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災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

おたくま経済新聞 / 2024年1月16日 10時6分

災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

災害ボランティアに行く前にやっておくべき大切なこと

 元日の誰もが油断しきっているような日に起こった大災害、令和6年(2024年)能登半島地震。大きな半島で起こった地震により道路は寸断され、孤立してしまった地域もあります。

 こうした状況もあり、石川県では個人の災害ボランティアについては事前登録制をとっており、必要に応じて募集するようにしています。募集があったとしても、県内(市内)限定など条件があり、かつ少人数。まだ本格的という状態ではありません。

 よって「ボランティアに行きたいけれども時がくるまで待っている」、という人が大半かと思われますが、待っている間でも実は「できること」「しておくべきこと」があるのです。

 本稿では大まかに3つの準備について紹介していきます。

■ 予防接種

 避難所での集団感染が増えているなか、ノーガードでボランティアに行くのは自殺行為。まずはワクチンを接種して抗体価を上げておきます。

 推奨されるワクチンは、破傷風ワクチンと麻しん風しん混合ワクチン(MR)。加えて現在なら、インフルエンザワクチン、新型コロナウイルスワクチンも接種しておくほうが良いでしょう。

 破傷風はがれきの撤去時に手や足を切るなどしてできた傷から感染が起こり発症します。一度発症したら命にかかわる重篤な状態を引き起こすため、泥などで汚れたものでケガをした場合は速やかにワクチンを接種する必要が出てしまいます。

 しかし、事前にワクチンを接種しておくことで現地の破傷風ワクチンを消費することなく防御することができます。破傷風のワクチンは小児の定期予防接種にも含まれていますが、小児で最後に接種するのが12歳ごろ。一方、ワクチンの免疫保持期間は約10年。成人を過ぎると免疫が切れていると考えられますので、こちらも事前に必ず接種を済ませておきましょう。

 また、現在は流行が下火になっている麻疹および風疹も、ひとたび感染者が発生すると大流行のきっかけとなる恐れが。そのためこれらに対する抵抗力を上げるための混合ワクチン(MRワクチン)も一緒に接種しておくことが望ましいとされています。

 こちらは小児のワクチン接種スケジュールに組み込まれており、2回接種が基本。しかし現在30代以降の人はワクチンの接種歴がない人も。可能であれば母子手帳のワクチン接種歴を確認し、接種していない、または1回のみの接種であれば合わせて追加接種をしておきましょう。

 そしてインフルエンザと新型コロナは避難所で流行しています。ボランティアに行ったのにウイルス感染してしまってはボランティアどころか被災地の医療リソースを余分に消費してしまうことになります。まずはボランティアに行く2~3週間前までに予防接種を済ませておく必要があります。

▼参考:国立感染症研究所「被災地・避難所でボランティアを計画されている皆様の感染症予防について」
https://www.niid.go.jp/niid/ja/disaster/h30-7/2457-idsc/8190-typhoon1807-20180717-2.html

■ ボランティア活動保険

 社会福祉法人 全国社会福祉協議会が運営している「ボランティア活動保険」はボランティア個人またはボランティアグループなどが加入申込人(加入対象者)となり、ボランティア個人を被保険者(保険の補償を受けられる方)として、全国社会福祉協議会が一括して損害保険会社と契約する団体契約です。

 補償期間(保険期間)は毎年4月1日~翌年3月31日までで、中途加入の場合も3月31日まで。3月から4月にかけてのボランティアを考えている人は更新が必要になります。

 この保険は、ボランティア自身が国内でボランティア活動中にケガをした場合の「傷害保険」と第三者の身体または財物に損害を与え、法律上の賠償責任を負った場合の「賠償責任保険」をセットにした保険です。 

 倒壊した家屋の撤去などで予期せぬ事故が起こることが十分想定できます。ボランティアに行くまでに必ず登録しておきましょう。

 登録は、最寄りの市区町村社会福祉協議会の窓口で直接申し込むほか、「災害時には特例」でウェブでの申し込みも可能。社会福祉協議会に行く時間が取れない人でも申し込むことが可能です。

▼参考:全社協「ボランティア活動保険加入」
https://www.saigaivc.com/insurance/

■ ボランティア活動の大前提「現地のリソースを使わない」

 ボランティア活動は、活動に行く人が現地のリソースを使わないことが大前提。そのため、入念な下準備が必要です。現地への移動手段、食料・飲料、宿泊場所の手配・確保は自分で行う必要があります。勿論全て自腹です。

 また、宿泊できる場所すらない場合も想定されますので現地の状況次第では車中泊ができる車や、寝袋などを持参する必要も出てきます。

 基本的な服装は長袖長ズボンで肌の露出を極力抑えた状態で。靴は厚めの底の長靴や安全靴。首にはタオルを。タオルは汗を拭く以外にもケガした時の応急処置にも使えます。頭にはヘルメットも着用しましょう。折り畳み式の物もあり、コンパクトに持ち運べます。

 その他にも軍手・ゴム手袋、タオル、防塵マスクとゴーグル、ティッシュ、着替え、携行食、飲み物、救急用品(ばんそうこうなど)、アルコール消毒液とウェットティッシュ、雨具、健康保険証(写し)、ゴミ袋などは必ず携行してください。

 そして出たゴミはできる限り持ち帰ること。被災地ではゴミ処理場が稼動していない場所が少なくありません。細かい持ち物については、赤十字や全国社会福祉協議会などがホームページ上で公開しています。ぜひ参考にしてみてください。

 「現地に行って買えばいいでしょ」「誰か貸してくれるでしょう」「現地で宿泊先探せばいいでしょう」という安易な気持ちで行くのは危険。ただ現地に迷惑をかけることになってしまいます。

▼参考:被災地を応援したい方へ 災害ボランティア活動の始め方|政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201909/4.html

■ 他にもある「情報収集」や「事前登録」

 今回紹介した3例は基本中の基本の備え。他にも石川県のように「災害ボランティアの事前登録」を求めているケースもあります。災害ボランティアを募集する自治体により方針がことなるため、行く前に念入りに「情報収集」しておくことも忘れずに。

▼参考:令和6年(2024年)能登半島地震・石川県災害ボランティア情報
https://prefvc-ishikawa.jimdofree.com/

▼参考:全社協 被災地支援・災害ボランティア情報
https://www.saigaivc.com/

 テレビや新聞などから日々入ってくる現地の状況をみるにつれて、「いち早く現地に行って助けたい」という思いを強くしている人もいるかもしれません。でも現地に行って、他人に迷惑をかけてしまっては意味がありません。

 本格的にボランティアが必要とされてくるのはこれから。今のうちに入念な準備を行い来る出番に備えておきましょう。

(正看護師・梓川みいな)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 梓川みいな | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024011602.html

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