ガスト「至福のフレンチコース」をレビュー ミシュラン星付きシェフ監修の絶品を1990円で体験
おたくま経済新聞 / 2024年11月23日 12時2分
ガスト「至福のフレンチコース」をレビュー ミシュラン星付きシェフ監修の絶品を1990円で体験
11月21日より、全国のガストで「至福のフレンチコース」がスタート。白金台のレストラン「L’allium」の進藤佳明シェフが監修した本格的なフレンチコースメニューを、税込1990円というお手頃価格で味わうことができます。
ファミリーレストランで味わう本格フレンチ、果たしてそのお味は……? 発売初日に体験してきました。
「至福のフレンチコース」では、3種の前菜盛り合わせ「サーモンマリネのグジェール」「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」「帆立のバターソテー」に始まり、スープメニューとして「カリフラワースープ ~カリカリパンチェッタとクルトン添え~」と続きます。
メインメニューは「ビーフ100%ハンバーグ ペリグーソース ~ごぼうのチップをのせて~」「卵の赤ワインマリネ、クリーミーマッシュポテトと温野菜」の2皿、最後にデザートとして「ブランマンジェプラリネ」の、あわせて7品が提供されます。なお、メインメニューへの付け合わせは、ライスかフランスパンのどちらかを選べます。
今回メニューの監修を務めた進藤佳明シェフは、2003年にフレンチレストランの殿堂「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」にてロブション氏のエスプリ(真髄)を受け継ぎ、2007年に同店の副料理長へ就任。その後、2012年に白金台のフレンチレストラン「ジョンティ アッシュ」料理長に就任し、ミシュランガイドの「一つ星」を5年連続で獲得しました。
2018年の独立後は、自身の集大成となるレストラン「Restaurant L’allium」を白金台にオープン。そんな華々しい経歴を持つフレンチの巨匠が手掛ける本格的なフレンチコースをガストで、しかも1990円という手頃な価格で味わえるのだから驚きです。一部でなく、全店舗で展開というのも嬉しいところ。発売当日に最寄りのガストへ足を運びました。
席につくと、テーブルに置かれた「至福のフレンチコース」のメニューブックがひときわ目を引きます。
タブレット注文が浸透したいま、すっかり珍しくなったメニューブック注文。こうしたところにも「レストラン」としての本気度を感じます。
通常、ガストでは注文すると「ネコ型ロボット」が食事を運んできますが、今回の「至福のフレンチコース」では、店員さんがすべてのメニューを一皿一皿、丁寧に席まで運んでくれます。この感じも「フレンチレストラン」の雰囲気たっぷり。
■ 一口あたりの味のボリュームにビックリ! 前菜から本気度が爆発まずは前菜として、「サーモンマリネのグジェール」「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」「帆立のバターソテー」の3品をいただきます。
「サーモンマリネのグジェール」は、サクッと焼き上げた一口サイズのシューにスモークサーモンをのせた一品。シュークリーム以外に「料理」として「シュー」を食べるなんて、初めての経験でビックリ。こんがり色のシューと鮮やかな橙色のスモークサーモンが、なんとも食欲をそそるコントラストです。
人差し指サイズのかわいいシューをつまんで、口の中へ。お菓子のような見た目とは裏腹に、サーモンの濃厚な塩味とコクが大きな余韻として広がります。その勢いは口を動かすごとに強くなっていき、いつしか鮭を一匹まるごと食べているかのような満足感に浸れます。まさかフィンガーサイズのメニューで、ここまで「一皿感」を味わえるとは……。
続いていただいた「アンディーブの柚子ビネグレッド和え」は、「チコリ」の名前でも親しまれるキク科の野菜、アンディーブを千切りにし、柚子果汁のドレッシングをあしらったメニュー。キャベツとセロリを合わせたようなシャキシャキ食感を柚子果汁のシャープな酸味と香りが引き立たせ、ひとときの刺激とともに、甘くさわやかな後味を演出します。
そして「帆立のバターソテー」。少し焦がして香ばしさをつけた、北海道産ホタテのバター焼きです。焦げの香ばしさとバターのこっくりとした風味が舌を喜ばせつつ、ホタテが持つほのかな甘味とじんわり豊かな旨味をしっかりと楽しませてくれる、まさに「引き算の妙」を感じられる一品です。
■ ほのかな甘味と上品なコク、穏やかながらもメリハリのきいたスープ前菜の時点ですでに一つのコースかと思うほどの食べごたえですが、「至福のフレンチコース」はまだ幕を開けたばかり。続いてスープメニュー、「カリフラワースープ ~カリカリパンチェッタとクルトン添え~」をいただきます。
こちらは、ふわふわとクリーミーに仕立てた、カリフラワーとブイヨンのスープ。シチューを思わせるやわらかな白色には、黄金色に輝くオリーブオイルがのせられています。スープに加え、別皿でカリカリに焼いたパンチェッタとクルトンが添えられ、食べ始めに合わせるスタイルです。
スープはトロリとしつつ、ほんのりカリフラワーそのものの質感を感じられる、裏ごしのような舌触り。野菜のやさしい甘さにブイヨンの旨味がそっと寄り添い、絶妙な量のオリーブオイルがさりげないコクを与えます。なんとも上品な味わいです。
カリカリに焼いたパンチェッタがかもし出す塩味とワイルドな肉の風味、そしてクルトンの小気味よいカリカリ食感と香ばしさもいいアクセント。穏やかながらもきちんとメリハリある、豊かな食事を味わえました。いろんな角度から眺めるように味わえるところに、フレンチの「趣」を感じます。
■ 力強い味ビーフハンバーグと7つの素材のソースが手を取り合うメインメニューそしていよいよメインメニュー。「卵の赤ワインマリネ」「ビーフ100%ハンバーグ ペリグーソース ~ごぼうのチップをのせて~」「クリーミーマッシュポテトと温野菜」の3品が、一皿にあしらわれています。
「卵の赤ワインマリネ」は、温泉卵を赤ワインに付け込んだ一品です。赤いグラデーションをまとった白身の色に興味を抱きながら、スプーンで慎重にすくって口の中へ。芳醇な赤ワインの雲間からトロトロの黄身が太陽のように差し込むような、ドラマチックな味わいです。この感覚、初めて!
「ビーフ100%ハンバーグ ペリグーソース ~ごぼうのチップをのせて~」は、粗挽き肉を使用した、ビーフ100%の肉々しいハンバーグ。ソースには、飴色になるまで炒めたオニオンとマッシュルームに、赤ワイン、トマトペースと、ブイヨン、バター、さらにトリュフと、7つの味が溶け込んでいます。
ナイフでそっとハンバーグを開くと、中身は肉汁がたっぷり。表面の焼き目がいい仕事をして、ビーフの力強い旨味を余す所なく味わえます。
さらにソースをつけると、肉の旨味を先頭にして、素材の味のパレードが開催。見た目には形こそ見えないものの、溶け込んだ7つの食材が一つ一つお辞儀をしながら現れて、最後はカーテンコールのように仲良く手を繋いで「一つの味」にまとまります。なんて表情豊かなハンバーグなのでしょう! ごぼうのチップも、愛嬌のあるクリスピー感です。
「クリーミーマッシュポテトと温野菜」は単体では控えめな味になっていて、ソースが加わることで、バランスのとれた味が完成する仕組み。ハンバーグから出た肉汁も合流することで、シンプルながらも、余韻が華やかに残る見事な味でした。
メインの締めくくりは、付け合わせのパンをちぎり、ソースを絡めていただきます。
楽しく踊っていた食材たちが、今度は香ばしいパンに舞台を変え、甘く香ばしい味わいをベースにふたたび笑顔を見せました。その楽しさに、心のなかで思わずスタンディングオベーションしてしまいました。
■ 浮遊感のあるデザートで余韻に浸りながら、味わってきたメニューに思いを馳せる楽しかった食事も、残すところあと一品。最後はデザートの「ブランマンジェプラリネ」をいただきます。
「白い食べ物」を意味する伝統的なフランス料理「ブランマンジェ」に、「キャンディング」という調理を施したヘーゼルナッツを添えた一品。「L’allium」の手書き文字と「ガスト」のロゴがプリントされた、かわいいチョコプレートが添えられています。
ババロアを思わせる、フルフルとしたかわいい舌触りの「ブランマンジェプラリネ」は、ふわりとミルクの香りが漂い、上質なソファーに身をあずけているような浮遊感。そこにヘーゼルナッツの甘い香りとリズミカルな食べごたえが合わさります。
スプーンをたぐりつつ、頭をよぎるのは、これまでに味わった数々の逸品たち。テーブルを通り過ぎていった、たくさんの美味しさが、食事を超えてしっかりとした「思い出」になっているのを、確かに感じました。
* * * *
フレンチとは、一つ一つの食材に込められた味はもちろん、調理法そのものもいわばストーリー。コース1つ体験したくらいでフレンチ通を気取るのはいささかおこがましいと思いますが、この食事をきっかけに「今度はこんなコースを味わってみたい」という気持ちを抱かせるには十分すぎるほど素敵な、「フレンチへの扉」を感じさせるコースでした。
「至福のフレンチコース」は、全国のガスト店舗で2025年1月22日まで提供中。メインの「至福のフレンチコース」税込1990円のほか、小学生以下のお子様向けにトウモロコシのポタージュ、ミニチーズINハンバーグ、チキンライスなどで構成された「お子様 幸せフレンチプレート」も税込990円で提供されます。
(天谷窓大)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 天谷窓大 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024112303.html外部リンク
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