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大手サイトにも出没している詐欺広告「次のページ」 わざと踏んで怪しいサイトにアクセスしてみた結果

おたくま経済新聞 / 2024年3月14日 12時56分

大手サイトにも出没している詐欺広告「次のページ」 わざと踏んで怪しいサイトにアクセスしてみた結果

大手サイトにも出没している詐欺広告「次のページ」

 昨年頃から嫌な流行を続けている、サポート詐欺。入り口はインターネット広告であることがほとんどです。

 そんなサポート詐欺へと導く詐欺広告。一時は多少減少傾向にありましたが、ここ数日大手ニュースサイトに出没しているという情報が届きました。確認したところ、出現先の一つは超有名週刊誌のネット版。

 「次のページ」というシンプルな広告のため、記事本文にある広告枠に出現した場合に、ついうっかり踏んでしまう人が多いようです。

■ 誤クリック(タップ)を狙った「次のページ」

 完全に誤クリック(タップ)を狙ったものですが、記事の続きを読むはずが押すと警告音が突如鳴り響き、画面はフリーズ。加えて、「すぐにお電話を」の文字がしつこく出てくるので、うっとうしいことこの上なし。

 なお、サポート詐欺の画面が出てしまった場合には、書かれた電話番号にかけるのはNGです。お金を要求されます。

 警告画面ははったりが基本なので、「このページを閉じないでください」と書かれていても、スルーして閉じてしまいましょう。

 離脱方法はPCの場合、「ESCキー」を長押しして「閉じるボタン」を出現させクリック。もしくは「Ctrl + Alt + Del 」コマンドで強制終了。スマホの場合はアプリを終了させれば離脱できます。

■ 「次のページ」の誘導先は複数

 さてこの「次のページ」広告ですが、実際のところどうなのか?調べてみました。

 「次のページ」広告は、青地に文字だけ書かれたとてもシンプルな広告。大きさは縦長、横長と様々あることが確認できています。

 そのリンク先についてですが、ざっと調べただけでも複数のURLを見つけることができました。全く同じ広告にもかかわらず、誘導先サイトが異なるのは「インターネット詐欺広告」の王道手口です。

 そして踏んだ結果は3つ。(1)サポート詐欺ページ、(2)謎のサイト(日本語で書かれているけど、日本語が下手)、(3)抜け殻(既にページが閉じられているもよう)です。

「次のページ」広告を踏んだ結果

 (1)については先に対策を紹介しました。そして(3)についてはどうしようもないので、このままにしとくとして……気になるのは(2)。

 (2)のパターンでは3種類のサイトの存在を確認。どれも日本語で書かれており、表面上はお花屋さん、レストランの情報サイト、個人ブログらしき体裁。(ただしどれも日本語が下手)

 一見すると、何てことはない普通のブログやサイト。しかし本当に「何てことはない」のでしょうか。先に進んでみたいと思います。

■ 広告から遷移した先

 同じデザインの広告から誘導先が複数あるだけでも不自然ですが、さらに3つも別サイトが出てくるというのは怪しさしかありません。

怪しい広告をクリックすると

 この時点で既に「妙な雰囲気」を醸し出しているのはさておき……だからこそその先に進むべき使命が筆者にはあるのです。なぜならば、読者より拝命した「プロ詐欺ラレヤー」というあだ名にかけて!
(プロ詐欺ラレヤー=詐欺に騙されることばかりしていたら、読者がつけてくれました)

 なお、ここでお決まりの注意書き。普通ならば詐欺サイトにアクセスし、その先に進むことは絶対に推奨できません。筆者は仕事として調査に取り組んでいます。気軽に真似をすると大変危険なので、絶対に真似をしないでください。先を見てくるのが筆者のお仕事。記事だけで好奇心を満たしていただけたら幸いです。

■ 陰謀と畏敬の念を呼び起こす花屋

 まずは「お花屋さん」のページからじっくり見ていきます。なお、次から掲載する画像には、写真の出所(権利所在)などが不明なため編集部で一部ぼかし加工をほどこしました。その点ご容赦ください。

「お花屋さん」のページ(編集部で一部ぼかし処理を行っています)

 で、さっそくよく読むと……どうやら花屋のサイトと、何かのWEBコンサル系のサイトがミックスされているもよう。なんじゃこりゃ。

 フラワーショップの紹介文もかなりおかしく、「美しい手作りの看板があり、陰謀と畏敬の念を呼び起こします」など変な表現が。花屋の看板なのに「陰謀」とは?

花屋の看板なのに「陰謀」とは?

 最後に問い合わせフォームがあったので、デタラメ情報を入力して送信してみました。するとサクッと送信完了。出てきたのは、問い合わせを感謝する、といった内容の画面。このサイトは一体何をしたいんだ?

問い合わせ完了画面

 まぁ、不審な点しかありませんが、これ以上みるところもないので、次のサイトを見ていきます。

■ レストラン情報サイトなのにカテゴリーに「株式市場」

 次に観察したのがレストランの情報サイト。サイトタイトルにも「Restaurant」の文字が含まれているので、レストランを主に紹介するのが本来の趣旨。ただし不審なのが、カテゴリー。

レストラン情報サイト

 「株式市場」「関数」「読者のブログ」「世界」「天気」「技術」……おいおい、レストランどこいった!どうやらこのサイトも、経済系のブログと、表面に見えるレストラン情報サイトをミックスして作られたもののようです。怪しさしかない。

怪しいカテゴリー

 あちこちクリックしてみましたが、記事ページのはずなのに写真だけのページがでてきたり、押せなかったりでなんだか中途半端。適当に作っているなぁ。

 このサイトもこれ以上は見るべきところがないので、最後の「個人ブログ」を見ていきます。

■ 一見まともに見える「個人ブログ」

 なんでしょうか……普通すぎてこれは別に「白」じゃないのか!?と思えてしまうほど。何の予備知識もなく開いていたら、普通に見てしまいそう。

一見まともに見える「個人ブログ」

 ブログのメインコンテンツは「本」に関する情報のようです。ただしカテゴリーには「投資」「車」「ニュース」「金融」「株式市場」といった、やはり無関係な項目が並んでいます。

カテゴリーには「投資」「車」「ニュース」「金融」「株式市場」

 また、ページに記載されている文章も、違和感しかありません。

ようこそ!あなたが私たちのウェブサイトを訪問していることをとてもうれしく思います。あなたにとって最も関連性の高いニュースの非常に興味深い選択が常にあります。私たちのチームは、私たちのウェブサイトが正確で、魅力的で、読みやすいことを保証するために一生懸命働いています。私たちのサイトが役に立ったら、コメントを残してお知らせください。

 まず、日本語が自然ではない、そしてコメントを残すことを要求してくるのです。

コメントを残せと書いてある

■ コメントを残してみた

 ははーん、これはコメントを残して、コメント数を稼ぐつもりだな。

 といっても、ブログでコメントが残されて喜べるのは、SNS全盛期となった今ではもはや過去の話。2000年代のブログ全盛期の時代だったら、喉から手が出るほど欲しかっただろう。だが、今は別にそこまでいらない。

 なのに、なぜコメントが欲しい!?これは怪しい……ということでコメントを残します。今度はデタラメ情報ではなく、実際あるメールアドレスなどを入力!

怪しいサイトに投稿してみた

 すると……明らかに怪しいページに遷移。あれ、でもこの画面どこかで……。あっ。

怪しいサイトに投稿した結果

 「陰謀と畏敬の念を呼び起こす花屋」の問い合わせフォームから、適当に送信したあとと同じ画面です。やはりグルだったか。

 これは結局、個人情報を収集するための罠というわけでしょうか。だが、そんなことは重々承知の上ですので、特に問題はありません。

 念の為、不審なメールが来ていないか自分のメールボックスをみてみると……。

 全く来ていません。2~3日放置しましたが、来ないですね。これはこれで妙ですし、ちょっと狙いがわからないので、不安にはなります。

自分のメールボックス

 しかしもう一度、先ほどの送信完了画面をよくみてみると……。

 ガッツリ個人情報が「ルフィ」よろしく、どこかに送信されている!

 コメントを残せといいつつ、目的としては「名前」「電話番号」「メールアドレス」などの個人情報をどこか見知らぬ場所に送信させる。そしてそれをまとめて何かのリストに使う。そんなところでしょうか。

怪しいサイトに投稿した結果のURL

 いずれにせよ、詐欺広告を入り口とした詐欺サイトは無数に存在しています。

 そして、今回のように「大手サイト」に掲載されている広告だとしても、それはそのサイトが認めたものではなく、あくまで「広告業者が載せている」に過ぎません。

 広告を掲載するサイト側もある程度は対策をしていますが、広告を配信する「広告業者」の審査をすりぬけて配信されてくる以上、限界があります。

 本来は広告業者側での対策を大いに期待したいところですが、詐欺広告が溢れるこの1年を見つづけている限りそれはあまり期待できそうにありません。インターネットユーザー側でも、対策するしかないのが現状です。

 とにかく、怪しいと思ったら絶対にクリックしないこと、ましてや「コメント」などは残してはいけませんので注意を。

(たまちゃん)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By たまちゃん | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024031402.html

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