SM小説を雑誌掲載時の誌面で自家製本!性器をわざわざ描き足したマニアの情念に胸熱

おたぽる / 2014年12月25日 1時0分

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安田理央の「特殊古書店ダリオ堂」 第11回

――ようこそ、「特殊古書店ダリオ堂」へ。当店では、ちょっと変わった本たちを皆様にご紹介していきましょう。

 今回紹介するのは、SM小説の巨匠・杉村春也の『美しき牝犬の挽歌』です。杉村春也は筆者が最も好きな官能作家で、羞恥責めのシチュエーションと描写が実に素晴らしいんですね。代表作である『英語教師・景子』は、まいなぁぼういによるコミカライズ『景子先生の課外授業』シリーズでも大ヒットしました。こちらで知っている人も多いんじゃないでしょうか。

 官能小説の名門フランス書院の看板作家でもあり、その作品のほとんどがフランス書院から販売されています(『性奴・由美』という作品のみが大陸書房のプラミッド文庫からの発売)。

 しかし、この『美しき牝犬の挽歌』はフランス書院からの発売ではありません。それどころか、どこの出版社からも発売されてはいない、いわゆる非売品です。その内容自体は、フランス書院文庫から1990年に発売された『女教師監禁生活』と同じなのですが。

 実は『美しき牝犬の挽歌』は、SM雑誌である「SMセレクト」(東京三世社)に連載されていた時のタイトルで、単行本化にあたって『女教師監禁生活』に改題されたのです。そして、この『美しき牝犬の挽歌』は、その連載時の誌面をコピーして製本した、自家製本なのですね。

 筆者は神保町の古書店で本書を発見したのですが、棚にはほかの作家の作品も数冊ありましたので、自家製本をするのが好きなマニアの方の手によって作られたものが、なんらかの理由で古本市場に出たのでしょう。

 両面コピーではなく、片面コピーを貼りあわせているのでゴワゴワしているし、表紙もワープロで打ったタイトルを貼り付けただけのそっけないもので、決して見栄えのいい出来ではありません。しかし、それだけに手作り感にあふれて、マニアならではの情念が伝わってきそうです。

『美しき牝犬の挽歌』は、1981年に「SMセレクト」に短期集中連載された中編で、その全3回分の全ページがコピーされています。

 美しい女性が、ヤクザなどによって監禁され徹底的に辱めを受けるというのが杉村春也作品の基本パターン。本作もまた、過激派の活動家を恋人に持つ美人教師が、対立派を装ったヤクザによって監禁され、地元の名士たちの性奴隷として調教されてしまう......というストーリーなんですが、ほかの作品に比べバイオレンス描写が目立ち、陰惨な印象が強い異色作です。なにしろラストでは、登場人物全員が爆弾で吹き飛んでしまうんですから。

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