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セイコーが「多様化する時間の使い方の実態」について調査 半数以上が「タイパ重要社会」に違和感

おたくま経済新聞 / 2024年6月11日 13時30分

セイコーが「多様化する時間の使い方の実態」について調査 半数以上が「タイパ重要社会」に違和感

タイパ重視は社会に定着したと思う

 セイコーグループは、生活者に時間についての意識や実態を探る調査を2017年より実施。毎年「セイコー時間白書」として発表しています。

 2024年は、多様化する時間の使い方の実態について調査。さらに「時間学」を専門としている千葉大学教授の一川誠さんが「これからのタイパ(タイムパフォーマンス)」について解説しています。

 15歳~69歳の男女1200人を対象に、タイパを重視する考え方の社会への定着について聞くと、60.5%が「社会に定着したと思う」と回答。

 タイパを重視する理由について「効率よく情報を得たい」や「無駄なことに時間を割きたくない」などと答える人も多く、現代人の多くが日常的に時間効率を重視している様子がうかがえます。

生活の中でタイパを重視する理由

 次に時間の使い方を聞くと「生成AI機能を使って時間効率を高めている」と答えた人は全体の22.2%。この中で「タイパが最重要課題」と思っている人は43.8%と高くなっています。

 さらに「時間効率を高めるためにChatGPTを使ったことがある」と答えた人も全体22.4%となっておりAIとほぼ同数。同様に「タイパが最重要課題」と考えている人も38.0%と高いです。タイパが最重要課題と考える人は、AIなどのテクノロジーを活用して時間効率を高めている模様。

時間効率を高めるために意識していること

■ タイパ重視社会に違和感

 一方で、タイパ重視社会に違和感がある人も。「何においてもタイパの良さを求められることに違和感がある」と答えた人は半数(52.9%)にのぼります。

普段の生活でのタイパ意識

 4割の人も「時間効率を高めるためにツールやライフハックを使うよう押し付けられていると感じる」と回答。加速化し重要度が高まるタイパに対して「タイパ疲れ」の傾向も見られ、何事にも効率化が求められることに違和感がある人も少なくない結果となっています。

 事実、73.8%の人が「時には立ち止まってひとつのことを考えたい」と答えており、「何もしない時間を増やしたい」という人も49.8%います。

「立ち止まってひとつのことを考える」について

「何もしない時間」について

■ 「タイパ派」か「じっくり派」か

 そこで「タイパ派」か「じっくり派」か聞いてみたところ、何事もタイパを高めて時間効率を優先して生活したい「タイパ派」は47.3%。パフォーマンスが悪くても物事にじっくりと取り組んで時間効率に縛られずに生活したい「じっくり派」は52.8%という結果に。

タイパ派orじっくり派

 普段の生活の中でタイパを重視する時間について聞くと、1位が「掃除」(37.8%)、2位が「料理」(36.6%)、3位が「洗濯」(36.5%)と家事全般が上位に挙げられました。

タイパを重視する時間

 逆にタイパにとらわれずに過ごしたい時間を聞くと、1位が「睡眠」(41.8%)、2位が「家族とのコミュニケーション」(39.5%)、3位が「友人とのコミュニケーション」(35.3%)の順となっています。

タイパにとらわれずに過ごしたい時間

 ただし「時間に追われていると感じる」と答えた人は70.8%と、2019年以降で過去最多に。時間に追われる感覚が「強くなった」と感じる人も53.9%と年々増え続けています。

 1日が24時間であることに対しても60.8%が「足りない」と回答し、2023年の55.3%から5.5ポイントも増加。コロナ禍から解放されたことにより、時間に追われている感覚が強まって1日24時間では足りない人が増えています。

普段の時間の感覚

■ 多様な時間の使い方は人生の豊かさにつながりやすい

 「時間学」が専門の千葉大学教授・一川誠さんによると、自分はどういうふうに時間を使うと満足できるのかを考え、「そのために何を短縮し、どこに長い時間を確保したいか」という時間の使い方を考えることが大切だといいます。

 例えば今回の調査でタイパを重視する時間として「料理」が挙げられていたものの、「普段の料理はタイパしたいけれど、ストレス解消の料理は時間を気にせずに没頭したい」など、人やシチュエーションによって時間の使い方は変わります。

 一川さんは「多様な時間の使い方は、社会や人生の豊かさにつながりやすい」と語ります。

■ 自分のクロノタイプを把握することから始める

 今回の調査の中で、一川さんは時間の使い方という観点からクロノタイプという体内時計の特性の測定を実施。

 「クロノタイプ」とは、生まれつき備わっている体内時計のパターンのことです。心身の活動のピークが朝の「朝型」、昼の「中間型」、夜の「夜型」に分類され、生活習慣や個人の努力では修正が難しいといわれています。

 普段の生活リズムと本来の体内時計をそれぞれ測定すると、約2割が一致しないという結果に。完全に一致していなくても毎日の習慣で社会の時間割に合わせることはできるものの、夜型の人は朝が苦手で遅刻しやすかったり、朝型の人は遅い時間になるとミスが増えたりしてしまうそうです。

生活リズム別のクロノタイプ

 そしてクロノタイプは複数の遺伝子によってプログラムされた心身の特性なので、生活習慣や個人の努力では修正が難しいことが最近の研究でわかってきているのだとか。

 「とはいえ、今の社会では体内時計に合わせて皆がバラバラに稼働するのは、まだまだ現実的ではない」と一川さん。そのため、まずは自分のクロノタイプを把握してミスを避け、得意な時間を生かすことから始めてみることを提案していました。

情報提供:セイコーグルーブ株式会社

Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮

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