、前とは別の商品。これを「値下げされています」とするのは誤りです。

<記事化協力>
とあるコンサルタントさん(@consultnt_a)

<参考>
コミュニティノート概要(X)

(たまちゃん)

Xの「コミュニティノート」機能がステマに使われている疑惑→調べてみたら本当にアヤシかった件 | Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By たまちゃん

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