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SNSで拡散された「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」は誤り

おたくま経済新聞 / 2024年1月22日 10時5分

SNSで拡散された「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」は誤り

SNSで拡散された「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」は誤り 単なる表記の揺れだった

 SNSにはあらゆる情報があふれていますが、それが本当に正しいのか、間違っているのかはきちんと精査する必要があります。

 先日Xで注目を集めていたのは「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」という話題。投稿は1.4万回もリポストされ、約396万インプレッションをあつめていました。

 一見するともっともらしく聞こえる話ですが……これ、実は誤りです。

 投稿には画像が添えられており、「表記により含まれる成分が異なる」という内容が書かれています。

 「せっけん」の場合は天然由来の素材のみ、「石けん」の場合はせっけんに加えて化学物質が添加され、「石鹸」の場合は石けんに加え合成界面活性剤が配合されている、といったもの。

 つまり、「せっけん」とひらがなで表記されているものは無添加で、より肌に優しい……ということですが、投稿には「そんな定義はない」という反対意見も散見されます。

■ 「表記による分類は正しくない」日本石鹸洗剤工業会が回答

 そこで、石けん・洗剤の大手企業が中心となった団体「日本石鹸洗剤工業会」にたずねてみたところ、「ご相談いただきました『石鹸の分類』は正しくありません」との回答が。つまり、「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」という主張は誤り。

 また、日本石鹸洗剤工業会のホームページにも「『石けん』と『石鹸』と『せっけん』『セッケン』……。英語では『Soap』ですが、日本語の表記は、漢字とひらがな・かたかなすべて動員してさまざまに表記されています」と、説明があります。

 ようは表記には特に定めがなく、それぞれの違いは各メーカーの判断で決めて良い、ということ。現に「せっけん」という表記で、保湿剤が配合されている商品もあります。単なる表記ゆれで、商品のイメージづくりに過ぎない、というのが実際のところであるようです。

■ 使用する石けんにこだわりがある方は成分表示で確かめるのが確実

 くわえて、ホームページには「石鹸の鹸の字が当用漢字にない」ので、「石けん」と不自然な表記にした、という記述も。複合的な理由からさまざまな表記が用いられているようですが、やはりどこにも成分の違いによる表記方法に関する記述はありません。

 商品名に「せっけん」とあっても、合成界面活性剤が含まれるパターンはありますし、「石鹸」表記でもオーガニックであるパターンもあり得る、ということ。

 使用する石けんにこだわりがある方は、「商品名」や「イメージ」で判断するのではなく、成分表示で確かめるのが最も確実であると言えるでしょう。

■ 実は……2014年頃からある話題

 なお、今回大きな注目をあつめた「せっけんと石けんと石鹸は違うもの」の話題と画像ですが、これは調べたところ2014年にX(当時はTwitter)に投稿されているのが確認できています。

 この投稿が初出かはわかりませんが、以降SNS上にて転載が繰り返され約5年おきに話題になっています。

 都度、指摘する記事や指摘するリプライなどもよせられていますが、忘れたころに拡散されるため、今後もまた出てくる可能性があります。再び見かけることがあったら、ご注意ください。

<記事化協力>
日本石鹸洗剤工業会

<参考・引用>
日本石鹸洗剤工業会ホームページ「「せっけん」と一口にいうけれど……」「石けんにもいろいろある 種類と分類」

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024012202.html

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