立川談志に古今亭志ん朝...人気マンガ『昭和元禄落語心中』で元ネタとなった落語家は誰だ?

おたぽる / 2014年2月7日 11時0分

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「ITAN」(講談社)で連載中の落語マンガ『昭和元禄落語心中』の第5巻が、本日2月7日に発売となる。「このマンガがすごい!」(宝島社)の2012年オンナ編で第2位に選出された本作。作者の雲田はるこは、もともとBLを手掛けていたとあって、作品の中からもやおい臭がぷんぷん漂っているマンガである。が、本作の人気の要因はBL要素ではなく、落語好きを唸らせる高座の描写や、きっちりと描かれる師匠と弟子の関係性の描写にある。

 落語だけに限ったことではないが、専門知識を必要とする作品の場合、監修が付く場合がほとんどだが、本作にはそのクレジットがされていない。作者本人が落語好きで、自らの知識や経験、資料などから見事に落語の世界を再現しているのである。

 本作の歴代の名人たちを彷彿とさせる高座の描写のすばらしさから、連載当初から「登場人物たちのモデルになっているのは誰か?」という考察が、いろいろなところで行われてきた。

 まず、与太郎の師匠・有楽亭八雲は、昭和の大名人のひとり、六代目三遊亭円生という説。正統派の落語を追求し、艶やかな噺を得意としていた円生。端正な顔立ちと細身の体で、遊女やおかみさんといった女性を見事に演じ、"艶生"とまで呼ばれたその姿は、作中の八雲とぴたりと重なる。落語ファンの多くは納得できるだろうと思う。

 そして、八雲の盟友・助六であるが、これがやや難しい。破天荒、天衣無縫、ぞろっぺい【編注:"だらしない"の意】などなど、型破りな噺家として知られる五代目古今亭志ん生という意見が多い。酔っ払って高座で寝てしまった、関東大震災発生時に今後酒が飲めなくなると思って酒屋に飛んで行った、女房の着物を全部質入れして酒を飲んだ、借金取りから逃げるために十数回も改名したといった破天荒なエピソードもたっぷりの大名人だ。また、戦時中は円生と慰問団として満州に渡り、そこで苦労を共にしたというエピソードもあり、本作の八雲と助六の関係にも似ている。

 しかし、助六は幼少のころから鍛えられた天才肌だが、志ん生は生粋の苦労人。売れない時代と幾度の改名を繰り返し、ようやく売れっ子となったのは55歳を過ぎてから。また、破天荒なエピソードばかりが取り上げられるが、芸事には熱心でいつも落語本を手放さず、暇さえあればずっと本を読みふけるほどの勉強家だという一面もあり、その芸風は天性のものではなく作り上げられたものだという説が今では有力だ。

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