「MOTHER マザー」大森立嗣監督、広瀬アリスの演技「見たことなかった」 WOWOW「完全無罪」初タッグ「存在感」に驚き
オトナンサー / 2024年7月7日 12時10分
俳優の広瀬アリスさんが主演し、映画「星の子」「MOTHER マザー」などの大森立嗣さんが脚本・監督を務めるWOWOWの連続ドラマ「連続ドラマW 完全無罪」(毎週日曜午後10時)が7月7日から放送されます。
本作は、大門剛明さんの同名小説(講談社文庫)を実写化。21年前に起きた少女誘拐殺人事件で監禁された被害者の1人で弁護士の松岡千紗(広瀬さん)が、同事件の冤罪再審裁判の担当に抜てきされ、容疑者と対峙(たいじ)する……。自身を誘拐した真犯人を見つけ出すため、被害者でありながら依頼人の無実を信じて弁護をすることに悩み苦しみながら自らの過去と戦い、真実にたどり着き、悪夢に立ち向かう様子が展開されます。
今回、全5話すべての脚本を担当し、人が持つ強い気持ちや業に肉薄した部分を描いたという大森監督に、作品に込めた思いや魅力、広瀬さんについて聞きました。
■「星の子」「MOTHER マザー」、「完全無罪」の“共通点”
これまでに、両親が新興宗教に傾倒し、崩壊していく家庭を描いた「星の子」、実際に起きた「少年による祖父母殺害事件」に着想を得た「MOTHER マザー」という見る者にインパクトを与えてきた大森監督。自身の作品へのこだわりを聞いたところ、「社会の規範みたいなものを疑うようなところをあらかじめ決めているかもしれません」と力強くコメント。
その裏には、「法律や道徳……。最近では、同調圧力みたいなものを感じる時があったりします。そういうものから一回、離れてみてほしいというような思いはあったりします。人間の可能性というか、生きやすさみたいなものを感じてほしいという部分は共通しているかもしれません」と、真っすぐな視線で語ってくれました。
「完全無罪」を映像化しようと思ったきっかけについては「『完全無罪』のようなミステリーに特化した作品を作る機会は、実は少なかったんです。どんどん進展していくストーリーが素直に面白かったというのがあるのですが、登場人物それぞれの価値観が揺らぐという点にも引かれました。主人公の千紗が、弁護士として法律だけで人を見ないように模索するのですが、自身の葛藤とも戦う。怒りや憎しみもあったり、僕はやっぱり、そういう視点とかをいろいろとイメージしてしまうんですよね。体がそういう作品に反応してしまうのだと思います(笑)」と明かしてくれました。
弁護士として、自身を監禁した容疑者を弁護しなければいけないという千紗を演じた広瀬さんの印象についても聞いてみたところ、「実は、広瀬さんのお芝居を一度も見たことがなかったんです(笑)。実際にワンカット目を撮ったら、すごく上手だと思いました。“芝居の基本”がしっかりとできていると思いました。それに、素直に脚本を読み込んで来てくれた印象もありました」と述懐。
続けて、「芝居の上手さとは別に、映像作品では、体格や筋肉の付き方、たたずまいや歩き方など本人の努力ではどうしようもない部分がどうしてもあったりします。千紗が鏡をじっと見つめるシーンで広瀬さんが何を考えているのか分からない表情を上手に演じてくれて、見ている人の心情をフラットにさせるんですよ。その表情に存在そのものを感じました。物語はどんどん進んでいくのですが、そういう“静”のようなシーンが挟み込まれることによって、物語の余白というものが生まれたように思います」と広瀬さんとのタッグで得た作品作りの裏側も教えてくれました。
ドラマでは、被害者サポートセンターで働きながら、千紗と再審請求審で対峙する元県警刑事・有森義男を奥田瑛二さん、少女誘拐殺人の犯人とされながらも無実を主張する容疑者・平山聡史を北村有起哉さん、千紗の同郷の先輩で弁護士でもあり、千紗を手助けする相棒・熊弘樹役を風間俊介さんが演じるほか、音尾琢真さん、財前直見さん、鶴見辰吾さん、おかやまはじめさん、池谷のぶえさん、夏生大湖さん、菅原大吉さん、堀部圭亮さんも出演。実力派俳優がそろった布陣となっています。
「セリフを自分の間、声色、イントネーションで演じられる人ばかり。自分の距離感でお芝居をされるので、(演技の掛け合いなどが)ものすごいレベルになっています」と語りつつ、「毎話、見どころがある感じで、名俳優たちの芝居をぜひ楽しんでいただければと思います」と話し、笑顔を見せてくれました。
広瀬さんの新境地とも呼べるような演技、さらに、実力派俳優たちによる“演技合戦”も楽しみでなりません。「連続ドラマW 完全無罪」の第1話は7月7日午後10時から無料で放送。WOWOWオンデマンドで配信もされます。
オトナンサー編集部
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