【実写映画レビュー】原作から下がった「次元」――『ゴースト・イン・ザ・シェル』に抱く違和感とは?
おたぽる / 2017年4月13日 21時0分

本レビューはたいへん辛口なので前もって言っておくが、実写映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』を、ひとつの独立したSF映画として見た場合、目立った瑕疵はない。プロットに破綻はないし、冒頭で提示された謎は、誰もが理解できるような真相の開示をもって、完全に解決される。実にわかりやすい。高予算をかけただけあってVFXのレベルはおおむね高いし、予告編に登場する芸者ロボのジャポニズム・デザインは洗練の部類に入る。拳銃を握る荒巻大輔役のビートたけしは、やっぱりカッコいい。
しかし、士郎正宗のコミック『攻殻機動隊』を原作と謳い、押井守の劇場用アニメ『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』も事実上の参照元とする映画として見た場合、作品全体をある違和感が覆う。それは、かつてフジテレビ系で放映していたバラエティ番組『とんねるずのハンマープライス』(95〜98年放映)のロバート・デ・ニーロ出演回で筆者が抱いた違和感と、同じだ。
『ハンマープライス』は著名人のお宝グッズを一般人がオークションで競り落とす番組である。デ・ニーロは番組スタッフから「掛け軸に毛筆で一筆したためてほしい」と頼まれ、快く承諾した。依頼された文言は「役者バカ でにいろ」。しかし当たり前だが、デ・ニーロは漢字も平仮名も解さない。おそらく毛筆を握ったこともない。だから、この通り書いてくれと渡されたお手本を見て、彼はこんな趣旨のことを言った(字幕うろ覚えにて、ご容赦いただきたく)。
「これをコピーすればいいんだね?」
そうしてデ・ニーロは筆を手に取り、書き上げた。文字の大きさや余白のバランスは多少悪いが、漢字と平仮名はちゃんと読める。企画は成立している。何も破綻していない。が、筆者はデ・ニーロが「手本を見て書をしたためる行為」を「コピー」という概念で理解したことが、どうにも腑に落ちなかった。copyには「複写する」以外に「模写する」「まねる」の意味もあるので、間違ってはいない。しかし「コピー」か……。違和感は残った。
いったん映画の話に戻ろう。『ゴースト・イン・ザ・シェル』の舞台は近未来。国は特定されていないが、日本をベースにしたアジアの猥雑な雰囲気が漂う街だ。ここで、過去のとある“事故”によって脳以外をすべて義体(サイボーグ)化された少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、サイバー犯罪を取り締まる公安9課に所属している。少佐はハンカ・ロボティックス社に対するテロの捜査を進めていたが、自分の過去の記憶が「改変」されているかもしれないという疑念にさいなまれる。
この記事に関連するニュース
-
【ゼンカイジャー】第5カイ「握り握られスシ大会!」あらすじ 介人とジュランが握られる?
ORICON NEWS / 2021年4月3日 13時0分
-
今夜放送!押井守監督『イノセンス』見どころをおさらい
シネマトゥデイ 映画情報 / 2021年3月28日 7時5分
-
3月24日はTVアニメ『タッチ』の放送日。物語を動かした「死の影」の衝撃
マグミクス / 2021年3月24日 7時10分
-
世界の映像表現をアップデートした「攻殻機動隊」の続編。 『イノセンス』 3月28日(日)よる7時~「日曜アニメ劇場」
@Press / 2021年3月22日 14時0分
-
ビートたけしの名言集「カンペを読みながらの芝居、そして漫才」
アサ芸プラス / 2021年3月20日 17時57分
ランキング
-
1長瀬智也「告知せずにインスタ開始」か 変わらず漂う「男臭さ」
NEWSポストセブン / 2021年4月12日 18時5分
-
2だから干された?マリエの“枕強要カミングアウト”に元アイドルが実体験を激白!
アサジョ / 2021年4月13日 10時15分
-
3岡村隆史 衝撃的だった伝説のとんねるずロケ「お金の使い方だけで言うたら、一番すごかった」
スポニチアネックス / 2021年4月13日 9時12分
-
4【ワイドショー通信簿】「充電しながら動画みる」人は要注意 「100%なのに充電続行」もNG(スッキリ)
J-CASTテレビウォッチ / 2021年4月13日 11時47分
-
5マリエの「性接待強要」告白で名指しされた出川哲朗へのネット上での反応は?
アサジョ / 2021年4月12日 18時14分