LINE公式が注意喚起していた「チェーンLINE」 潜入して手口を紹介
おたくま経済新聞 / 2024年1月21日 12時9分
LINE公式が注意喚起していた「チェーンLINE」 潜入して手口を紹介
メッセージアプリ「LINE」では2023年末頃から、実在する企業名を騙る何者かがプレゼント企画のLINEメッセージをばらまいています。しかも「チェーンメール」のように転送うながす方法で。
「クリスマスプレゼント」や「お年玉プレゼント」という内容で、「友達に転送すると○万円プレゼント」といった流れで拡散するよう仕向けているのです。
LINEではこの状況について深刻にとらえており、1月11日には公式X(旧Twitter)を通じて注意喚起を発信。添付されたURLにはアクセスしないよう、拡散しないよう呼びかけています。
ということで、流行が確認された昨年末からしばらく時間はたちましたが、問題のチェーンメールならぬ「チェーンLINE」を入手することができました。
送り主の名義は「ユニクロ」。もちろん偽ものです。
一体どんな内容になっているのか?読者命名「プロ詐欺ラレヤー」としては黙っているわけには行きません。一足遅く潜入してみました。
■ 偽ユニクロの「クリスマスプレゼント」企画2023年末頃からLINE上で流行している、「有名企業のなりすましによるプレゼント企画」。
勝手に名前やロゴを使われている企業は、分かっているだけで「イオン」「セブン-イレブン」、そして今回の「ユニクロ」とあります。いずれも日本を代表する大企業であり、信頼感は抜群です。
勝手に名前を使われている各企業もこの事態を把握しており、公式サイトなどに注意喚起を掲載。「ユニクロ」も「ユニクロを装ったメール・SMS・サイトなどにご注意ください」のページに掲載しています。
が、実際どういう内容なのか、詳しい手口まではどこも紹介していません。今後もまた「春のプレゼントキャンペーン!」「節分プレゼント企画」などやらかしそうなので、この機会に手口をじっくり紹介していきます。
今回入手した「偽ユニクロ」によるプレゼント企画のLINEは、編集部スタッフのもとに昨年末、知人から送られてきたものです。
送った本人は送ったあと人から指摘されるまで、「詐欺」であることに気がつかなかったそう。やはり大企業の看板ということもあり、つい信じてしまう人は一定数いるようです。
■ 潜入してみたここから潜入開始です。
入手した問題のLINEに書かれているURLをタップすると、「おめでとうございます」のメッセージがババーンと登場。
どうやら、何かに当選したらしいので、そのまま進みます。画面に書かれている「ギフトを受け取る」をタップ。
すると次に出てきたのは「おめでとうございます!」と書かれたアンケートページです。アンケートに答えると、なんと5万円がもらえるらしい。さっそくアンケートに答えます。
するとその後、プレゼントボックスのページが表示されました。どうやら複数の中からどれか選べということのよう。ちなみにこのページ、下にスクロールするとプレゼントを貰った人からの感謝の声が掲載されています。ただ……名前のほとんどが外国人。なぜ……。
気を取り直して続きを紹介します。プレゼントボックスの1つを選んでタップすると……お、お金が出てきました。ということは当選!?
再び「おめでとうございます」のメッセージ。
このサイトは何回「おめでとう」を言うんだ。
で、さっそくその当選金を受け取ろうとした瞬間、次から不穏な展開になります。
■ LINEか、メッセンジャーで共有させられる。「青いバーがいっぱいになるまでシェアしてください」
いきなり、シェアを指示してきました。どうやら画面にある「青いバー」が100%になるまで、このサイトをシェアしなければならないようです。
正直ダルい。
しかしこれ、ダルいどころではなく、シェアしなければならないので、友達との信頼関係を崩壊させかねません。友達のLINEに次々とここのサイトのURLを送り付ける作業=(イコール)、迷惑LINEを送りつける作業なわけですから。
どうやら、潜入のために入手したチェーンLINEも、こうして多くの人を介して送られてきたようです。送った側は書かれていた内容に従っただけ、と思うかもしれませんが、もしも実害が出てしまったら責任の一部を負わされる可能性だってあります。気づかぬうちに詐欺の手伝いをさせられているのが、今回のチェーンLINEの怖いところ。
しかもこの「青いバー」が、いつまでたっても100%になりません。実は最初小数点はなく、99%までは割とすぐ貯まったのですが、その後「99.1%」とか、小数点が出てきてしまう始末。
こんな調子で、せっせとシェアを繰り返して、なんとか終わらせると「この最後のステップを完了する必要があります」という画面が出てきました。指定のアプリケーションを登録して、登録後30秒間開いておく必要があるとのこと。マジかよダルい。
■ よくわからないサイトに飛ばされる正直なところわけのわからないアプリはインストールしたくない……。とはいえ、ここは勇気を振り絞り、ボタンをタップ!
すると、今度はよくわからない謎の懸賞サイトに飛ばされました。なんだこれは、「ユニクロ」はどうなってしまったのだろうか。そしてアプリケーションとは……。
気になることは山盛りですが、このまま進むと、また何かに当選しました。
「iPhone15Pro」が当選!やったー(無表情)
贅沢な話ですが、もう「おめでとう」と「当選」と言う言葉に聞き飽きた。そしてお約束の、参加者からの声のところは……「日本人名」になっていました。
その後、さらにヤバい展開に。
なんと今度は「ショートメッセージ」で無差別的に見知らぬ誰かに「何かのメッセージ」を送り付けさせようとしてきます。
いきなりSMSの画面が開かれ18件もの「知らない誰かの番号」がセットされています。よーくみると「33」や「43」が先頭についています。
これは国際番号のことで、33はフランス、43はオーストリア。国際SMSは料金が高額なことでしられています。1件50円くらいから高いものだと500円。仮に500円だとすると9000円もの料金に。こえぇぇ。
SMSを送信させる目的はわかりませんが、詐欺師はこの国際SMSを送信させることで、間接的にでも何らかの形で利益を得ていることが考えられます。
まちがいなく、この「プレゼント」に釣られて進んでいくことは全くおすすめできません。LINE転送だけでも自分の信用や、場合によっては友達も失います。SMS送信なんてもってのほか。
今回はこのように、誰かに送りつけるだけですませるようですが、いつの間にか情報を抜かれたり、最悪怪しげなリストに入れられ、海外から怪しい電話がひっきりなしにかかってきたりということもあります。(体験談)
最後に余談ですが、この「プレゼント」ページを途中でブラウザバックすると、「消費者センター 日本 おめでとうございます!」というページや、「ファイルのダウンロードが準備できています!」というページがなぜか表示されます。
そこから進んでいくと、最後は同じくSMSを送信する流れ。どのバージョンを進んでいっても待っているのは地獄です。
ですので、たとえ知り合いや友人からのLINEであっても、この手の怪しい甘い誘いには絶対に釣られないようご注意ください。
現場からは以上です!
【編集部より注意】
記事化を目的に潜入取材を行いましたが、絶対に真似はしないでください。編集部では、専用機材を用意し、セキュリティ面、やりとりをする担当者のメンタル面にも十分な注意を払い取り組んでいます。安易に真似をすると大変危険です。
<関連記事>
LINE公式が注意喚起 チェーンメールのようなメッセージの拡散を確認
<参考・引用>
UNIQLO公式サイト「ユニクロを装ったメール・SMS・サイトなどにご注意ください」
LINE公式Xアカウント(@LINEjp_official)
(たまちゃん)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By たまちゃん | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024012103.html外部リンク
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