コマツが新世代油圧ショベルPC200i-12を発表 深刻化する建設現場の課題を解決
おたくま経済新聞 / 2024年11月28日 12時0分
コマツが新世代油圧ショベルPC200i-12を発表 深刻化する建設現場の課題を解決
建設機械大手のコマツは12月1日より、3Dマシンガイダンスを標準搭載した新世代の油圧ショベルPC200i-12を発売します。
発売に先駆け、11月27日に千葉・幕張メッセにて発表会が開催されました。発表会ではコマツ執行役員の方々によるプレゼンテーションのほか、PC200i-12の実機も登場。実際のコックピットを体験することもできました。
■ 人手不足、災害の激甚化、インフラの老朽化。日本の建設業界が抱える大きな3つの課題
発表会ではPC200i-12の発表の前に、常務執行役員・建機マーケティング本部長の西浦泰司氏が登壇。西浦氏によると、近年の日本の建設業界は大きく3つの課題を抱えているとのことです。
1つ目は労働力不足と高齢化。日本の建設業就業者のうち55歳以上が約36%を占め、29歳以下は約12%しかいません。
また2024年に入って時間外労働の上限規制が開始されたことも、労働力不足の深刻化を加速させており、生産性の向上や働き方改革が急務となっています。
2つ目は自然災害の激甚化・頻発化。日本を長年悩ませている地震や台風は、近年の気候変動により、頻度の増加や規模の拡大がみられます。
迅速な動きが求められる一方で、人的・時間的リソースも多く割かなければならない災害復旧対応。労働力不足が叫ばれる中でいかに効率化していくかが課題となっているようです。
3つ目はインフラの老朽化。現在の日本のインフラの多くは高度経済成長期以降に整備されたものです。メンテナンスが必要な施設は加速度的に増加していますが、人手不足により対応が追いついていません。
不具合が軽微なうちに対応する予防保全型のメンテナンスへの転換や、維持管理の効率化が必要になっています。
これら3つの課題を解決するための鍵となってくるのが3D施工。これは建設プロセス全体を3Dデータでつなぐ新しい建設手法です。
■ 課題解決の鍵となる3D施工は普及進まず……費用の高さや準備の手間がネックに西浦氏が建設業界の課題をプレゼンした後、続いて登壇したのは執行役員・スマートコンストラクション推進本部長の四家千佳史氏。
コマツは2015年2月から、 業界の先陣を切って、3Dデータで現場をつなぐ「スマートコンストラクション」を開始。「安全で、生産性の高い、スマートでクリーンな未来の現場」の実現を目指して取り組んでいます。
四家氏によると、3D施工は作業の効率化と建設現場全体の可視化によって、最適な施工計画を立案できる一方、費用の高さや準備の手間などの課題もあり、地方自治体の工事や中小規模の工事においては普及が進んでいないのが現状。
しかしながら建設業が直面する課題は深刻化の一途を辿っています。課題は深刻化、しかし解決のためのハードルは高い。そんななかでコマツが発表するのが、新世代の油圧ショベルPC200i-12です。
■ PC200i-12は導入直後から誰でも簡単に3D施工ができる!“業界初”の特徴もコマツの土木分野における主力機種PC200に、3D施工が標準機能として搭載されているこの新製品は、導入直後から誰でも簡単に3D施工ができるといいます。
新製品PC200i-12の詳細については、次に登壇した執行役員・商品企画本部長の今城輝政氏がプレゼンしました。
3D施工のハードルを下げるPC200i-12の最大の特徴は、業界で初めて3Dマシンコントロールを選択可能にした点。これによってユーザーのニーズに合わせた導入ができ、あらゆる現場で活用がしやすくなっています。
もちろんPC200i-12の進化はそれだけに留まりません。ICT機能、安全性、快適性、生産性・メンテンナンス性の4つの側面でも進化。経験の浅いオペレーターでもストレスなく安全に作業することが可能になり、くわえて作業効率の大幅な向上も実現しているとのことです。
また今後ソフトウェアがアップデートされることで、ハードウェアはそのままでも、さまざまな機能を進化させていくことができるそうです。
そして最後にCEOの小川啓之氏がビデオ出演にて登場。
小川氏の合図でステージの左右にかかっていた幕が外され、PC200i-12の実機がお披露目されました。全長(輸送時)9.56m、全幅は2.82m、全高(輸送時)は3.06mにおよぶ新世代の油圧ショベル。黄色の車体に青いコマツのロゴが映えていました。
■ PC200i-12のコックピットを体験!まるで巨大ロボットのような洗練されたインターフェースにワクワク発表会終了後はステージの裏側にて内覧会が開催。そちらではPC200i-12を見ることができるほか、実際にコックピットに入り、乗り心地を体験することができました。
生まれて初めて建設機械のコックピットに乗り込んだ記者。まるで巨大ロボットの中にいるような、洗練されたインターフェースにワクワクします。
操縦面におけるPC200i-12の特徴として興味深かったのが、エンジン始動時に物理鍵が不要という点。右手側にある丸いツマミをひねることでエンジンの始動をすることができます。
鍵の代わりとなるのがログイン認証システム。車両に事前にユーザーを登録しておくことで物理鍵ではなくパスコードの入力で操作を開始できるほか、操縦レバーのボタンなどをユーザーの好みに合わせて割り当てることができるとのことです。
自分が一番やりやすい方法で建設機械を操縦できるということは、些細なことではありますが一番身近に作業の効率化を実感できそうですね。
取材協力:コマツ
(ヨシクラミク)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By YoshikuraMiku | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024112804.html外部リンク
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