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イラストレーターを狙う詐欺師にタダで絵をプレゼントしたら黙ってしまった件

おたくま経済新聞 / 2024年5月31日 15時43分

イラストレーターを狙う詐欺師にタダで絵をプレゼントしたら黙ってしまった件

イラストレーターを狙う詐欺師に本当に絵をプレゼントしたら黙ってしまった件

 主にInstagramで流行しているイラストレーターをターゲットにした詐欺。高額の依頼をちらつかせ、支払い方法としてPayPalを指定、「送金が高額であるため、やり取りにアカウントのアップグレードが必要」と誘導し、その手数料をだまし取るという手口です。

 個人でイラストレーターとして活動している筆者の元にも、先日この手のDMが届いたのですが、もしかすると本当の依頼かもしれません。そこで、これに「無料でいいよ」と対応し、実際に絵を描いてあげたらいったいどんな反応をするのか、試してみることにしました。

 ちなみにこの手口は、以前おたくま経済新聞の記事でも紹介したことがあります。2023年6月のことでしたが、ずっと同じような内容の詐欺が横行しているもよう。それだけ引っかかってしまう人が多いということなので、クリエイターの方は特に注意してほしい事案です。

【イラスト依頼詐欺の流れ】

Instagramアカウントに「イラスト依頼」のDMが届く。
 ↓
依頼料は高額、描いてほしい対象は子どもやペット。写真も送ってくる。
 ↓
支払い方法はPayPalが指定される。「PayPal.Me」というメールアドレスなしでも送金できる方法があるにも関わらず、しつこくメールアドレスを用いての送金方法を希望してくる。なお、ここでごねるとInstagram通話機能を使って鬼電をかけてくる。
 ↓
メールアドレスを教えると、今度は受け取るにはアカウントのアップグレードが必要など理由をつけて、逆に送金を要求してくる。

■ 今回の依頼主は「Pさん(仮名)」

 今回の相手「Pさん(仮名)」から届いたのは、「Hello are you available for commissions?(こんにちは。依頼は可能ですか?)」という英語のメッセージ。

Pさんとのやり取り

 一見すると普通の連絡のようにも見えますが、Pさんのプロフィールを見ると、0フォロー0フォロワーであるうえに、ひとつの投稿もありません。普通はフォローしている人に依頼しません?この時点ですでに怪しさ満点……。

Pさんのアカウントは0フォロー0フォロワー

 気を取り直して、「英語が分からない」と伝えると、日本語のメッセージと共に、1枚の写真が送られてきます。写っているのは欧米系の4~5歳と思しき子どもで、これを描いてほしい、とのこと。名前は「ジョン」くんだそうです。

相手から提示された依頼料は300ドル。

 相手から提示された依頼料は300ドル(記事執筆時点:約4万7082円)。はっきりいって1枚の絵に対しては破格の値段ではあるものの、決してありえなくはない絶妙な額です。ジョンくんの誕生日に贈りたいので、1週間以内に用意してほしいとのことでした。

支払いはPayPal希望とのこと。やっぱりか……

 疑わしい話ではあるものの、子どものためとあらば、その話に乗ってみましょう。パパッと描いてみたらどんな反応を見せるでしょうか。早速絵を描いていると、その間にPさんからPayPalを用いた支払いを希望されました。やっぱりそうきたか……。ここまでは従来通りの流れです。

完成したイラスト

 と、そうしている数分の間にイラストが完成。相手にとっての番狂わせを実行していきます。

 完成したイラストを早速Pさんに見せて、「せっかくの誕生日なのでプレゼントしたい」「PayPalは使っていないので」と申し出ると……「PayPalは簡単に設定できる」と、食い下がってきました。タダでいいって言ってるのに……。

イラストを送ると、まだ払う意思があるもよう

 「何が何でもお金を払いたい依頼主」と「どうしても絵をプレゼントしたい受託側」という謎の構図になりましたが、ここまで来てやっぱりお金をもらいます、というのも無粋なもの。「ジョンにおめでとうと伝えてください」と送ったところ……既読は付いたものの、以降はログインする様子もなく、完全に沈黙してしまいました。

以降返事が返ってくることはありませんでした

■ 話にならないと思われた?

 今回の件、十中八九詐欺目的だったとは思いますが……せめてひとことお礼くらいは欲しかったなぁ。そして何より、これが本当の依頼であって、絵がジョンくんに届いてほしい……と願うばかり。

 PayPalはもちろん実際に存在する決済手段のひとつであるため、本当の取り引きにも用いられることもあります。しかし、詐欺目的の方の特徴として、とにかく会話が成立しない、提案が一方的で柔軟な対応が出来ない、という点が挙げられます。

 真剣に描いた絵を相手に盗られてしまうだけでなく、金銭までだまし取られてしまう可能性をはらんだ悪質な詐欺の可能性が高いので、安易に相手の話を信用しない、金銭の話は出来る限り相手に合わせないようにする、など徹底して自衛に努めるようにしましょう。

(山口弘剛)

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 山口 弘剛‌ | 配信元URL:https://otakuma.net/archives/2024053105.html

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