切り捨てられたマンガがネットで復活――出版社への“反撃手段“を得た現代の描き手たち

おたぽる / 2014年7月26日 2時0分

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 さる6月29日、マンガ家・やまもとありさ氏が「有害図書指定にあたる恐れあり」という理由で連載中止を言い渡されたことについて、Webマンガサイト「ぜにょん」(コアミックス)への不満を自身のブログで告白した。やまもと氏が人気マンガ『進撃の巨人』(諫山創/講談社)でアシスタントを務めていたこと、諫山氏からもブログ上で怒りのコメントが述べられたこと、初連載作品だったこと、掲載予定のわずか2日前に中止が告知されたことなどが重なり、ネットユーザーの間で話題となった。

 すでに5話分まで描き終えていたというやまもと氏の作品『あいこのまーちゃん』。このまま読者の目に触れないかと思われていたが、意外なところから救いの手が現れた。『海猿』『ブラックジャックによろしく』などのヒットで知られる佐藤秀峰氏のWebマンガサイト「漫画onWeb」に、晴れて掲載されることとなったのだ。現在は第1話のみが無料公開されており、佐藤氏の『ブラックジャックによろしく』をも超えて閲覧数トップに躍り出ている。やまもと氏のブログによると「二話以降は公開は未定です、公開できなくても、やりたいことがたくさんあるので最終話まで描きます」(原文ママ)とのことだ。

 実際に第1話を読んでみると、たしかに"女性の生理"というデリケートなテーマを扱ってはいるが、なぜこのレベルの描写で有害図書指定にあたると編集部が判断したのか、あらためて理解に苦しむ。たとえば"秋田書店の赤い核実験場"こと「チャンピオンRED」にならばなんの問題もなく掲載されているはずと、筆者には思える。読者のコメントは「どこが有害かわからない」「ただただ下品だと思いました」など賛否が分かれており、今度もし2話以降が公開されればどんな評価になるか楽しみなところだ。

 また、"お蔵入りになるはずだったマンガが思わぬところで復活して脚光を浴びる"事例が、『あいこのまーちゃん』以外にもう1つ注目されている。マンガ家・木星在住さんが600ページにわたるネーム(マンガの設計図)を出版社から一方的にボツにされ、それを画像投稿サイト「ニコニコ静画」で自主的に公開したのだ。なんと、こうして公開された『機械人形ナナミちゃん』は別の出版社の目にとまり、このほど単行本化が決定したという。

 これらの例に限らず"編集部(出版社)の身勝手な都合で連載の場を奪われる"ことは過去から今に至るまで数えきれないほどあった。新人ではなく中堅・ベテランのマンガ家でさえ「自分の作品を掲載している雑誌が休刊するということを直前になって知らされた」とブログやツイッターで暴露することが少なくない。その究極は2012年に起こった"「コミックキューガール」創刊日に廃刊"事件だろう。この件に関する関係者のツイートを読む限り、出版社(実業之日本社)の上層部が強引に廃刊を決定したらしく、編集者すら直前まで知らされていなかったようだ。当然、連載オファーを受けていたマンガ家たちは続く2話以降の制作に全力を注いでいた時期で、廃刊が知らされたとたん彼らによる阿鼻叫喚のツイートが見られた。

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