飢えと殺人と人肉食が繰り返される......日本の少年誌ではもう見られないであろう『アシュラ』が描いたもの

おたぽる / 2014年6月7日 16時0分

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――今から30年前以上前、そう僕らが子どもだったあの頃に読みふけったマンガたちを、みなさんは覚えていますか? ここでは、電子書籍で蘇るあの名作を、振り返っていきましょう!

『アシュラ』は1970年から「週刊少年マガジン」(講談社)で連載されたジョージ秋山のマンガだ。

 このマンガのテーマは、人類最大のタブー、"人が人を食べること"である。
 
 人肉食には2つのパターンがある。

 1つ目は、人肉に特別な思い入れがあって食べるパターン。佐川一政がオランダ人を食べた『パリ人肉事件』などはもろにあてはまる。宗教儀式で食べたり、薬効をもとめて赤ちゃんの死体を食べたりするのも、このパターンだ。

 2つ目は、ほかに食べるものがないので、仕方なく食べるパターン。遭難して人肉を食べたり、飢饉による飢餓で人肉を食べる。趣味趣向はなく、しかたなしに人の肉を食べる場合だ。

『アシュラ』では、2つ目のパターンが描かれている。舞台は平安時代であり、猛烈な飢餓のシーンから始まる。

 死屍累々、腐った死体が転がる描写が10ページ以上続く。少年誌ではもう2度と見ることがないであろう地獄絵図である。18ページ読み進めて、ようやく生きた女性が登場する。やっと出てきたマンガ的キャラクターだけど、もろに狂っている。

「ガハハ ガハハ」と笑いながら人肉を食べて、犬のションベンを飲む。しかも妊娠している。人肉を滋養にして、子供を産む。出産後は乳をやって育てるが、それでも食べる物がなくなってしまい、飢餓のあまり、子供を火にくべる。

 その悲惨な子供が主人公、アシュラである。

 ......数あるマンガキャラクターの中でも、屈指の悲惨な産まれである。死んだ母親から生まれて、育ての親に売春をさせられてたベルセルクのガッツですら、いい生まれに思えてしまう。

 奇跡的に生き延びた子供は、やっぱり死体を食べながら、残酷な時代を生き抜いていく。

 1話目から強烈すぎる内容だったため、1話目が載った「週刊少年マガジン」は全国的に有害図書指定され、未成年の販売が禁止された。ジョージ秋山は『アシュラ』の直前に、これまた大問題作の『銭ゲバ』を「週刊少年サンデー」で書いていたところだったということも、問題が大きくなった一因だったと思う。

 しかし、そんなに大問題になったのに、2014年現在子供もふくめて誰でも読めるようになっている。
 そればかりか、『アシュラ』は2012年にアニメ化されているし、『銭ゲバ』は2009年に映画化されている。本当にひどい内容だったら、たかだが40年で処置が変わるとも思えない。騒がないでもいいことで、大騒ぎしただけである。

おたぽる

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