ちょんまげ頭で面接に合格!令和を生きる侍「とりにく」さんに話を聞いてみた
おたくま経済新聞 / 2024年4月24日 12時0分
ちょんまげ頭で面接に合格!令和を生きる侍「とりにく」さんに話を聞いてみた
ちょんまげと言えば、多くの方が江戸時代の男性にみられた髪型の一種と認識しているかと思いますが、なんとこの令和の世にも、ちょんまげ頭の侍が存在したもよう。彼の名前は「とりにく」さん。
決してコスプレではなく、日常的にちょんまげ頭で過ごしており、先日はなんとその頭のまま飲食店のアルバイトにも採用が決定したとのこと。Xで大きな注目を集めたとりにくさんに話をうかがってみました。
■ 和服好きが転じてちょんまげを結うように
とりにくさんのXプロフィールを見てみると、アイコンはにこやかに笑うとりにくさん本人の写真が使われています。もちろん髪型はちょんまげで、和服着用、タイムライン上もその姿であふれかえっている等、本当にちょんまげを愛してやまない様子。
いったいちょんまげの何にここまで惹きつけられたのかをうかがうと「実のところそこまで深い理由は無く『ただの髪型と思っている』『やりたいからやった』にとどまってしまいます……」との回答が。とりにくさんにとって、この姿はごく自然なことであるようです。
そのうえで、「あえて掘り下げるならば」と語ってくれたのが、「元々趣味が古かった」というエピソード。「日本人なら一着くらいは和服を持ちたい」という思いから、5年ほど前より日常的に着物を着用するようになり、伸びた髪を殿様風にまとめてみたところ「そうか!ちょんまげにすればいいんだ!」と閃いたのだそう。
それから力士のような剃らないちょんまげ(総髪)を結っていましたが、頭の形に微妙に合わず。トップのボリュームを抑えれば、相対的に奥行きのあるシルエットになると気付いたことから、以降剃髪するようになり、現在の髪型で落ち着いたそうです。
■ 沖縄料理店に採用決定 もちろんちょんまげのまま勤務そんなとりにくさんが、アルバイト面接に合格したとXで報告を行ったのが4月16日。面接前にはきちんとちょんまげでも良いか確認をとり、当日はさらに着物を着用し、現地に赴きます。
あらかじめ写真を送付していた為、実際の面接時も大きな驚きはなく「あぁ本当にこの格好なんだ」といった様子で、淡々と行われたもよう。結果的に採用となったので、とりにくさんの人柄が認められたということでしょう。
沖縄料理店とちょんまげの相性も気になるところですが、現在はすでに勤務を開始しており、もちろんちょんまげで勤務。接客時も思いのほか極端な反応をされる方は少ないそうで、「まさか店員がちょんまげだとは思いもしないので、何かの見間違いだろうと思われている方も多くいるのでは?」と推測しています。
一緒に働く従業員や顔見知りのお客様には一貫して、「珍しいし初めは驚くけど、慣れると案外普通というか自然に見えるよね」と好評とのこと。そのうち名物店員として、とりにくさん目当てに来店する方も増えてくるかもしれませんね。
■ 意外にも?メリットの多いちょんまげ頭 困るのはかしこまった場面それにしても、ちょんまげを結うのはもちろん、維持もとても大変そう。外出する時どのくらいの時間をかけてセットしているのかうかがうと「最低限の形にするだけであれば5分程度、時間に余裕のある時や特別なイベントの際は2~30分ほどかけて結います」と、意外にも標準的なセット時間。
さらに、油と元結(紐)さえ買ってしまえば維持できる髪型なので、床屋に行く必要がなくお金の節約にも繋がることに加え、ただ散歩に出かけるだけでも色々な方に声をかけられるので日々退屈しないのだとか。思っている以上にメリットは多いようです。
一方、お葬式などかしこまった場面ではカツラを被ったり、友人と遊ぶ時にあちらこちらで声掛けや写真撮影を求められるので遊びどころではなくなる、といったデメリットも。髪型に問題があるわけではないものの、否が応でも目立ってしまう……というのはやむを得ないところでしょうか。
時代を先取り……ではなく、大きくさかのぼってしまったわけですが、服装にリバイバルブームがあるように、ちょんまげや和装が広く一般的に受けいれられる社会になってほしいですね。
■ 日本の伝統文化や工芸を存続させる仕事に就きたい 令和の侍の夢は大きいアルバイトに応募する前には、大学を中退したというとりにくさん。まさに目前にはさまざまな道が開けているわけですが、今後についてうかがうと「採用いただいたバイト先でコツコツと働きお金を稼ぎ、まずは一人暮らしを」と、実に現実的な回答が。
もちろんこれだけでなく、その後は「本格的な髪結の技術を勉強しようと思っています、そのかたわら絵のスキルも磨きたいです」といった目標も。今も実際に人の髪を結ったり、学生時代から積み重ねた絵画を継続したりと、自己研鑽に余念がありません。
さらに、将来は「まだざっくりとしていますが、一つ明確なのが何かしら日本の伝統文化や工芸を存続させる仕事に就きたいということです」とのことでした。
もうすでに伝統の存続に一役買っていそうな風貌ですが、そのちょんまげ頭の中にはもっともっと先を見据えた絵が描かれているに違いありません。今後の活動にも注目が集まりそうです。
<記事化協力>
とりにくさん(@tarakosan114)
(山口弘剛)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛 | 配信元URL:https://otakei.otakuma.net/archives/2024042402.html外部リンク
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